第6話
不定期更新です。
駄犬と旅をする事にした私は、近くの町に行き洋服を買いに行きました。流石にマッパマントのままでは、駄犬といえども可哀想なので、主人になった者の義務だと思い店に入ります。
「いらっしゃいませ!どれにしますか?」
前世、八百屋かスーパーの呼び込みのような威勢の良い声が響きます。服は生物ではないと思うけど。
「間抜けにも服を盗られたのよ、一式揃えてほしいわ」
ん?何?その仏頂面。不満でもあるの?マッパの理由には十分な説明だと思うわ。
「はい、かしこまりました。ここにある既存の物でよろしいでしょうか?」
とにかく着れればどれでも構わないわ。
「構わないわ。見苦しい格好をどうにかしてちょうだい」
マッパは面白くもないし見ても楽しくないから早く服着た方がいいわ。
「見苦しいって、私のせいではない!」
自分の所為ではないと?自分の為にでしょう。やっぱり駄犬自身の所為ではなくて?
「騒がない。静かにできないの?」
物分かりの悪い子は置いて行くわよ。
「うっ、分かった静かにする」
ふん、一度で分かればよろしい。
「では、お願いしていいかしら?」
店員に任せてゆっくりさせてもらうわ。
「はい、そちらでお茶でも飲んでお待ちください」
お茶が出るとは中々いい店ね。また利用させてもらいたいわ。
「気がきくわね。待たせてもらうわ。そうそう、替えも三セットお願いするわ」
一枚では着替えられないでしょうから、三枚あったら大丈夫ね。
「はい、ありがとうございます」
しばらくすると、見られる格好をした駄犬が出てきた。顔がいいから大概の物は似合って見えるわ。着替えももらったようね。
「全部でお代はいくらかしら?」
「銀貨8枚になります。」
「はい、8枚ね。さあ、行くわよ。次はギルドに登録ね」
身分を証明する物を持たないと、面倒だから早くする事に越した事はないわ。後ろから付いてくる駄犬を連れてギルドに向かった。
「ここだわ。登録しに行くわよ」
中に入ると冒険者が沢山居るわね。あっちに受け付けがあるわ。
「登録お願いします。二人ともです」
「はい、分かりました。ここに名前を書いてください」
「ほら、貴方も書きなさい!」
書き終えて渡すと、奥に消えてしばらくすると戻ってきました。
「はい、できました。失くすと再登録に金貨一枚かかります、気を付けてくださいね。説明は聞きますか?」
どこでも基本は一緒だから聞かなくてもいいわね。カードには、名前とランク、後は自動で討伐した物、犯罪を犯せば勝手に記録されるようになっている。優れものだわ便利よね。
「いいえ、簡単な依頼から受けてみますわ。パーティー登録お願いします」
「はい、受け付けました。パーティー名クルージングですね。ではFランクからスタートです。頑張ってください」
「はい、ありがとうございます。ほら!行くわよ」
前世で豪華客船の旅に憧れていたけれど、夢叶わずだったのでこの世界を見て回るわ。まずはランクを上げて旅をしていても不審がられない様にしないとだめだわね。
巫女としての知識もあるし、隠れて教わった魔法もそこそこ出来るので心配はないけれど、連れがいささか不安要素だわ。大丈夫かしら?。