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その血は人を狂わせる。  作者: ありま氷炎
第三章 クルスナラハ
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対決


「チャーリー、マルク。よくきたな。取引といこう」


 待ち合わせ場所に、チャーリーとマルクは共を連れず、二人で現れた。

 アーロンとリアムは二人を出迎える。

 

「森、の民か」

「そうだ。チャーリー。十九年ぶりだな」


 アーロンはチャーリーに笑いかける。

 

「イザベラの友達か」

「まあ、そんなところだ」


 アーロンは特にイザベラと親しくしていたわけではない。

 あの時、たまたまイザベラと他の二人の娘の護衛をしていたのだ。

 イザベラはあの中で一番若く、アーロンが親しかったのは別の二人の娘だ。チャーリーのことがあってから、ぎこちなくなり、結局二人の娘のどちらとも付き合うこともなく、未だに独身を貫いている。


「イザベラに似たあの子を欲したか?」

「馬鹿野郎。そんなわけないだろうが」

「アーロンはあなたとは違うよ。陛下」


 二人の話にリアムが割って入り、チャーリーは彼を睨む。

 そしてリアムが城に入り込み、不死身の兵士を作り出した元凶だと気が付き、視線に殺気がこもる。


「怖いなあ。冗談だよ。まったく」

「陛下。戯言はその辺にして、本題に入りましょう」


 チャーリーの背後にいたマルクはしびれを切らして、口を開いた。


「狂人博士のマルク様。そう焦らなくてもいいのに。あなたは俺たちの血も欲しいんだよね?俺たちだったら、チャーリーが止めないから、解剖したいとか思ってる?」

「森の民。あなたの口はよく回りますな。その通り。私の実験にお付き合いいただく気でもあるのですかな」

「嫌だな。気持ち悪い」


 リアムが両腕を抱え込み、震えるような動作を見せる。


「もう十分だ。娘を返してもらおう」

「いいよ。はい」


 リアムは乱暴に麻袋を放り投げる。

 鈍い音がして麻袋が床に落ち、チャーリーが慌てて麻袋に駆け寄る。


「殺したのか?」

「とんでもない」


 チャーリーは麻袋を開けようとした。

 その瞬間を狙って、アーロンが攻撃を仕掛けた。

 しかし、チャーリーは普通の人より身体能力が高い。

 しかも日々鍛錬をしている。

 麻袋を抱え、彼の攻撃を避けた。


「すごいな。お前」


 外の人間だと甘く見ていたアーロンは驚く。


「俺たちの血が入っていると、こんなに動きが違うんだね」


 リアムはすでにチャーリーと対立しており、その実力を知っているので、驚きはない。


「二人がかりでやるぞ!」


 アーロンがそう言って、攻撃を仕掛けようとした瞬間、八方から矢が飛んできた。


「そうは甘くいかないか!」


 いつの間にか兵士たちがアーロンたちを囲んでいた。

 遠くから弓矢を構えている。

 こうなればとる道は一つだ。


 アーロンはマルクを捕まえ、その首に小剣を当てる。


「チャーリー。叔父を不死身の兵士にしたいか?」

「陛下!」


 マルクは戦闘に参加したこともなく、剣すら持ったことがない男だった。

 まさか自分が人質になると思わず、泣きそうな声でチャーリーを呼ぶ。

 チャーリーは麻袋を開け、中身を確認していた。

 中にいたのはレイアと同じ大きさの人形。人形はレイアが来ていたドレスを身に着けていた。


「レイアは、どこにいる?」


 チャーリーは低い声でアーロンに問う。

 マルクなど眼中にないようだった。


「陛下!」

「明日になればわかるかもね」


 リアムがおどけて答え、チャーリーが睨む。

 そろそろ潮時だろうと、アーロンがマルクを拘束したまま、逃げ出した。

 マルクはチャーリーの叔父で、子供がいないとされているチャーリーの次に王位継承権を持つ。

 兵士たちはマルクを連れたアーロンに矢を射かけることができず、とアーロンとリアムを見逃した。


 マルクが叫ぶため、アーロンは彼の口を布で縛りつけた。

 隠れ家に戻ってから、マルクの手足を括り付けて、床に放置する。

 マルクはアーロンたちを睨みながら、唸っている。


「殺したほうがよかったか」

「そうかもね。生きていても俺たちの害にしかならないだろうし」

「まあ、今は生かしておくか。人質としては役にたってくれたからな」


 多勢に無勢だったところを無傷で逃げることができたのは、兵士がマルクを傷つけようとしなかったおかげだ。

 しかしチャーリーはマルクに対して何も感じていない様子だった。


「お前、実の甥に嫌われているかもな」

「アーロン。痛いところつくね」


 マルクは顔を真っ赤にして唸っているが、口を塞がれているため、ただ唸ることしかできなかった。



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