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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
入学編
4/35

第4話 俺の異能は恐怖の対象

よろしくお願いしま〜す

「はい、それじゃあ異能を鑑定するから、右手を機械の中に入れてください」


「あぁ、このセリフをこんなお婆ちゃんじゃなて、可愛い人に言われたかった…」


 と誠は愚痴をこぼしながらも、血圧測定器の様なものの中に自分の右手を入れる。


「はい。計測は終わり。じゃああなたの異能を発表します。あなたの異能は…」


 因みに俺の望む最高の展開は、ほかに類のない、特殊で最強の異能を手に入れて尊敬される。

 これなら、この学園でもハーレムが作れるかもしれない!

 と、誠は本気で自分の異能が、特殊かつ最強の異能であることを願う。その刹那、


「貴方…こ、この異能は…もしかして…」


 と言うこの人の顔は相当困惑している。


「あ、あのもしかして俺の異能は特殊ですか!」


 対して誠の顔は、異世界に来て1番口角が上がっている顔だ。


「え、えぇ。こ、これは…」


「これは⁈」


 遂に俺のハーレム人生の幕開けか!さよならぼっちの俺!ようこそクラスの人気者の俺!


「これは…魔王系統の異能です…実際に今までに魔王系統を所持した一般人はいないのですが…」


「あの…それってさっき言ってた最強の方の異能ですか?」


「いえ…違います。()()()()()()()()


 な、なんてことだ…俺の特殊最強異能でハーレム作りという夢が…まさか俺の異能が、ただ珍しいだけなんて…

 と誠が考えていた時、保健の先生がいきなり言った。


「ちょっとこれはまずいね。完全にクラスで浮いてしまうと覚悟してください」




 …え?いきなりなんですか?俺が第2の学校生活を頑張ろうというムードに、やっとなりかけて来たのにいきなりなんですか?浮くんですか?ボッチですか?あの忌々しい過去が繰り返されるんですか?


「………………………」


 そんな困惑する誠に保健の先生は話を続ける。


「魔王系統を所持するということは、たとえ冤罪でもみんなから魔王関係者と思われる可能性。

そうは思われなくてもちょっと引かれたり、恐怖の目で見られたり…」


 え?なにそれ?

 なんですかその異能。強くもないのに無駄に珍しくて、そのくせ恐怖の対象として見られる異能?


 ()()1()()()()()()()()()()


「……………………」


「い、一応貴方の異能が何なのか教えとくよ…貴方の異能は時間停止だ」


 なにそれ!早く言ってよそれ!時間停止ってそれすごいじゃん!強いじゃん!

 アニメのキャラは時間停止使う人結構多くて、そしてみんな強いんだよ!


「良かったです!まだ救いようのある異能でした!結構強いじゃないですか!」


「…あの…誤解を生まないうちに言っとくけど、この異能は15分に一回しか発動できないんだ…だから戦いでは不利かな…」


 マジカッ!インターバルがあるのか!

 誠の腹にアッパーが突き刺さる。


「あと…この異能、一回で止められる時間は…5()()だからね…」


 なにそれ!使い物にもならないたったの5秒!

 誠の腹にストレートが突き刺さり、誠KO。


「でも、一応世界全体の時間を止めれるんだし、指名した物や人をその5秒間自由にさせられるから。諦めないでね」


 ひとつ言っていいか。

 その慰めの言葉、お婆ちゃんに言われても全然嬉しくないし、俺は今自分の異能に絶望しているんだ。そっとしておいてくれ。


「じゃあ一応、今日の放課後に保健室に来て。魔王系統について詳しく教えるから」


 そう言い残して保健の先生は、次の出席番号の人を呼んだ。

 誠は魂の抜けたような顔で列に戻って行った。




☆☆☆☆☆☆☆




 全員の異能鑑定が終わり、大多数の人間は笑顔で、誠を含む少数は死んだ魚のような目をして教室に戻った。


 そして席に着いた俺たちに、十文字先生がいきなりびっくりすることを告げた。


「おいお前ら!特に発動系統だったやつらはそんなニコニコしてていいのか?

その系統は、使う人間のセンスによって、火力が1にも1000にもなる。センスがなきゃ、強化系統のやつらより弱いからな!」


 そう言った途端、教室の一部が凍りついた。


「次に召喚系統のやつら!召喚獣に頼ってばかりだと愛想をつかされたりするから、自分でもしっかり戦えるようにしろ!」


 また、教室の一部が凍りついた。


「最後に強化系統のやつら!お前らは元の異能は他より劣るが、1番努力が結果に出る異能だ。

何故だかわかるか?それはな。自分のステータスを伸ばせば、その身体能力が倍増するから、鍛えればそのぶん強くなれるからだ。だから諦めるな!」


「はい!十文字先生(かみさま)!頑張ります!」


 教室の一部が、燃え上がった瞬間だった。



「じゃあ次は大事な知らせがある」


「はい!何ですか、ボス!」


 もはや、強化系統の人たちは、十文字教の信者となっていた。


「いや、そのノリはやめろ…まぁ、これはともかく、みんな聞いてくれ。唐突だが、お前たちには3人1組のチームを作ってもらう。チームってのは、これから先一緒に戦っていく仲間だ。

 要するに、ゲームでいうパーティーを組んでもらう。そのチームが、この先常に共に戦っていくことになる仲間だから、しっかり考えて決めろよ。期限は明日までだ。

これはアラスト学園の恒例行事だ!」


 十文字先生がそう言うと、誰が質問した。


「そのチームで戦うのはいつですか?」


「それは、チーム結成から1週間後だ。クラス内チーム戦を行う!いわゆる模擬戦だ!自分の異能と、仲間の異能を駆使して、1位目指して頑張れ!」


 そう十文字が言うと、


「ウォッシャー!やってやろうじゃねぇか!」

「俺発動系統だけどチーム組むやつ挙手!」

「私たちもがんばろ!」


 クラス全体が一気に熱くなった。


一方、誠はと言うと…


 俺の異能でやって来てくれる人いるのかよおい!ぼっち生活シーズン2の始まりか。引きこもりまでの道のりは近いな。

 異世界まで来て?あぁー

と、心の中で嘆き続けていた。


「チーム制とかぼっちの敵だろ!」


 そして遂に、誠の心の嘆きは声となった。




次もお楽しみに〜

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