■第29話 〜闇にとらわれたシンジ〜
(もう、学校へ行けない…。)
「シンジ、開けなさい。どうしたの?」
「来ないでくれ…。」
「ねえ、どうしちゃったの。何がおきたっていうの?」
「母さんには関係ないだろ。もうかまわないでくれよ。」
(なんでこんなことになった?サトミが自殺をしてからか?いや、俺があいつに告白してからか?関係ないやつまで偉そうに言いやがる。「あなたがサトミを振ったから、サトミは自殺したんでしょ。」だと、冗談じゃない。こっちは振られた上に、濡れ衣まで着せられたんじゃ、やってられないぜ。クラスの奴らはきっと今頃俺のことを話して笑ってるんだろう。)
「う…」
口に手を当てて急いでトイレへと駆け込むシンジ。
「うえええ。」
(気持ち悪い。胸が苦しい。誰か助けてくれ。)トイレの床にひざをつき、かがみこんだ状態で嘔吐を繰り返すシンジ。
「シンジ、大丈夫?学校には欠席の連絡を入れておいてあげるから。後でいいからどうして何も話してくれないのか聞かせてね。」
シンジの目の下には隈ができ、ここ2、3日で別人のような雰囲気を醸し出していた。
「シンジ、開けなさい。学校を欠席までしたんだから、理由くらい聞かせなさい。母さんだってパートがあるんだから。」
(くっ。こんなに苦しい思いをしてるのに、なんであんたの都合にあわせて俺が言わなきゃならないんだ。)
「うるさいっ。」
「シンジ、親に向かってその言い方は無いでしょ。あなたそれでも高校生なの?自分のことくらい、自分で説明できなきゃだめでしょう。もう行くからね。どうなっても知らないから。」
(うるさいな。…母親でさえ、自分の心配なんかしていないか…。)
「静かに、してくれよ…。」
シンジの目から涙があふれていた。
(チクショー。なんでこんなに嫌なことばっかり考えるんだ。くそっ、くそっ。)握り締めたこぶしを思い切り壁にたたきつけた。ドンッという音に異常を感じたのか、シンジの母親は慌ててドアをせわしなくノックする。
「どうしたの?どうしたの?シンジ?シンジ?」
「うるさいっ。はやくパートに行けよ。」(本当はどうでもいいくせに。)
「これ以上私に心配を掛けないで。」
(…ほら、結局は自分のことしか考えてないんだろう。)
シンジは引き出しの中にあった果物ナイフおもむろにを取り出し、きつく握りしめた。
またまたシリアル場面です。
極端かもしれませんが、苦しいときや、辛いときって、気持ち悪くなったり、
どうしようもなく感じたりするときってありますよね。
★筆者コーナー★
ホーリーランドという漫画おすすめです。
まあ、けっこうバイオレンス系ですが。
主人公の悩みとか、強くなる姿とか、見ててスカッとするときもあり、なんたらかんたらです。




