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ドラゴンアヴェンジャー  作者: PIAS
第6章 ヴォーギルからの客人

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第239話 シラーシ流剣術


「……エイジのあの剣術は、一体何なのだ? シラーシ流剣術と似ているが、同じ流派という訳ではないし……」


「シラーシ流剣術ぅ? 俺のはまあなんちゅうか、昔から継承されてきたもんだよ」


「そうなのか……。私はシラーシ流剣術の使い手なのだが、エイジはまるで師匠のような……いや、師匠以上に剣が巧みだった」


「ふうん……。そのシラーシ流剣術ってのは、みんなお前みたいな感じなのか?」


 この世界で初めてまともに剣術のぶつかりあいをしたと感じた影治は、シラーシ流剣術とやらに関心を示す。


「私はダマスカス級冒険者まで上がったが、剣の腕はまだまだ未熟だ。師匠にはまだ遠く及ばぬ」


「なるほどねえ。そいつぁ楽しみだ」


 物心つく前から武術を仕込まれていた影治にとって、剣術というのも酷く日常的なもので、これといって特別に意識したことはなかった。

 今はこの世界の強者と立ち向かう為にも、神伝へと至る為に修練を重ねていこうとは思っているが、最強の剣士になろうとかそういった思いは抱いていない。


 であるのだが、この世界は余りに剣術のレベルが低すぎて、無意識のうちに影治は落胆していた。

 そのことを、シラーシ流剣術の使い手と出会ったことで自覚する。

 この世界にも技巧派の流派が存在していたということは、影治にとって朗報であった。


「おおおおい、エイジィィ!」


「お、どうやら更新が終わったみてえだ。じゃあな」


「また今度機会があったら、もう一度模擬戦をしてくれ!」


「へー、珍しいこともあったもんだ。普段無愛想なセリアが、こんなに積極的になるなんて」


「っていってもお? 色恋事じゃなくて、純粋に剣術が気になるってのが丸分かりなのが、セリアっぽいよねえ」


 カウンターへ向かう影治の背からは、引き続きレディーソードが雑談している声が届く。

 だがそれもカウンターへ近づくと、周囲の冒険者たちの喧騒に紛れていった。


 先ほど影治を呼び出したのは、どうやらギルマスのバンディ本人だったらしい。

 影治がカウンターへと辿り着くと、プラチナ製のギルド証を受け取る。


「これで今日からエイジはプラチナ級だ。ま、あの実力ならすぐに上がってくんだろうけどな。期待してるぜえ?」


「冒険者のランクってのはそんなにホイホイ上がるもんなのか?」


「いんや、そんな訳あるめえ。大体はシルバー級か、少し才能がある奴でゴールド級止まり。それ以上となると、ダマスカス級で止まる奴も多いな」


「そういえば冒険者ランクの目安のひとつに、どの魔物の脅威度までソロで戦えるかってのもあるみてえだな」


 冒険者の場合、ランクが金属名なのでぱっと見では分かりにくいが、一番下のブロンズ級が脅威度Ⅰの魔物とソロで戦えるレベル。

 次のカッパー級が脅威度Ⅱの魔物と戦えるレベル……と、ランクが上がるごとにひとつ上の脅威度の魔物と戦えるというのが強さの条件となっている。


「強さだけで昇格出来る訳じゃあねえが、それも目安のひとつだな。つっても、ミスリルクラスとなると同ランクの魔物相手とのソロでの勝率は5割を下回る。脅威度Ⅷ以上の魔物ってのは、そんだけやべえ相手だってこった」


「確かに。オークエンペラーも厄介だったが、オークキングもそれなりに面倒だったからな。オークジェネラルとは脅威度ひとつの差のハズなのに、明らかに強さが違っていたぞ」


 あの戦闘中、影治は上位種のオークの詳細を知らなかった。

 ただキングとエンペラーだけは、体の一部に「王」と「皇」という漢字をモチーフにした刻印というか文様が浮かんでいたので、体の大きさや強さなどと併せてそれがキングとエンペラーなのだと区別出来ている。


 だが今後獣の牙に潜って深層に向かう場合、その辺のオーク上位種と今後戦う機会もあるだろうと、翌日にボミオスやサイラークからオークの種族についてレクチャーを受けている。

