04-せんとう めんどい-
枷が揃い、封魔の枷も間に合った。
そして国王軍が到着。
「貴様がこの一帯を拐かしていると言う魔族か!」
笑える事にまた一人前に出て来た。
公爵が言うには国同士での戦争における礼儀作法らしいけど、魔族相手にやるのは間違っていると賛同して貰えてるよ。ほんと馬鹿。
「もうそれで良いよ。面倒臭い。アニー、やれ」
【了解!】
馬鹿馬鹿しいんでさっさと片付ける。
吹き飛ばして武器を奪って。
三千人なんで何回かやる。楽勝。
「皆、もう良いよ。枷を頼む」
「「おう!」」
無力化したら冒険者の皆を呼ぶ。
枷の為にイキシアとアッサムの冒険者に隠れ潜んでて貰ってた。魔法職五百人に枷を着けるとかボクとファーナだけじゃ無理。
アニーの頑張りに盛り上がりながら枷を着けていってるよ。
「アニー凄かったな!」
「後で目一杯撫でてやろうぜ!」
「おーい、レン!神官片付いたぞー!」
【感謝致します!総員、拘束の為に待機!】
【【はっ!】】
順調順調。
公爵も来てくれたね。見てみたいって言い出したんで、指揮官の判別を頼んでたんだ。
「いやはや。話になりませんでしたな」
「アニーのおかげですよ。流石は伝説の魔物と名高いエアニードルです。契約出来て本当に良かった」
「確かに。消えた様にしか見えませんでしたよ」
アニー大奮闘。後で皆に撫でて貰いなさい。
アイリス方面には軍を送られてないんで、そっちはもう警戒を解いてる。交易を途絶えさせる訳にはいかない。物流が順調に戻ってるとも聞いてるから安心だ。
【主人!やった!アニー!やった!】
「本当にお疲れ様。ほれ、来い来い」
【主人!好き!主人!好き!】
目一杯撫でたら町に行って貰って皆に報告して貰おう。そのまま撫でて貰うと良い。
冒険者達と厳重に固めてれば大丈夫だろうし、公爵にも軽くで良いから監視を頼んでアッサムのヒト達を戻していこう。イキシアも警戒態勢を解いて良いな。
「アイラ殿。この者です」
「ありがとうございます。とりあえず拘束だけするかな」
そんなこんなで司令官を発見。
ぐるぐる巻きに縛ったらフィーナに頼んで治療して貰おう。
ちなみに国王軍の治療は冒険者達だけでやって貰う事になった。回復魔法が使える奴だけアイリスからも呼んである。やっぱりレン達が心配だからね。
「しまったなー。適当な亜人系とも契約しとけば良かった」
「ふむ。亜人系と言うとゴブリン等でしょうか」
「ええ。人海戦術が使えますからね。…汚いし不細工だから気乗りしませんけど」
「ぶふっ!?た、確かに、それは…っ!」
消費が軽くて二足歩行でそれなりの見た目って奴居ないかなー。
ドッペルゲンガーだと生活の邪魔になるし、あまり軽いとは言えないし。
まあ、こんな機会はそうそう無いだろうから諦めておこう。
全員の拘束が終わったんで、司令官を引っ張り出して叩いて起こす。
「ぬおっ!?」
「起きたか。大人しくアイラ殿の話を聞け」
「マスカーニ公爵閣下!?何故魔族と…」
「大人しく聞けと言った。こちらのサキュバス、アイラ殿はマルクスの大恩人だぞ。とにかく大人しく聞け」
公爵のおかげで黙った。
流石はマルクスの英雄だ。これで交渉と言うか脅しに入れる。
目一杯脅す為に雰囲気変えるから。
「「うお…っ!」」
立ってるだけで解る程の威厳。
でも知性を感じる雰囲気。
「我はアイラ。魔族の間では賢き魔の姫、魔賢姫と呼ばれている者。争いを好まぬ故、この地に移ってヒトと暮らしておる。魔族故に貴様等が我を恐れ討伐しようと考えるのは理解してやるが、町の様子をロクに見もせず我を敵と見なすのは少々不愉快ぞ。故に、貴様。友好的に事を進めてやるから我を王都まで案内せよ。嫌とは言わせぬ。貴様が嫌と申すのであれば、この場で捕らえた貴様の部下を悉く殺し、貴様の脳から王都の場所を吸い上げ、王都に我が僕たるグレーターエビルを放ち王都を滅する」
「従え。アイラ殿は本当にグレーターエビルを呼び出せる。放たれたらマルクスは確実に滅びる」
「は、ははぁ…っ!」
公爵に会わせた事は無いんだけどね。
会ったとは言ってないから嘘ではない。
「公爵殿。相済まぬが、兵達の監視を頼む。もし順応する者が出たなら案内をしても構わぬ。高貴なる爵位を持ち高潔と名高い貴殿に案内役を頼むのは真に心苦しいが、バランにも声を掛けて共に見せて貰いたい」
「お任せを。これもマルクスの為。貴族の義務として国に尽くしましょう」
宜しくお願いします。
さて、それじゃユニコーンを呼ぶか。
