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その血は人を狂わせる。  作者: ありま氷炎
第三章 クルスナラハ
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潜伏


 テイラーたちは手慣れた様子で野営の準備を進める。

 レイアはただ見ることしかできなかった。

 食事はパンとチーズだ。


「まず情報がいります。セオ、レイア、エディはこちらで待機。街には私一人で行きます」


 テイラーの言葉に誰も反論しなかった。


「あなた方の情報によると、カルシア王国の兵士が不死身の兵士を使って街を支配。逆らったものを不死身の兵士に変える、そういう脅しを使っているのですね。レイアが不死身の兵士を戦闘不能にさせることは知ってます。けれども現状でどれくらいの薬を彼らがもっているのかわからないので、レイアが前に出て不死身の兵士を無力化させる方法は無謀です。私は毒薬の数を調べ、保管場所まで確認したいと思っています。それがわかれば、一気に叩いて街を出ましょう」

「頭いい!」

 

 セオはテイラーの計画に感嘆の声を上げ、レイアは尊敬の眼差しを彼に向け、エディはただ頷いている。


「……あなた方が問題を起こさなければ、もっとすんなりできたのですけどね。私は最善を尽くしますが、最悪私が捕まった場合、逃げてください。この地を放棄して、次の街へ。私はどうにか自分の身を処理します」

「処理ってなんだよ。俺絶対にそれは反対。もし捕まるようなことがあれば助けにいくから」

「セオ。あなたが危ない目にあったら、レイアはどうするのです。それとも一緒に行って捕まりますか?すべて水の泡です。最悪あなたも捕まれば、状況は最悪です。私たちの体は、外の人間に利用させてはならないのです」


 レイアはそれを聞いて、俯く。

 ずっと彼女は黙って採血され続け、不死身の兵士を生み出す手伝いをしてきたのだから。


「レイア。あなたはこれから気をつければいいのです。今のあなたには意志があるのですから。わかりましたね」

「はい」


 レイアは泣きそうになりながら頷く。


「テイラー、いいこと言うじゃん」


 セオが囃し立てるように言ったが、テイラーは溜息をついて見せた。


「リアムは、若手に悪影響を与えすぎですね」

「リアムは関係ないだろ」

「大ありです。今の言い方、リアムそっくりでしたよ」

「本当?うわあ。なんか軽率になってるのか。気を付けよう」


 セオが真顔をでそう言って、テイラーが笑う。


「リアムが聞いたら心外っていいそうですよ」



「くしゅん!誰か俺の噂してる?人気者は困るなあ」


 へらへらと赤毛のニキビ面の男が笑う。


「どこか人気者だよ」

「その面でよくいうな」

「ひどいなあ、みんな」


 兵士たちは赤毛の青年をからかって笑う。

 カルシア軍は王チャーリーの元、クルスナラハに向かっていた。

 表向きは王の視察とされているが、物々しい兵の数から何かがクルスナラハで起きていると、軍の行列を見た者達は噂していた。


 赤毛の兵士は、リアムが変装した姿であり、アーロンは行列に追随する商人の一団に紛れ込んでいた。


「クルスナラハに、女の子いっぱいいるかな」

「いても、お前は好かれねーよ」

「本当、ひどいよ。みんな」


 不細工だが、明るい調子のいい彼を兵士たちは気に入っていた。

 何も疑いなく仲間だと思い、色々な話を彼にする。

 彼が王都で探されている、第一後継者マルクを誘拐、殺害した者の仲間だなんて疑う者は誰一人いなかった。




 テイラーは女装をやめて、商人の振りをした。

 そして街の人に話をさりげなく見て回る。


「あんた、あの子と同じ目をしてる」

「あの子?」

「不死身の兵士を止めたあの子だよ。何が聞きたいんだい?協力する」


 茶屋を営んでいる女将にそう言われ、驚いていると隣の店の男がやってきて、同じようなことを言った。


「あの子が止めてくれたおかげで、一人だけの犠牲で済んだ。アンソンはいい奴だったのに」


 男が小声で語り始め、テイラーはセオの話と男の話を合わせて理解していく。

 

「あんたたちなら、あのおっかない毒薬をどうにかしてくれるんだろ?あれのせいで、大勢死んだ。親を殺した奴もいる」


 テイラーに情報を提供する者達は増えていき、見回りの兵士に見つからないように少しずつ話していく。

 そうしてテイラーは情報をかき集め、毒薬が隠されている場所を掌握した。



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