第20話
アンチモン領を抜け、王領であるルテニウムに入り
そして王都につく頃には、なんと村を出発して4ヶ月少しも掛かってしまった。
その間、寝る時に抱き付かれるのは日常になっており
挙句には風呂場にまで乱入されたりと非常に大変な旅となった・・・
寝るのには慣れたが、さすがに風呂は毎回大騒ぎである。
とまぁ、生活の上では色々とあったが
旅では時々魔物が出るくらいで、危ない事はなかった。
魔物が出た時もレオナやノン、もしくは馬車の護衛が倒してしまうので
俺は何もする事がなかったしな。
そんなわけで俺は今は魔法を学べる学校の前に来ている。
ルテニウム王立魔法学園という名前があるらしいが
長いので大抵の人は魔法学校もしくは魔法学園と呼んでいる。
「すいません。入学について聞きたいですけど」
「はい。入学ですね。
20日後に入学試験があります。
まずは、その試験を受けていただくことになりますね。
内容としましては、一般常識・歴史・算数・魔法知識・魔法実技となっています。
また試験料としまして500G掛かりますので、用意しておいてください。
入学後につきましては、実際に入学した後で説明となります」
え?試験に魔法知識?
俺はそれを学ぶ為に来たんだぞ!
「魔法知識ですか?どんな内容なんでしょうか?」
「申し訳ありません。試験の内容に関してはお答えできません」
「そうですか・・・わかりました」
そりゃそうか。内容知ってたら試験にならんからな。
とはいえ、俺はどうしたら・・・
「レオン、学校の方はどうだった?」
「問題なさそうピコ?」
なんだかんだで、2人はしばらく王都に居るって事で同じ宿に泊まっている。
「それが試験なんですが・・・魔法知識があるって・・・」
「ん?レオンなら楽勝だろ?
あれだけの魔法が使えるんだし何が問題なんだ?」
「いや、俺、魔法に関して何も知らないですよ。
感覚で魔法使ってて、知識は全然なくてですね・・・」
「本当ピコ?あれだけの魔法を知識無しでやってるピコ?」
「ええ、まぁ。で、どうしようかと・・・
あ、レオナさんて魔法使えましたよね?
基礎部分でいいんで、教えてもらえないですか?」
「ああ、私も本当に基礎しか知らないけどな。
それで良いんなら教えてもいいぞ」
「私も一緒に教えてあげるピコ!」
「え?ノンさんも魔法使えるんですか?」
「妖精族は生まれながら使えるピコ!
エルフは風、ダークエルフは火が得意ってのがあるけど
フィールドランナーは得意なのが無いから滅多に使わないだけピコ!」
「そうなんですね。とりあえず勉強お願いします」
俺は2人から魔法知識を学ぶ。
といっても属性が、火・風・土・水・光・闇の6つしかないこと。
魔力を圧縮して放出する、属性の無い魔法があること。
まさに基礎という感じだったが、そんなことも知らない俺にはありがたかった。
「ところで2人は王都にしばらく居るって言ってましたが、その後はどうするんですか?」
「ん~王都には迷宮があるから、入ってみるのも良いかなって思ってる」
「迷宮ですか?」
「そうピコ!何時からあるのか、誰が作ったのか、全くもって不明ピコ!
でも中には色々と財宝もあるって話ピコ!」
「まぁ魔物も出てくるみたいだけどな。
魔物の方は倒して素材を持ち帰れば金になるから
財宝は見つかればラッキー程度で考えてるけどな」
「そうなんですね」
「そうなんだ!といってもお前が卒業するまでの時間つぶしなんだけどな」
「え?なんで?俺の卒業までって何かあるんですか?」
「言おうと思ってたんだけど、言う機会がなかったピコ!
