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新世界  作者: 北極星11
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■第30話 〜闇の所業〜

ナイフを握り締めたシンジに、急に恐怖が襲った。それは自分自身に対する恐怖だった。

(何を考えてるんだ。…これで母親を刺すつもりだったのか?)

しばらく体の震えが止まらない。

(死んだほうがいい?)

 恐ろしい考えが頭をよぎった。右手に握られたナイフ。そのナイフは持ち主と同じ左手首へとあてられた。刃が皮膚に触れる。

(俺が生きていたら何をするか分からない。)

 ナイフにかける力を次第に強めていくシンジ。うっすらと赤い線がその左手首に引かれた。

(…だめだ、できない。)

 その時、自ら命を絶とうとしていたシンジはあまりの恐怖にその場でまた嘔吐した。あふれ出す涙とともに、計り知れない虚無感がシンジを襲った。

(どうすればいい?)

「シンジ、もう、わたしは行くからね。」

「ああ。大丈夫だから。」

 必死に何も無かったように装うシンジ。それを聞くと、シンジの母親はパートに出かけてしまった。おそらく4時までは帰ってこないだろう。初めて理由なく学校を欠席したシンジ。右手に握られていた刃は、知らず知らずのうちに、また左手首に掛けられた。

(「シンジ、自殺なんて、しないよなあ。」「あったりまえだ。振られたのは一度や二度じゃないぜ。」)

ふとよみがえったミコトと交わした言葉。

(そうだ。こんな情けないことで自殺なんてできるか。)

 気を張ってみたがやはり体を覆っている虚無感が取れない。

(くそっ、なんとしても今日一日生きてやる。)

 それは死に対する本来のシンジの抵抗であった。生きるということがこれほど怖く、苦しく、気持ち悪いという感覚を、シンジは初めて知るのであった。

(生きてやる。生きてやる。)

 シンジは襲ってくる死への恐怖に対し、ただもうそれしか考えられなくなっていた。

(しぶといやつだ)

 シンジには聞こえない声で、確かに何かがつぶやいた。


シンジはどうなってしまうのか。

その想像は読者様におまかせします。

★筆者コーナー★

バスケットやテニスも好きです。

バスケ漫画「スラムダンク」はもちろん、

最近だと「アヒルの空」(マガジン)がおもしろいですね。^^

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