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淫魔さんの人間暮らし  作者: 仲田悠
第十一話「淫魔さん、武器を作る」
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03-新たな理解者-

 神器を打ってる間に子爵が戻ってきた。

 どうやら話がついたらしい。

「お、おお、おおお…」

「これは…」

「アイラさん、紹介しよう。私がお世話になっているマスカーニ公爵家先代頭首サー・アレックス・マスカーニ公爵様と、そのご子息様にして当代の頭首サー・アルフレッド・マスカーニ公爵様だ」

「「うおっ!?」」

――ザザザッ。

 思ってた以上に質素な服装を着た初老の男性と精悍な青年。

 公爵と聞いて皆が跪いたけど、これが中々。

「いや、畏まらず普段通りに頼む。我がマスカーニ家は代々宮廷以外で他者を跪かせるなと伝えてきておるのでな。大事な仕事を中断させる訳にもいかん。私達に気にせず続けて欲しい」

 内心で口笛。かなりまともなヒトだ。

 これは面白くなってきた。

「お初にお目に掛かる、アイラ殿。子爵から話は聞かせて貰った。オリハルコンの交渉は横に置かせて貰おう。今日は貴殿に会いたくて訪ねさせて貰った」

「私もです。子爵殿から聞いた話はどれもが素晴らしく、少しでもお話を伺えればと楽しみにしていました」

「恐縮です。申し訳無いですが、少々お待ちを。もう少しで彼の剣が仕上がりますので」

「お、おいアイラさん」

 良いから黙ってろ。

 ここで遮る様ならそれまで。遮らないとも解ってる。目の前でエンチャントだ。

「なんと…」

「魔剣、でしょうか…」

「いいえ。神の剣、神剣です。古代魔法文明、アルカナ文明と名乗っていた時代の錬金術師でも到達し得なかった正真正銘の神器ですよ」

「「おおお!」」

 よし、ボクの分は終わり。

 二人を案内するから、後は頼むねフィーナ。

「子爵。大変申し訳無いのですが、お二人を書斎に案内して頂けませんか。お茶を用意します」

「引き受けよう。ささ、お二人ともこちらへ」

「あ、記録はご自由に。出来るだけ早く向かいますが」

「ありがたい」

 子爵に案内をお願いしてお茶の準備。

 アッサムのお茶を売り込みつつ、最大限のお持て成しをする。

 準備を整えたら書斎に行こう。

 …って、公爵二人が思い切り唸ってるよ。

 政治の記録から見せると思ってたー。

「お待たせ致しました」

「お、おおお。ありがたい。いや、想像以上の英知をお持ちだ。先程までのご無礼、どうかお許し頂きたい」

「ああ、いえいえ。無礼と言う程の事ではないでしょう。…こちらを。隣町のアッサムで栽培しているお茶です」

「忝い。…なんと!」

「おお!なんと香り高い!」

 よし、アッサムを売り込めた。

 別の物も売り込むぞ。

「失礼ですが、お二人はお酒をお飲みになりますか?反対側の隣町で作られているお酒なのですが、一匙入れるだけでまた違った味わいを楽しめるんです」

「おおお。それは是非とも。昔から酒だけはやめられず」

「私も是非。父程ではありませんが嗜んでおります」

 アイリスのブランデーを一匙。アイリスも売り込んでやる。

「「おおお!」」

 よし、ばっちり。

 ボクの意図に気付いた子爵が苦笑い。

「甘味も用意させて頂きました。ここイキシアで収穫している香草、バニラを使ったアイスクリームと言うデザートです。甘いだけでなく、冷たくて美味しいですよ。」

「初めて見るデザートだ…。おおおっ!」

「なんと美味な!」

 トアイライトの宣伝完了。

 ブランデーをアイスに垂らすのも教えてあげよう。ハマるが良い。

「な、なあ子爵。この辺りではこんなに美味いデザートが食べられているのか?」

「左様に御座います。アイラさんはアルカナ文明時代から世界中を旅し、様々な分野において記録を残してきた生き字引。料理もデザートも我々が知らぬ物ばかりご存知なのです。しかもその全てをイキシア、アッサム、アイリスの町の者に開放し、新たな産業を幾つも齎してくれました。これ等の味も全てアイラさんの助言によって生まれた物です」

