第1話 異世界にそびえ立つ校舎
はっきり言って、更新頻度は遅めです。週2くらいで、たまに休業します。それでも、必ず書き続けますのでよろしくお願いします!
尚、この物語は、コメディとシリアスを交互に入れております。
一度シリアスになっても、ひと段落すればコメディに戻る予定なので、ご安心ください!
それでは長くなりましたが、この物語を是非楽しんで行ってください!
「暇だ……暇すぎる!」
約20時間ずっと、パソコンと向き合っていた一人の青年が、『ゲームクリア』の文字を確認したと同時に、薄汚いポテチの散乱した部屋で一人天を仰いだ。
この青年。名前は伊達 誠といい、現在の職業は引きこもりである。
いや、一応普通に生きようと努力はしたが才能が無さすぎた、と彼は自負している。
ではここで1度、彼の人生をプレイバックしてみよう。
・中学のはじめの頃、友達を作ろうとしたが結局ボッチ
・その後学業に燃えるが、惨敗し引きこもりとなる。
・その後小説をネットに投稿したが完敗。
・さらにゲームのプログラミングを勉強したが撃沈し、オンラインゲームでプロになろうとしたが不可能と判断。
とまぁ彼の人生に題名をつけるなら、下り坂である。
そして、そんな誠は現在、大好きだったゲームをクリアし終わってしまい、することがない状態にある。
「おい、勝手に人の人生ナレーションするな!
……って言うより、この世界は本当に残酷だ。才能の無い者には、ハッピーエンドが無い!そして究極暇かつ非生産的な人生となる!
あぁ…何故ゲームには終わりがあるのだ?
終わらないで欲しかった。そう今まで何度思った事だろうか!」
そうグダグダと言いながら、誠はベットの上に寝転がり、一人アニメを消化しようとしたその刹那、突如上から声がした。
「こんにちは。今日は貴方に用があってきました。
実は貴方を異世界に招待したいと思います」
え?ちょっと…あの…何?俺の人生バグった?と思い上を見ると、そこには金髪の女の子がいる。
もう何が何だかさっぱりわからねぇよ!でも取り敢えず何か言わないとな……
「ワンモアプリーズ?」
「ではもう一度言います。貴方を異世界に招待します」
ま、ま……マジか!よく分からないけど俺のこの人生にようやく光が差し込んだ!
いや、ここで興奮してはいけない。ここは順応した方が良い。俺は知っている。
「はい。俺なんかで良ければ是非、異世界に召喚されますが」
そうこれだ!これこそが最高の返答の仕方である!
「あの……今までの方はもっとびっくりされていましたが、貴方は何故驚かないのですか?」
お、ついに聞いてきたな。ここはカッコよく、この娘が惚れるような答えを!
「お前、俺がこの16年間何を考えながらこの狭い部屋の中にいたか知ってるか?」
「そんなの知っているはずありませんよ」
「そりゃそうだろうな。なら教えてやるよ!
俺はこの16年間。ただひたすら、自分が異世界に行ったらな〜とか、魔王と遭遇したらどうしようかな〜とか考えていたのだ!」
「貴方、考えることが残念ですね」
あれ?少女は哀れな目で俺を見ている…
ここは惚れるのがセオリーだろ!
仕方ない。
普通に異世界転移するか。
「そ、そういうのは置いといて。
まずはお前の名前からだな。聞きたいことはたくさんある。」
「あ、そういえばまだ名乗っていませんでしたね。
私の名前は、ミラ。向こうの世界ではそこそこ身分は高いんですよ。」
「へぇーそうなのか。
因みに俺の名前は伊達 誠。誠って呼んでくれ」
「分かりました。誠さん」
「いや、誠でいいよ」
「はい。誠さん」
「いや誠でいいって」
「いいえ誠さん」
「誠」
「誠さん」
「……」
もういいや。っていうかコントかよ……
「ところでミラ。なんで俺が異世界に行けるんだ?」
「それはいくつか理由があるのだけれど、一つは誠さんが1000人に1人の確率で人間にある、精霊回廊があるからです」
「まじか!この俺に、そんな才能があったなんて、人生捨てたもんじゃねぇーな!」
「あ、そういえば精霊回廊ってなんだ?」
「えぇ……詳しいことは向こうに着いたらわかりますが、簡単にいうとそれがあれば異能を一つ使えるのです」
「つまり俺は異世界に行けば異能が使えるのか?」
「まぁそんな単純には使えないですけど…」
こんなことが現実に起こるなんて、マジ神様ありがと〜
「そろそろいいですか?誠さん」
「おお。どんと来いや。今日の為に異世界転移用の、脳内シュミレーションは100周以上したんだ!」
「では、今からこちらの世界に誠さんを送りますが、一度行ったら目的を果たすまで地球には帰ってこれませんので。
その点はよろしくお願いします」
「それは大丈夫だ。俺は地球に帰って来る気はない。因みにその目的は魔王討伐か?」
そう質問すると、少し困惑したような顔で、ミラが答えた。
「はい…さすが脳内シュミレーションを100周しただけはありますね」
「おぉありがとう。それじゃあ最後に一ついいか?」
「はい。言ってみてください」
「ミラ。お前にまた会えるか?」
人生で一回は言ってみたい言葉ランキング、第3位を言えた!
「はい。恐らく遠くないうちにまた会えます。
あと、体力面などは心配しなくても大丈夫です。常人ぐらいは付けておきます」
そうか。それは良かった。
そう言って誠は、安心感 希望 好奇心。様々な感情を抱きながら、笑顔でこの地球を去った。
☆☆☆☆☆☆☆
目を開けると、誠の前には想像通りの異世界が広がっていた。
・ギンギラの太陽(これは頑張って慣れないとな)
・二足歩行で歩くトカゲやサイ(多分喋れるよな…)
・誠と同じような人間(俺と似たような境遇だな)
・そして学校(うん。まぁ予想通り…)
じゃねぇーーーーわ!
何?イジメ?悪質なイジメなのこれ?ミラさん?貴方悪魔だったの?ちょっとやめろやこれ。過去の嫌な思い出がフラッシュバックするんですけど。
あぁーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
最悪だ。誠は涙を浮かべながら愚痴る。
約100種類以上にも及ぶ、異世界転移の脳内シュミレーションはした。
だがこんなもの誰が想像するか!異能が使えるということよりもよっぽど嫌なことだ。
学校がある。というこの事実は。
そんな呆然と立ち尽くす誠を、二足歩行で歩くサイやトカゲが、奇異な目で見つめていた。
次回もお楽しみに〜