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心からネコを信じなさい〜眠る前の優しい物語〜  作者: 地野千塩


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キリストは墓から蘇った

 チャイムが鳴り、出てみる。そこには知らない客がいた。


「お金の神様に興味はないですか?」


 やば、宗教勧誘だった……。女性二人組だったが、一見普通というか、身なりはちゃんとしているので、全く気づかなかった。


 しかし、私は押しに弱い。エステや携帯電話の営業にもよく引っかかっていたし、この二人組も上手く追い返せなかった。ハーゲンダッツのギフト券を貰ってしまったので、後に引けなくなったというのもあるが。


 私は専業主婦で家にいる時間も多い。子供もいないので、その分、彼女達にとっては隙があるという事で、その後も家に来る事が多くなった。


 そんな折、実家の母に相談すると、意外な事を言われた。母も最近宗教勧誘に悩まされていたらしいが、ある方法で来なくなったらしい。


「キリスト看板貼ったら来なくなったわよ」

「キリスト看板?」


 よく田舎にあるホラー風の看板だ。カルトでは無いと聞くが、その迫力ある白と黒の文言は完全にホラー。子供の頃の私は、あの看板を見てギャン泣きしていたらしい。


「聖書配布協力会って人がきて、頼まれたのよ。しかもデザインも私が選べるし、メンテナンスもやってくれるし」

「へえ、意外」


 母は無宗教だった。キリスト看板の貼る家は、別にクリスチャンとかでなく、立地などで選ばれているようだ。


「で、『キリストは墓から蘇った』ってデザインを選んだんだけど、見事に宗教勧誘こなくなったわ。あと、家の周りのヤンキーのポイ捨てとかも減った」

「何それ、怖すぎだよ……」


 母からその画像を送って見せて貰う。家の塀にあのホラーな看板がある。しかもよりによって「キリストは墓から蘇った」という文言は怖すぎる。家の周辺がガチでホラー映画っくなっている。


「ご近所さんからはどうなの?」

「それが意外と好意的なのよ。キリスト看板って布教は成功してないけど、防犯には役立ってるみたいね。宗教勧誘だけでなく、変なセールスとかも来なくなったから」


 それは来ないだろう……。案外、ご近所で浮いてない事にホッとしたが、もしかしたら、この方法で自分の問題も解決出来るかもしれない。


 ただ、うちはマンションだ。そうそうホラー風の看板など貼れない。


 そこでネットで色々と調べ、キリスト看板のデザインのシャツを探し、着る事にした。


 真っ黒なシャツに「キリストは墓から蘇った」という白と黄色の文字。迫力のある力強い文言。まさにホラー。私は恐ろしい武器を手に入れてしまったのかもしれない。


「いらっしゃい」


 さっそく、このシャツを着て、例の二人組を出迎えた。


「きゃああああ!」


 二人組は悲鳴をあげて逃げていった。まるでエクソシストに祓われた悪霊のよう。確かエクソシストの映画では、キリストの名前で悪霊を祓っていたが、あながちファンタジーでもないのか?


 首を捻るが、とりあえずこの問題が解決してホッとした。ちなみにこのシャツを着て夫を出迎えたら、驚いて腰を抜かしていた。

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