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心からネコを信じなさい〜眠る前の優しい物語〜  作者: 地野千塩


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病は気から

 体調不良がずっと続いていた。近所の病院に行っても原因不明。おそらく精神的なものと言われているので、精神科に予約を入れた。電話から聞こえる声は優しげで「お大事に」なんて言われると、涙が出そうだった。


「亜美、大丈夫?」


 普段は仕事で忙しい夫も早く帰ってきて、ケーキやゼリーなんかをくれた。


「あなた、ありがとう」


 体調不良で身体が痛い、だるいといった症状があったが、心配されるのは、悪くない。


 え?


 今、なんて思った???


 体調不良が辛いはずなのに、今のこの状況を楽しんでいた事に気づいた。夫も家にいてくれて、寂しさもない。心配されるのが、心地いい。


 もしかしたら、体調不良の原因は寂しさだったのかもしれない。


 そんな気がした。


「ねえ、あなた。長期出張で何ヶ月も家を開けるのは、さすがにやめてくれない?」


 本当の願望を口に出したとたん、涙が溢れた。同時に原因不明だった体調不良もすっと引いていった。


 当然、精神科の予約も取り消した。


 病は気から。


 そんな言葉があるが、あながち嘘では無いだろう。昔の人の言葉は侮れない。聖書にも人は信じた通りになると言われているらしいが、その通りかもしれない。病気になる事を信じ、その旨みを得ていた。

 

 今思うと、わざと不健康になる方を選んでいた。突発的な災害のように病気になったわけじゃないと気づいた。


 もし精神科に行き、薬を飲んだとしても、根本的解決にはならなかったかもしれない。


 相変わらず夫は仕事で忙しい。長期出張もしている。


 それでも、自分の気持ちを言葉で伝えられるようになった。病気の一番の目的は「こんな可哀想な私を察して」なんていうメッセージを発する事だったのだったのだろう。


 以来、原因不明の体調不良になる事もなくなった。


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