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淫魔さんの人間暮らし  作者: 仲田悠
第十三話「淫魔さん、明るい未来」
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03-自分的にはこれこそ凱旋-

 確かな手応えを感じながら王都を出た。

 宮廷魔法使いや宮廷錬金術師も連れて、帰路に有る町で挨拶をしながら帰る。

「「わあああああああああああっ!!」」

 どこを通っても大歓迎。

 色んな植物を見つけただけで大きいもんね。

 前からボクを知ってたヒト達なんかお礼を言いにくるくらい。

「ありがとうございます!イキシアからバニラオイルが入って、バニラアイスが食べられる様になったんですよ!」

「そいつは良かった。布告が届いてると思うんだけど、これから定食屋を集めて色んな料理を仕込むからね。食べ物が美味しくなるから楽しみにしててよ」

「「わあああああああああああっ!!」」

 町を通る度に同行者が増える。

 レシピを書き写すだけだから奥さんとか店員で大丈夫だ。店を休まなくて済む。

「凄い楽しみ!トアイライトの料理って何食べても美味しいんだもの!」

「ほんとほんと!もう一杯覚える!」

「一先ずは自分のところで収穫出来る物で作れる料理ね。国内の流通網が整い終えたら入荷しやすい食材も視野に入れるよ」

「「はい!!」」

 まずは目指せ食の国。

 そこから少しずつ魔法の国にする。

「何もかも楽しみですなぁ」

「ええ。アイラ様のおかげでマルクスの未来は本当に明るい」

 トアイライトの事を話したら宮廷錬金術師も宮廷魔法使いも期待顔。

 目新しい物ばかりだしね。

「アーティファクト作りに必要な刻印魔法は色々作れて楽しいぞー。魔法の服だって作れる」

「「おおお!」」

「「ええええっ!?」」

 そろそろ夏用のエンチャントクロスが出回る頃かな。色々買い込まないと。

 アーティファクトもエンチャントクロスもどんな物か話すだけで飽きない。皆揃って期待顔。

「城内のお風呂も改良してきたんだけど、アーティファクトを活用して井戸要らずの何時でも入れるお風呂も出来る」

「行きましたよお風呂屋さん!あれ凄く気持ちいいですよね!」

「それも買える様になるんですか!?」

「うん。浴槽に設置するだけで魔法のお風呂になるセットが三万マルで売られてるよ。お風呂屋のと違って回復効果は無いんだけど」

「「欲しい!」」

 お風呂セットは輸出が殆どだけど物凄い売れ方をしてるアーティファクトの一つ。泡風呂もセットの内だからお得なんだよね。

 回復効果はトアイライト専用。一応城のお風呂にも付けたけど。フィーナしか作れないから非売品なのだ。

「本当に面白いです。アーティファクトと言えば軍や冒険者が使う物とばかり考えていました」

「アルカナ文明じゃ生活用品の方が多かったよ。馬が居なくても走る馬車とか感動したもんな」

「「ええええっ!?」」

 前後に進む魔法と、前輪を左右に傾ける魔法で作られた自動馬車。あれそろそろ出しても良い。

 事故が怖いから免許が必要だった。いずれ王様と相談するか。


「「わあああああああああああっ!!」」

「皆、ただいま!国を改革してきたぞー!」

 やっとイキシアに帰ってこれた。

 アッサムでももみくちゃにされたんで大変だったよ。

「アイラさん、本当にお疲れ様!」

「布告を見たぜ!国まで変えてくれてありがとよ!」

「ほんとアイラさん凄い!イキシアの誇りね!」

 あ、イキシアの誇りって言葉は凄く嬉しい。

 イキシアの住人として頑張れたって感じ。

「アイラさん、おかえり」

「ただいま戻りました。やっと全部片付きましたよ。これでトアイライトに迷惑を掛けずに大手を振ってここで暮らせます」

「本当に良かった。私達も安心したよ」

 町長さんからも嬉しい言葉。

 皆心配してくれてたんだね。

「すみませんが、これから忙しくなりますよ。国中で色んな食材が見つかりました。落ち着いたらミシルガ町長さんやセシル町長さんと流通ルートについて相談しましょう」

「素晴らしい。先に行商人に話をつけておこう。そんなに良い事の為に忙しくなるなら幾らでも歓迎だよ」

 話したい事が一杯。

 べスタリアの事だってまだ話せてない。

「あー、皆。べスタリアの話とか気になる?」

「「気になる!!!」」

「よし。明日にでも中央広場で話そうか」

「「わあああああああああああっ!!」」

