表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/32

死闘はてなく②

「遺憾ながらミクロ化シティを破棄する。総員エリアから退去せよ!」

 陸戦隊員たちが走り出す。明たちもつづく。

「非常用第5出口へ!」

 ガルムは走りながら緊急ホットラインで現状報告。

 リモートの装甲兵たちは最後尾で撤収を助ける。

 負傷者を背負ったボッケンは戦闘に参加できない。

 ラカンを先頭に敵が猛スピードで迫る。

 装甲兵を蹴散らす。リモートだから死なないが、いい気はしない。

 明とリックは後ろを振り返り、銃を構える。発砲!

 共に敵パワードスーツを貫く。リックは対艦ライフルだが明は拳銃エスパーガンだ。

「お前その銃、威力増してないか?」

 敵兵はこちらに向けて一斉発砲。

 明は連射で撃ち落とす。まさに一人弾幕だ。

「!」殺気を感じたリックは何もない空間を撃つ。

 ドヴぁ。光学迷彩の解けたアルゴンが消し飛ぶ。

「お前たち!装甲兵(の援護)はもういい!急げ!」

 ガルムは叫びながら援護射撃。

 明たちは第5出口に到着。ガルムは扉を閉めながら再び現状報告。

 メインブリッジで報告を受けた流艦長とアラン副長は同時に一つのスイッチを押す。

 明たちも分厚い扉を閉めるのを手伝う。

 閉まる前、こちらに走って来る敵兵の姿が見えた。

 ガコーン。

 ホログラフの青空が消えて無機質な天井が見える。全ての灯りが消え暗闇となる。

 パワードスーツがライトを点灯。暗闇の中に敵兵達の姿が浮かび上がる。

「!」 「何だ?」

 中に残されたラカン達は”異変”に気づく。

 天井がどんどん近づく。いや天井だけではない。廃墟と化した建物が近づいて来る。兵同士も近づいている。

「ちがう」自分達や建物が大きくなっているのだ。

 すべてが従来の大きさに512倍に戻っていく。 

 天井や壁、その四方は絶対に破られない”境界線”だった。

「!!!!!!!!」圧縮。

 扉の外の明たちには断末魔の叫びも爆発音も聞こえなかった。

 なんとか敵を退けた。

 だが多くの犠牲者と家と思い出を失った。


 誰もが無言だった。ようやくヨキが口をひらく。

「明、これからどうする?」

「俺は陸戦隊の連中とメインブリッジに行く。みんなは?」

 ヨキが「オレ、マーチンが心配だから機関室に行くよ」

 ボッケンも「じゃあ、ボクも。いいですか?ガルム隊長」

「是非行ってくれ。すでに味方も行っているが、一個小隊も連れて行け」

 リックは「俺は第一砲塔に戻る」

 負傷者を手当てするシャーロットが「医務室が安全かしら」

「途中なのでお送りします」リックが答える。 

「ありがとう」

 シャーロットはすうすう眠っている望を抱いて立ち上がる。

 陸戦隊一個小隊も護衛のため同行する。 

 応急処置の済んだ負傷者は無人反重力担架で医務室へ運ばれて行く。

 明は敵兵の装備に目が止まる。

「!!」

 何かの発射台。さっきは気づかなかったが壁と床に手掌大の穴が開いている。 

「何だ?」 

 何かが通った跡がずっと続いている。さすがのボッケンでも壁の中は見えない。

「そうだヨキ」ヨキには透視能力がある。

「今は無理。あと20分はESP使えねー」それじゃ遅い。

「どれ」ガルムはパワードスーツで透視スキャン、映像を空中に投影する。

 長さ50㎝程の円錐状の何かが壁の中を時速約100mでゆっくり移動している。

 明は感心する。「それ今度貸してください」貸してはいけない!

「どう考えてもやばいモノだろ」ガルムの顔は険しい。「ミサイルだとしても、この中じゃ(スペース)コンドルのビームバルカンでもないと破壊できん」

「リック!この先には何がある?」

「こっちはブリッジ?・・・あっちはメインコンピューター?」

「報告しておこう。<那由他>にも」

「急いだ方がいいかもしれない」明は駆け出す。「また、あとで」 

 他のメンバーも、それぞれの方向へ別れて行く。


「点検終了。異常なし」 

 スーパーノヴァボンバーの点検作業を終えたマーチンだったが、遠隔操縦用ヘルメットを取られて強制終了させられる。

「! な、何だ?」

 カンナに腕を引っ張られる。次の瞬間。爆発。

「!」

 見ると機関室は火の海だった。


 航行中の味方巡洋艦が突然停止する。後続の数隻も航行不能になる。

 ふたつの白色矮星の重力が重なるエリア、重力が干渉し言わばエアポケットのような空間に入ってしまった。艦は重力遮断シールドを張るが効果がない。

「反重力ミサイル発射!」フォアーロン提督が命令する。

 近くの巡洋艦が反重力ミサイルを発射、動けなくなった味方艦近くで爆発。

 重力が反重力に変換され、味方艦は無事脱出できた。

 銀河連合艦隊旗艦<銀河の女王号>。

 この艦にはボッケンと同じシェプーラ族が乗艦しており、有視界戦闘を助けていた。

「左右より敵艦隊接近!」部下の報告に、

「迎撃せよ!」フォアーロンが命じる。

 数え切れない敵艦が接近する。数え切れない光弾が放たれる。

 数え切れない爆発が起こる。

 帆船型イージス艦が移動し、敵のビームを吸収する。

 防ぎきれず味方艦が被弾、大破する。

 飛び交う砲火を掻い潜り、<スペースコンドル>が敵艦のブリッジを破壊する。

 インパルスにも敵艦の砲撃が来る。

 サライは操縦桿を引いて回避。主砲発射。

 医務室。

 負傷者が次々と絶え間なく運ばれてくる。

 麗子も懸命に働く。疲労の色が濃い。髪の乱れを直す時間もない。

 第一砲塔。

 主任リック不在のため、達郎とグエンが必死に操作する。

 主砲発射。

 敵の巡洋艦に命中。大破。

 それでも『弾幕薄いぞ!』と艦内通信。

 <スペースインパルス>の中と外、両方の戦いはつづく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