「昔から甘い物が好きでして。それに合うお茶のいれ方も追求してきたんですよ」

「おおお…」

「なんと聡明な方か…」

 中身はちょっとアレだけどねっ。

 ボクお利口さんだからっ。

「改めて自己紹介を。ボクはアイラ。変わり者で平和主義者なサキュバスです。元ムスペル反乱軍副司令官にして、元ムスペル王国総務大臣兼財務大臣農林水産大臣兼文部魔法大臣兼国土交通大臣兼環境大臣で、今はここイキシアで酒場と遊具場のオーナーをしています」

「「……」」

「そ、そんなに要職を兼任していたのか!?」

 初めて明かすけど、実はこれが前の職。

 そりゃ激務にもなるって。殺人スケジュールな毎日だったもん。

「子爵には話しませんでしたっけ?政治以外はボクがやっていたと」 

「ぬう!?ここまでの知識をお持ちながら政には関わらなかったと!?」

「ああ、いえ。どれも政治の内ですけど、ボクは裏方を全部引き受けてたんです。宰相職はボクが政治を叩き込んだ仲間にやらせました。反乱軍と言った通り、アルゴニアが相手でしてね。最後の決戦で大臣候補がかなり倒れてしまった為、後任が育つまではボクが纏めていました。流石の魔族でも忙殺されそうな日々でしたので、思うところもあって後任が育ったのを確かめてから、疲れたと言って抜けて来たんですよ」

「「……」」

 三人ともあんぐり。ボクは涼しい顔でお茶を飲む。良い出来だ。でもフィーナがいれてくれたお茶の方が美味しい。逆にそれが幸せ。

 落ち着くのを少し待ってから続けよう。

「魔族の国の正式名称はムスペル王国。魔王アルゴニアはボクと親友が立ち上げた反乱軍によって魂に至るまで消滅し、今はボクの親友が国王、つまり新たな魔王として統治しています。愚か者のアルゴニアが懲りずに愚行を繰り返し続けた事で魔族側も疲弊していましてね。鬱陶しいので殺して改革してきました。親友が魔王で居る限りムスペル側からはヒトを襲いません」

「なん、と…っ!」

「正真正銘の英雄ではありませんか…っ!」

 うん、俗に言う英雄。飾るつもりはこれっぽっちも無いけど。

 自覚はちゃんとしてる。ボク規格外なんだと。

「あ。町のヒト達にはこの事を話していません。お二人と同様に跪かせるのは嫌いでして。元から平和主義者ですしね。根が怠惰な淫魔なものですから、平穏に暮らしたいんですよ」

「いやはや…。想像を遥かに超えた方だ」

「ええ。確かに魔族と思えません。ヒトでもアイラ殿の様な方は稀でしょう」

「三つの町、今年からトアイライト地方と三つの町で呼ぶ様になりましたが、トアイライトの民はだからこそアイラさんを心から慕っているのです。繁栄を齎してくれた賢者ではなく、面倒見の良い優しいヒトとして慕っているのですよ」

 それは本当に幸せ。

 皆を守る為なら何でもしたい。

 ムスペルに居た時は反乱軍時代でもここまで考えなかった。

「不躾ながら、一つだけお聞かせ頂きたい」

「なんでしょう」

「アイラ殿から見て、我が国はどう映りましたか。…いえ、率直に伺いましょう。我が国の陛下をどう思われましたか」

 おっと、いきなりずばっと来た。

 ちゃんとボクを受け止め、認めてくれたね。

 ならボクも答えよう。

「忌憚なく申し上げて良いでしょうか」

「是非とも聞かせて頂きたい」

「無能。その一言です」

「「ぬう」」

 あ、やっぱり納得した。無能だよね。

 真っ当な思考なら無能だと考える。

「この地はとても恵まれています。肥沃な土地に豊かな自然。資源も悪くなく、他国からの輸入に頼らずとも十分にやっていける。ですが、残念ながら宝の持ち腐れとしか言い様が有りません。各町に各分野の学者を送るだけで国益が何倍にも膨れ上がるのに、国益の事が頭に無いかの様な長閑ぶり。ボクは魔族なので人道に関連付けて物事を言える筋では有りません。ですから自分の施政論のみで語らせて頂きますが、国を治める気が本当にあるのかと小一時間問い詰めたいですね」

