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プロローグ

ホント思い付きです

「・・・となるので、ここの最適解はγ=1となるわけだ。」


黒板に書かれた数式をぼんやりと眺めながら、藤原智明は「今日昼飯何にすっかな・・・」と、全く関係の無いことをぼんやりと考えていた。

終業のベルが鳴り、授業が終わると智明はキャンバス内にあるカフェテラスへと急ぎ、先ほどぼんやりと考えていた昼食をナポリタンに決め、トレーを持ち、窓際のいつも自分が座る席についてナポリタンに手をつけ始めた。


やっぱここのナポリタン、何か勘違いしてるよな・・・・玉ねぎの代わりに長ネギ入ってるし、ベーコンの代わりに油揚げの切ったの入ってるし・・・・等と益体もないことを考えつつ、ナポリタンを咀嚼して腹に収めていく。

ふと、視線を感じて、前を見る。


そこには、1人の少女が座ってこっちをじっと見つめていた。


髪はシルバーで、目はルビーのような赤。口元を見れば目と同じような目に痛い赤い唇の色。一般的に考えれば、相当目を引く外見であることは間違いないのだが、何故か智明はその外見に対して、驚きも何も感じなかった。智明自身、あまりテンションの上下が無いというか、感情の起伏が見え難い人間であることは周りの評価も、自分としての評価も同じようなものであったのだが、その智明をしても、今の自分の感情に違和感を覚えたのである。

物凄い美少女のような気もするし、そうでないような気もする。

何というか、少女に対して、薄ぼんやりとしか認識が出来ないのである。

それでいて、その少女は強烈な存在感を放っており、自己の認識とのズレに対して違和感を感じていた。

違和感はそれだけではなかった。


彼女の周りのテーブルには、昼時で混雑しているにも関わらず、「誰一人座っておらず」、更にいえば、そんな外見なら目立つことは間違いないはずなのに、彼女の方を見ている人間は「誰一人いなかった」。


智明は、自分の視線が彼女から外せない事に、焦りを感じ始めていた。


「ヤバい・・・。これ絶対なんか良くない奴や・・・・。」


智明は盛大に勘違いしていた。

彼女は霊などではなかった。もっと良くないものだった。


背中に嫌な汗を感じ始めたころ、彼女は徐に席を立ち、智明の座るテーブルへと歩みを始めた。


「やめろ・・・・。俺はお前を成仏させてやることなんか出来ない。来るな・・・・来るな・・・・・。」


この期に及んで、智明はまだ勘違いしていたが、その智明を見透かすように、少女はこう言った。


「ようやく見つけた・・・。1000年もかかるなんて思わなかったけど、それでもようやく。」


智明は少女が何を言っているのか全く判らなかった。


「さぁ、一緒に行きましょう。すぐに思い出すわ。」


次の瞬間、智明と少女は音も無くカフェテラスから姿を消した。


そして、周りの誰一人として、彼らが消えたことに気づくものは居なかった。



続けられる限り、続けます。

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