 応援したり心配してくれる皆を楽しませよう。

 一杯冒険したからね。


 家に帰るとべスタリアの視察団が出迎えてくれた。どうやら良い視察が出来たらしい。

 マークも嫁さんと来てくれてる。

「本当にここは素晴らしい。何もかもが凄く、毎日驚かされてばかりです」

「あはは。そりゃ良かった。マルクス王にべスタリアとも手を結べると話したから、ある程度して落ち着いたら会談の場を設けたいって伝えて」

「「おおおおっ!!」」

 離れてるけど協力者が出来るのは多い。

 周辺国を抱き込みやすくなる。

 公爵と子爵も来てくれた。

「おおお!アイラさん、よく無事で!」

「アイラ殿、本当にお疲れ様でした。我が国を救って下さった事に心から御礼申し上げます」

「ただいま戻りました。頑張って良かったです。色々と美味しい物が見つかりましてね。最高のぐーたら生活が出来そうです」

「「ははははははははっ!!」」

 子爵の家が完成したらしく、今は公爵夫婦もそっちに移ってる。もう少し堪能したら帰るって聞いたよ。やっぱり離れたくなくなってるってさ。

 町のヒトとも順応したんで別荘を建てる事も決まったらしい。

 取り敢えず全員を書斎に通し、読書室に料理関連と魔法関連の記録を引っ張り出した。

「これ全部レシピですか!?」

「魔法でこんなに膨大な記録を!?」

「うん。レシピは頑張って探して。一応系統別に記録してるけど、材料別じゃないんだ。魔法は念の為基礎から読んで。最後の方に誰でも魔法が使える様になる研究記録が有る」

「「ええええっ!?」」

 まあ、読んでくれたまえ。

 ここの中なら閲覧自由だ。

「アイラ殿の英知は素晴らしいだろう」

「偉大とお呼びしても良いくらいですよ!」

「誰でも魔法を使える日がくるなんて!」

「私も驚いた。アイラ殿のおかげで神官魔法が使える様になってな」

「「おおお!」」

 あ、公爵も適正が生まれたか。

 ポーション作り頑張ってたもんなー。

「ポーションの質はどこまでいけました?」

「サーディス殿の指南もあって青まで辿り着ける様になりましたよ。あの時は感動しました」

「「おおお!!」」

 おー、青行ったかー。

 なら朗報を伝えよう。

「新しく見つかった幾つかの薬草で、材料を揃えれば初期の段階から青ポーションや紫ポーションが作れます。赤ポーション狙えますよ」

「「おおお!!」」

「素晴らしい!赤ポーションに挑戦してみたいです!」

 ポーションの材料も見つかってるんだよねー。

 更に大きいのはあれだよ。

「ネクタルは残念ながら青スタートが叶いませんでしたが、紫ネクタルは揃いました。赤ネクタルまで行けば収益が跳ね上がりますね」

「「おおおおおおおおっ!!」」

 赤ネクタル狙えるんだー。

 後でファリスとサーディスに教えなきゃ。

 両国の宮廷錬金術師には魔法薬も仕込むつもりだから頑張って赤ネクタルまで到達して欲しい。そこから宮廷神官に伝授だ。

 ボクがアレス達と初めて会った時に見せたのが赤ポーションと赤ネクタル。つまり都レベルで取引される質って事。そりゃ利益も跳ね上がる。

 さて、続いてマーク。

 料理レシピの書き写しに夢中になってるヒト達には聞かせられないんで防音障壁を張ると一言断ってから張って話そう。

「軍事に関しては記録を残してない。でも実践経験はかなり豊富だし、指揮官経験も同様だ。最大で五万の軍勢を率いた事が有る」

「「五万!?」」

 記録こそしてないけど研究はしてた。

 それこそ何百年と。

「実はアルゴニアに反旗を翻して勝ってる。詳細は後回し。反乱軍は魔族とヒトの混成軍で総勢十一万。その運営経験から教えられる事を全て叩き込む。しっかり着いてこい」

「はい!」

「アイラ殿…っ!私も気になるのですが…っ!」

「あはは。同席して下さっても構いませんよ。公爵なら安心して話せますしね」

「忝い!退いたとは言え騎士として非常に興味があります!」

 それもまた一興。滞在時間がまた伸びそうだけども。何なら顧問としてマルクス王国軍に顔を出させても良い。

 話はこれで終わりなんで防音障壁を解こう。

「難しい話は終わり。どう?良いの有った?」

「美味しそうな料理ばかりですよ!」

「挿絵まで入ってて凄く助かります!」

「挿絵!?アイラ殿、私も見せて頂きたい!」

「どうぞどうぞ」

 ほんと夢中。

 ボクも手伝おう。材料から探せるし。

 ボクの記録を最大限に活用して貰うんだ。

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