「成る程、国益。子爵から奴隷開放の話とアイラ殿のお考えを聞きました。国益の点から考えての奴隷制度反対には目から鱗が落ちまして」

「無駄な制度でしょう。下策そのものです。その奴隷を開放し、学者に見つけさせた資源を栽培或いは採掘する労働者として割り振れば国益どころか国力も上がるんですから。困るのは奴隷を取り上げられた怠け者とその懐、後は怠け者どもから袖の下を貰っている輩くらい。それだけで名声も国益も国力も得られるのですから、開放しないのは下策としか言い様がない」

 人的資源の浪費なんだよねー。

 子爵からこの国の人口を聞いてるんだけど、浪費出来る程にヒトは多くないんだよ。

「もう一つお尋ねしたい。これは純粋な興味から来る質問ですので、あまり深くお考えのない様にお願いしたいのですが。もし仮にアイラ殿が今この国の実権を握った場合、一年でどれだけ国益を高められるとお思いですか?」

 ん、それは面白い質問。

 ただ、ちょっと条件がきつい。

「三年頂けません?この国の豊かさは自然による物ですし、特に農業は農耕開始から収益を上げるまで時間が掛かります」

「む。確かに。では三年で」

「この国の豊かさだけでなら五倍。ボクの知識も使うなら十倍から十二倍は固いですね」

「「なんと!?」」

 食い物だけで五倍行くって。豊か過ぎる。

 鉄資源だってアイアンホークの鉄鉱山以外にもう一つ鉱山を抱えてるんだもんよ。

 酒造法が緩すぎるのも有るし、そこをしっかり纏めたとしても各地で作らせれば余裕余裕。

「アイリスを思えば納得してしまう」

「でしょう。アイリスで六倍らしいですよ。美味しい食べ物万歳ですって」

 そろそろ夕食の時間だし、公爵達にはウチに泊まって貰って書斎で話をしながら食べようか。

 流石に爵位最高位の公爵ともなると、居間で一緒に食べるのは家族に悪いしね。


 公爵の配慮で宿の部屋で待ってた公爵の奥さんも呼び寄せての晩餐。町長さんには挨拶してるらしいけど、泊めて貰うのは町長さんに悪いと宿をとったらしい。

 フィーナも同席させたいんで、ボクの事情もちゃんと話した。性同一性障害には驚かれたけど納得もしてくれた。

「ううむ。失礼ながら、とても面白い方だ。アイラ殿程に見目麗しいご婦人は初めて見たのに、男性と話しているのではと錯覚していましてな。妙に納得してしまいました」

「あはは。そう言って頂けると。おかげで本来の食料となる相手探しが大変で。フィーナがハイエルフだったのは人生一番の幸運ですよ。ハイエルフは性別すら差し置いて心の純度で相手を決めるそうでしてね。二重の喜びです」

 わりと柔軟なヒトらしい。奥さんも同じ。

 お酒も飲むらしいから色々と披露しつつ楽しい晩餐になってる。

「急に子爵が息子に家を継がせたので首を傾げていたが。成る程、これでか」

「ははは。明日にでもご案内致しますが、トアイライトは何もかも目新しい物ばかりでしてな。食事は何もかも美味く、知っている物の質も信じられないくらい高く、初めて見る物が沢山有るのです。あのメイドゴーレムの元となった踊るゴーレムの話を聞いて家督よりここでの生活をと即断しましたよ。とにかく飽きない」