 そこで最後に戦ったオークの中に、ハイオークジェネラルやハイオークロードなどオークキング以外の脅威度Ⅷの魔物が混じっていたことを知り、なるほどなと納得していた。


「脅威度ⅦとⅧの強さの差ってのはでけえんだ。それはそのまま冒険者ギルドのランクにも当て嵌まる。これは魔術のクラスも同じだな。クラスⅦとⅧでは威力がかなり違うからな」


「それも納得だ」


 影治はピー助が仲間になって間もない頃に、クラスⅧ光魔術の【光爆】を撃ってもらったことがある。

 クラスⅦの【光の柱】は十分耐えることが出来たので調子に乗って頼んだのだが、範囲攻撃のはずなのに威力は【光の柱】より高く、慌てて回復魔術を連発する羽目になった。

 今回ピー助は更に上のクラスⅨ魔術を会得したが、流石にあれはバフ無しの素の状態で受けようとは思わない。


「まあオークキングを『それなりに面倒』程度の扱いするエイジなら、ダマスカス級の壁もあっさり超えちまいそうだな」


「それには実績も重ねねえとな。んじゃ、俺は宿に戻るぜ」


「おう、今日はいいもん見せてもらったぜ」


 最後にバンディと挨拶を交わした影治は、冒険者ギルドを後にする。

 宿に戻るとは言ったものの、向かう先は宿ではなく領主の館。

 カレンからの申し出を受け入れたルクトリアが、色々と話を詰める必要もあるので、カレンとその護衛たちの客室を用意してくれていたのだ。







「戻ったか。大分時間を取られたようじゃが、ギルドの用件とやらは何だったのだ?」


 領主の館へと戻った影治は、割り当てられた部屋ではなくラウンジへと向かう。

 するとそこには出かける前とは若干面子が変わっていたが、ティアやビッグシールドのメンバーの姿があった。

 どうやらビッグシールドの面々は、館でゆっくりと過ごしていたらしい。


 室内には使用人が控え、ボードゲームなどの卓上遊戯も用意されている。

 ソファーにどっかりと座ってシリアとリバーシ対決しているバキルは、すでに二桁数の連敗を重ねているところだった。


「ランク昇格だってよ。ちょっろっと試験みたいなのやって、プラチナ級になった」


「な、なにいいいぃぃ!?」


「ちょっとバキル! 自分が負けそうだからって盤をひっくり返さないでよ!」


「んなこと言ってる場合かッ! エイジの奴がついにオレやお前と同じランクに追いついたってことなんだぞ!!」


「私は別にそんなの気にしてないわよ。それよりも今の勝負、明らかに私の方が優勢だったから、私の15連勝でいいわよね?」


「何言ってやがる! オレにはあの状態から逆転する手があったんだよ。あー、うっかり盤面ひっくり返しちゃったから、せっかくの逆転の手も打てなくなっちまったなあ……」


「それならだいじょーぶ。わたしが盤面全部覚えてるからー」


「え"っ……」


 ふたりの対戦を観戦していたアトリエルは、ひっくり返った盤を戻し、その上にコマを並べていく。


「うん、これでいい。さあバキルの逆転の一手、早く見せてー」


「…………」


 無邪気な顔で追い詰められたバキルは、食べ物が喉に詰まったような顔をしながら、黙り込む。


「それで、試験というのは何だったのだ? 儂やバキルの時なんかはそんなもんなかったと思うのだが……」


「ああ、まあ試験っちゅうか俺の強さを確かめたいって感じだったな。そんで、試験の相手としてレディソードの4人とやりあったんだけどよ」


 バキルが追い込まれている脇では、ボミオスと影治の会話がそのまま続いていた。

 なんぞやらかしてシリアに言い負かされるのは、ビッグシールドにとっての日常風景のようなものだ。


「レディソード……女だけで構成された、ダマスカス級の冒険者パーティーじゃな。しかも4人同時相手ときたか」


「それは俺が言い出したことなんだけどな。んで、そん中のエルフの剣士は剣術の基礎が出来ていたんだが、シラーシ流剣術って知ってるか?」


「……儂は片手斧を使うから剣には詳しくないが、流石にその名前くらいは知っとるぞ。エイジは剣を使っておるというのに、その名を聞いたことなかったのか?」


「そんな有名なのか? 詳しく教えてくれよ」


 もしかしたらどこかで耳にしたことはあったのかもしれないが、興味がないことは耳を通り抜けていくものだ。

 そこでこの機会に、影治はボミオスからシラーシ流剣術の話を聞くことにした。


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