卒業したら一緒に冒険者になるピコ!」
「そういうことだ!レオンの魔法は凄いし、魔法以外もいけるみたいだからな。
まぁ卒業までに考えてくれればいいさ」
「あーでも卒業したら、村に帰ると思いますよ。
その後どうするかは未定ですが・・・」
「冒険者になるんだったら村まで着いていくさ。
とりあえず今は、そういう選択肢もあるって思ってくれればいいよ」
「はぁ。わかりました」
なんだよ~
卒業まで待つって言うから、てっきり俺に惚れたのかと・・・
あ、でも俺まだ子供だった・・・
前世の記憶がある所為か、ついつい自分の年齢を忘れるな~
とりあえず今は試験合格を目指さないとな。
「おわった・・・おわってしまった・・・」
20日後、筆記試験を受けた俺は、もっと勉強しておけば良かったと後悔している。
算数は問題ない。前世の記憶もあるので簡単すぎるくらいだった。
魔法知識は基礎部分しか勉強できなかったが、半分くらいはできたと思う。
問題は一般常識・歴史、この2つだ。
前世の常識は、この世界の常識ではなかった。
なんだよ芋虫っぽい奴の食べられる部分って・・・
歴史も王様の行なった政策を3つ上げなさいって・・・
もう駄目だ・・・これは落ちたかも知れん。。。
いや、でも、まだ魔法実技があるし
魔法学校って言うことは実技が出来ればOKだったりするかもだしな。
実技を頑張ろう!そうしよう!
「試験を受けに来た皆さん、
まず魔法の発動が出来るだけの人は、右手の方に集まってください。
残りのある程度、魔法が使える皆さんは
魔法の威力・精度を確認しますので私の後に着いて来て下さい」
俺は後に着いて行けば良いんだよな?
一応、いくつか魔法も使えるし・・・
まぁ間違ってたら、こっちに戻されるだろう。
案内された場所には、なにやら大きな水晶が置かれている。
「まずは威力の確認をします。
これから、あそこにある水晶に魔法を撃ってもらいます。
そうすると威力が計測されます。
ただ、この後に魔法精度の計測もしますので
全力でやりすぎて倒れないように注意してください」
そんな説明があり実技試験が開始される。
「火よ、敵を、撃て!」
「風よ、矢になって、敵を、撃て!」
呪文って、あんな感じなんだな。
初めて聞く呪文と、それによって発動する魔法を見ながら
次々に試験が行なわれていく。
「はい。では次の人」
あ、俺の番だ。
「はい。試験番号132番、レオンです」
「では魔法をお願いします」
呪文なんて知らないし無詠唱で良いんだよな?
とりあえず、炎の矢をイメージして・・・ドンッ!
「・・・」
あれ?なんか静かになっちゃったぞ!
無詠唱は駄目だったのか?
しだいにざわざわと周りが騒がしくなっていく。
「おい、今の無詠唱だったよな」
「なんか威力凄くなかった?」
「誰だよ、あいつ?」
「あの、えっと・・・」
「え、ああ、すいません。
威力は・・・87!?」
「87だって!物凄いのが出たよ!」
「計測器が壊れたんじゃないのか?」
「ああ、そうだよな。俺なんて11だったし」
「俺は8だったよ。87なんて普通じゃないだろ」
「・・・ちょっと待ってくださいね」
試験官の人が水晶まで行き、なにか確認している。
他の試験官も集まってきて、色々と話をしている。
あ、戻ってきた。
「えっと疲労は大丈夫ですか?
大丈夫なら、もう1度魔法を撃って欲しいんですが・・・」
「あ、はい。大丈夫です」
もう1度、同じ魔法を放つ。
ドンッ!
「・・・92・・・」
あ、さっきより上がった。
同じ様に撃ったつもりなんだけどな。
「・・・えっと、君はいつも無詠唱なのかな?」
「あ、はい。いつも無詠唱です。
えっと、その呪文を知らないんで・・・」
「呪文を知らない!?
ああ、いや、それよりも暴発したことは?」
「いえ、今のところ暴発はないです」
「1度も?」
「はい。1度もありません」
「そうか・・・じゃあ、とりあえず次の精度の試験までは休憩しててください」
そう言われ俺は隅の方に行って座った。
なんか、みんなチラチラ見て何か言ってるけど
誰も近づいて来ないな・・・
目が合うと露骨に逸らされるし・・・
こりゃあ、入学できても友達0になるかもしれない。。。
そんなことを考えつつ、他の受験者を見ながら
次の試験が始まるのを待った。