「ずるいぞ子爵。私にも声を掛けてくれ」

「ははは。申し訳有りません。何分、アイラさんの事情が事情です。公爵様方を疑った事など一度も御座いませんが、アイラさん自身とも話し合ってからお声をと思いまして」

 色んなお酒に上機嫌。

 自分も引っ越すかと真面目に考えてる感じ。

 息子さんに継がせてるんだから来ようと思えば気楽に来れる。でも地位が地位だから逆にここの良さを損ないそうだと葛藤してる感じかな。

「何でしたら、マスカーニ家の料理人を寄越して下さい。王都に入る食材で作れる料理レシピを写して貰えば料理だけなら良くなります。お酒でしたらボクから送らせて頂きますよ。これ等も全て自家製でして」

「おおおお!それは是非ともお願いしたい!」

 うん、やっぱりそんな感じ。

 他にも色々と珍しい物を定期的に送ろう。

「さて。折角お越し下さったのです。気軽な談話程度にお聞き下さい。まず、先日はオリハルコンを買って頂いてありがとうございます」

「いやいやいや。こちらこそ感謝致します。あれだけの量を一度に買えるとは思いもしませんでした」

「丁度物入りだったところなので助かりましたよ。それで少し子爵から聞いたのですが、何でも剣をご所望とか。後どれくらいで一振り分になりますか?」

 …お?おおお?

 なんだ、あれで一振り分揃ったのか。

 それなら話は早いね。

「アルフレッド公爵」

「あ。私の事はどうかアレフとお呼び下さい。出来れば普段通りに接して頂けると」

「ならアレフで。ちょっと頼まれてくれない?今年一杯、目が届く範囲で範囲で良いからボクの事を暗黙の了解にする様に話して欲しいんだ」

「元よりアイラ殿の事は黙するつもりでしたが、何故今年一杯と?」

「ううむ。本当に聡明な方だ。国税の増加で陛下の耳に届く事まで見通しておられるとは」

「成る程!」

 ちょっとアレフがまだ頼りないかな。

 騎士団長ともなれば政治はちゃんと勉強した方が良いんだけど。

「一本分揃ってるけど、問題は加工だ。この国だと恐らく誰も加工出来ないんじゃない?」

「お察しの通りです。ですから多少失敗しても良い様にもう少し集めてから他国を当たろうと思っていました」

「うん。それボクがやるから暗黙の了解化をお願いしたい」

「本当ですか!?」

「おおおおおお!お願い出来ますか!」

 どうせ今打ってるとこだし、元からこの交渉を持ち掛けるつもりだったし。

 まともなヒトだから打ってあげよう。

「それと、公爵にも一つお願いが」

「どんな事でも聞きましょう。オリハルコンの剣はマスカーニ家の夢でしたので」

 あ、家で追い掛けてた夢だったか。

 良い交渉になったし、もう一つ喜んで貰おう。

「食後にチェスを一局。公爵に喜んで頂ける様なチェスが有りましてね」

 フィーナに取ってきて貰おうか。

 ウチのをそのままあげちゃおう。


「チェックメイト」

「ぬぅ。参りました」

 動くチェスに二人とも大喜び。

 あげると言ったら更に喜んでくれた。

 でもこれが本命じゃない。

「チェスの物珍しさで思考を鈍らせてしまいましたね。少々卑怯な手でした」

「いやいや。確かに素晴らしいチェスだと感動しましたが、そうでなくても勝てなかったでしょう。実に楽しい一局でした」

「それは良かった。これもゴーレムなんですよ。駒の形をして少し動くだけですけどね。ペンキゴーレムと言えば想像しやすいでしょうか」

「おおお…。成る程、ペンキ」

 そろそろ本題に入ろう。

 またちょっとした相談だ。

 この国の貴族に関する特権は法典や子爵から確かめてある。

「不躾ながらささやかな商談を。家一件分の土地を貸して頂けませんか」

「む?土地が必要なのであれば剣の…」

「いえいえいえ。それは暗黙の了解の件で十分に等価です。それとは別にお考え下さい。王都に遊びに行った時の別荘とでも言いましょうか。いずれ必要になる日が来るかもしれません。そこで、どうでしょう。土地を家一件分だけボクに貸し、更に地代を免除すると言う形でボクから別のオリハルコンの剣を一振り買いませんか?」