「ユニコーン…。聖なる一角馬が何故…」
【決まっておろう。我が主こそ真に高潔にして偉大なお方だからだ。あまり我が主を煩わせるな。さっさと馬を用意せよ】
「シャルロット、無理を申すでない。この者は縛られておるのだ。今縄を解いてやる。逃げるでないぞ」
「は、ははぁ!急ぎ馬を連れて参ります!」
うむ、苦しゅうない。
フィーナもボクの前に乗せよう。
離れないと言われちゃったし、一緒に乗せた方が安全だ。
「あいつの階級は何です?」
「師団長です。三個師団ではありましたが」
なら師団長と呼んでやろう。
毎回貴様と呼ぶのも疲れるし。
本来の姿のまま王都まで行く。
こうなると素性を隠す必要が無いからね。
それに怯えるヒトばかりじゃない。
「あ!アイラさん!」
「おおお!?無事でしたか!」
「ああ。全員無力化して捕獲出来た。これからマルクスの王と会うつもりでな。それらしい素振りを見せているがご容赦願う。平和的に丸く収めるつもりだし、もしかしたらここにも何か助言出来る様になるやもしれん」
「「わああああああっ!!」」
「ぬお…っ!」
ボクと会った事が有るヒトも居る。王国軍が通って心配してくれてたみたい。
助言出来るかもって言葉に大喜び。
「ま、魔族なんだろ…?」
「確かに魔族なんだけどさ!凄え良いヒトだし、色んな事を知ってるらしいんだよ!」
「トアイライト地方って名乗り始めたらしいけど、トアイライトに行ってみなよ!凄い物ばかりあるの!食べ物全部美味しいし、アーティファクトも安く売ってるんだよ!」
そこから感染。
怯えてたヒトも少しずつ期待顔。
ちょっと速度を落とそうか。
「あ、アイラ様、今の話は本当なので…?」
「うむ。我は貴様等が古代魔法文明と呼ぶアルカナ文明の時代から生きておる。当時はヒトと魔族の間で交流が有り、我は様々な英知をアルカナ文明人から授かった。愚か者のアルゴニアがヒトに多大なる迷惑を掛けた事も有り、静かに暮らしたい我は我を受け入れてくれた者達にアルカナ文明の英知を返しておるのだ」
「なんと…っ!」
「「わああああああっ!!」」
よし、ここは完璧。勝った。
皆して歓迎してくれる様になったよ。
「アイラさん!せめてアイスだけでも!」
「ははは。その程度なら造作も無い。帰り掛けに教える故、定食屋に声を掛けて金属製のボウルを用意させてくれ。バニラオイルはイキシアから取り寄せねばならぬだろうが、無くてもそれなりに美味であるし、後で取り寄せれば良いからな」
「やったーっ♪あれ大好きなんです!」
「俺も!定食屋を梯子してくる!」
「私も行く!アイス食べたい!」
アイスが有るだけでも違うよねー。
あー、いや、あれだ。
「師団長。どうせ王都まで日が掛かる。我を受け入れてくれた町で泊まり、アイスクリームと言う甘味を伝授しながら行くぞ。皆、今日はここに泊めさせてくれ。許してくれるのであれば、我等が泊まる宿に定食屋を集めて欲しい」
「「わああああああっ!!」」
どうせ二日は掛かるんだし、それならペースを落としてアイスを広めながら行こう。
皆にもそれを伝えれば問題ない。
「おおおおおっ!なんと美味な!」
「だろう。材料が一つ足りぬ故にトアイライトの物とは少し味が違うが、我もこれが好きでな」
宿に定食屋を集めてアイス作り。
町中の定食屋がボウルを持って集まってくれたんで、フィーナと手分けしてアーティファクト化しつつアイス作りを教えてあげた。
未知の味に師団長も大喜び。同時に頭を下げてくれたよ。
「これまでのご無礼、心よりお詫び申し上げます。我がマルクスの為にこの様な素晴らしいデザートやアーティファクトを齎して頂き、感謝の念に堪えません」
「構わぬ。襲われるのも承知の上で我はこの地に降り立った。魔族と一括りに考えれば自業自得。民の為と我に立ち向かった師団長の勇気を称えこそすれ、咎める事など何も無い」
「感謝の極み…っ!」
「「わああああああっ!!」」
ちょっとしたパフォーマンス。
少しずつ解って貰えれば良いのだ。
「フィーナ。マルクス王と和解出来たら国内を回ってみるか。肥沃な国だし、何か良い物が見つかるやも知れぬ」
「ふふ。素敵ですね」
「おお…っ!」
「「わああああああっ!!」」
旅続きは疲れるけど、計画を立てて国内旅行って言うのも良いかな。
子猫ちゃん達やアレスのパーティを連れて色んな物を探してみたい。
「静かに暮らしたいが、出来れば不自由の無い贅沢な暮らしもしたい。良い物を探して皆に取り扱って貰おう」




