第2話 逃げ場の無い絶望
よろしくお願いしま〜す
どうすりゃいいんだ。
考えろ、夢にまで見た異世界転移を、学校の存在一つでドブに捨てていいはずがない!
考えろ。考えろ考えろ考えろ……
誠はしばらく黙り込んで、真剣に考える。と、ふと思いつく。
「そうだ!俺はまだ学校の生徒ではない。
なんだそうじゃないか。俺は別に生徒じゃない。
俺はこの学校とは、まだ無関係なんだ!」
よし。とりあえずこの学校近辺から逃げ出そう!
そう考え、誠は逃げ出した。しかし走り出すとすぐ、人にぶつかった。
「痛って…あ!すいません!前方不注意でし…」
「お前。アラスト学園の生徒だろ。
しかもその校章は1年のもの。もうすぐ入学式だ。学園はあっちだぞ。
道に迷ったのか?俺はあそこの教師だから一緒に行くか」
あ。あの建物は学校じゃなくて学園だったんだ…
「じゃねーーーーよ!なんで俺が生徒?は?意味わかんないんですけど」
「おいお前。意味わかんないなんていうな!お前のその制服が生徒の証拠だろ」
ん?そんなの着てるわけないじゃん。
部屋着のままこっちに来たばかりだからジャージ…
「なんで!なんで!なんで俺は制服を着ているんだー!」
困惑する誠にすかさず目の前の教師がつっこむ。
「俺が聞きてーよ。そんなの!」
誠はダメ元で今までの経緯について説明すると、教師は急に納得したように俺に言った。
「なるほど。そういうことか。まぁ、とりあえず俺についてこい。ミラさんにも会えるから」
そう言ってその教師は誠の手を引きながら学校。じゃなくて学園の方に向かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆
学園についた誠に向かって、教師は言った。
「じゃあ入学式に出席しろ。因みにお前の席は、お前が異世界に来た時からある。
出席したらお前の疑問、
例えばなぜ異世界に来てまで学校に行くか。
とかが分かるからさ。
まぁ、落ちついていれば大丈夫だ」
「大丈夫。とか言ってたけどこの状況何なの?
超絶場違い。誰か助けてくれよー」
入学式が始まる前に席についた誠は、あまりの場違いさに泣きかけていた。
そんな誠をよそに、いきなり入学式は始まった。
「これより、第25回アラスト学園入学式を挙行いたします。まず始めに校長によるお話です」
そう言って壇上に上がったのは、長い金髪の美少女。
彼女は紛れもなく、ミラだった。
「この世界出身の40人。そして、異世界出身の80人の生徒諸君。私はミラと言います。ミラ校長とでも言ってください」
途端に入学式のいたるところから、ミラちゃーんと言う声が飛ぶ。
この学園の1年生はみんなロリコンなのか?と言う俺の考えをよそに、ミラ校長は喋る。
「この世界出身の新入生は、既にこの学園の事についてわかっているとは思いますが、異世界出身の人たちはわからないと思うので、説明しようと思います」
今度は、入学式のいたるところから、良かった…と呟く人たちが多々。
みんな俺と同じ境遇なのか。と考える誠もまた、
「良かった…」
と呟いていた。
「簡単に言えば、この学園は異能というものを勉強する為の学園です。
何か質問はありますか?」
すると、何処かから質問が3つ聞こえた。
「授業料はかかるんですか?」
「なんで僕たちの様なこの世界の人ではない人間も、この学園に呼ぶんですか?」
「この学園はなぜ異能を教えるのですか?」
この3つの質問にミラ校長は的確に答える。
「始めの質問ですが、ここに来れるのは、精霊回廊を有する人だけなので、1000人に1人の才能を持った人だけなのです。
そんな人がお金が理由で来てくれないのは残念ですので、授業料はただです」
「ウォーーーーーー」
と、「ただ」と聞いただけで入学式場は叫び声で溢れた。
「二つ目の異世界人を呼ぶ理由についてですが、この世界の総人口はたったの100万人程度です。
なので人が少ないので異世界からも呼んでいるのです」
別に少なくてもいいんじゃないか?と、誠は思ったが、とりあえず3つ目の質問の答えを聴いた。
「最後の、なぜ異能を教えるのか?という質問ですが、これは、異世界の人でも分かっていた方はいましたよ」
と言いながら、ミラ校長は誠の方を見た。
「では教えます。なぜ異能を教えるのかというと、この学校を卒業したら、この世界に度々迷惑をかける、魔王軍と戦う、いくつかのギルドのうちの一つに入ってもらいたいからです。
要するに、魔王軍と戦う術を身につけてもらいたいからです」
あぁーそういう事だったのか。と、質問した人を含め、誠を含む、全異世界出身者は、揃って納得した。
「ただ勿論、魔王軍と戦うというのは怪我をしたり、命を落としたりすることもあります。
それが嫌であれば、今すぐこの学校を去ってください」
この言葉を聞いて、当然の様にこの世界の人はその場を動かない。まぁ、この事実を知った上で来たのだから当たり前か。
さらに、異世界出身者も、立ち去るものは、ほとんどいなかった。皆、魔王と戦うという面白そうなイベントをやってみたいのだろう。
しかも異能が使える様になるのは魅力的だ。
そして会場の中で、たった1人を除き全員が席を立たなかった。しかしそんな中周りの空気を物ともせず、立ち上がったものが1人いた。
その名も、皆さんご存知『伊達 誠』だッ!
「マジで!学校行かなくていいの!
やったー。マジで、異能使えることより、学校行くことへの辛さがやばいから」
そう言って、1人出口へ向かおうとする。その刹那、ミラ校長が誠に向かって言った。
「では頑張って職を見つけてくださいね。因みに未成年はこの世界で働けませんから」
その一言は、一瞬にして誠の最後の希望を断ち切った。
「これで質問はいいかしら?では、これにて、入学式を終わります。
因みに異世界出身の人達は、寮がありますので、そちらをご利用ください。
それでは、そこにクラス分けを発表したのでそのクラスに移動してください」
入学式は、誠に逃げ場のない絶望を与えたミラ校長の話だけで、すぐに終わった。
「異世界で学校生活か…もう嫌だ!」
誠は天を見上げて嘆いた。
次もお楽しみに〜