「なんと!?宜しいのですか!?」

「それだけで一振り!?」

「ええ。ボクは殆ど不老不死に近いですから。つまり公爵家名義のままボクに一件分の土地を譲れと言う事です。十分でしょう?」

 ニヤリ。

 子爵は苦笑い。

 抱える土地の広さも爵位の権威の一部みたいな感じだったんで、これなら公爵家に迷惑を掛けず王都に別荘を建てられる。

 何時かは王都に行く事になるんだし、だからと言って城で寝泊まりするのは遠慮したい。

 子猫ちゃん達の為に一泊二泊くらいはと思うんだけどね。

 長期滞在は目に見えてるんで、落ち着ける拠点が欲しいと思ってた。

 最初は子爵の土地をと考えてたけど、どうも子爵の土地と公爵の土地は隣同士らしいし、爵位が上の公爵の土地の方が城に近い。

 爵位で地代も変わるって話なのも大きいね。公爵家の土地がずっとタダなら、ボクの場合はオリハルコンの剣で十分等価と言える。

 そんなボクの狙いを公爵は気付いてくれたよ。

「マスカーニ邸の側の土地を用意しましょう。周囲の家に比べて少々小さい為に、どう使うかと考えあぐねていた土地が有ります。この屋敷の半分と言った所ですが」

「十分過ぎます。それでお願いしますよ」

 よし、成立。別荘確保。万歳。

 これは色々と面白くなるぞ。

「魔族なだけあって、召喚魔法と言う魔物を従える魔法を使えましてね。契約した魔物を使い魔として魔物の特性に見合った仕事をさせられる訳ですが、ボクの使い魔の中に透明になって長距離を飛べる運搬に向いた大鷲の魔物が居るんです」

「ぶくふっ!?し、失礼を…っ!」

「く、くくく…っ!それは、その、私達の方が得な話に聞こえますな…っ!」

 成立して良かったでしょー?

 そう言う事なんですよー。

「話は変わりますが、ボクはアーティファクトも作れます。ここで販売も始めていて、その中の目玉商品に幾らでも物が入る魔法の鞄と言う便利な物も有るんです」

「公爵様…っ!これがアイラさんです…っ!」

「本当に面白い方だ…っ!それは是非…っ!」

 物を送るから受け取れって話。

 その為にも幾つかお願いしないとね。

「落ち着いていて下さいね」

 エアリーグルかもーん。

【お呼びでしょうか、ご主人様】

「「おおおっ!」」

「うん。まず、名前をあげよう。今日から君はアンネローゼだ。アンネって呼ぶね」

【ありがたき幸せ!ご主人様に絶対の忠誠を!】

 忠誠心が凄く高いし賢くて良い。エアリーグルは皆こんな感じらしい。最高。格好良い。

 働き者でもあるんで、ムスペルとの交易を頼んでるファルとフェルなんかフィーナとファンナの手紙のやり取りだけでも二羽揃って請け負ってくれてるよ。

「この二人は王都の公爵家、マスカーニ家のアレックス公爵とご子息のアルフレッド公爵。今度マスカーニ家の土地、しかも二人の家の側に別荘の土地を貸して貰える事になったんだ」

【成る程、お任せ下さい。どの様な物でもお運び致しましょう】

「「おおおおっ!」」

 話が早くて助かる。賢いって良い。

 一応、消えたり出たりして貰おう。

「夢を見ているかの様だ」

「ええ。魔物と会話出来るなんて」

「魔物にも色々と個性が有る様で、私も良くして貰っていましてな」

 あ、それささやかなお強請りって感じ。

 いいですとも。

「トアイライト内ではすっかりお馴染みです。そこで、如何でしょう。ボクのペガサスに乗って観光しません?」

「「ペガサス!?」」

「私も妻の分と合わせて二頭借りているのです。実に気持ちいいですぞ」

「「おおおおっ!」」

 ペガサスで慣れて貰って、大丈夫そうならインビジブルエアをつけよう。

 そこから邸内の使用人にも慣れて貰えば荷物の受け取りも楽ちん。

「アイラさん、インビジブルエアにも会って頂こう。どうせそのつもりだろう?」

 子爵も大分ボクを解ってきたね。

 もちろんいいですとも。

 二人に一匹ずつつけちゃうよ。

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