156話 応援
「勝敗に関わらず、それぞれ軍を引く。その事に相違はありませんね」
アイリスパパがメインで話をするのか。いや、サウザンドも引いてないじゃん? その辺、いいの?
というか、勝敗に関わらないんなら、とっとと引けよ、というか。
「すみません、うちのバカはそこの鎧着てるのなんです」
アイリスがジャスティスガードを指差す。
「すみませんが、ヨシツグ殿。試合の場所を作っていただけますかな?」
うん? まあ俺にできるのはそのくらいか。まあ、いいよ。
例によって石造りの戦闘舞台。今回はさっさと終わってほしいし、六メートル四方ってところで良いかな。
落ちても敗けってことで。
足の裏で固さを確認。うん、良い出来だ。
しっかりと踏み込めて、なおかつ一定以上の衝撃があったら石のタイルが割れることで衝撃を吸収してくれる。見た目の迫力も出るしな。
「それでは、勝った時の要求を聞きましょうか」
「うむ、勝手に新大陸の探査など許すことはできぬ。儂が勝ったなら、探索のリーダーは我が国から出させてもらう」
最初にそう言ったのがマックス・ザ・ブシドー。
仲間に入れてって一言言えば済むんだろうに。
「すでにリーダーは我が国の者が務めておる。お主らはその下で働きたいのであれば、土下座とやらをするが良い」
大人げないなぁ、ジャスティスはどこにあるんだよ、鎧の人。
「そんなものはどうでも良い、かつての勝負を付けるだけよ」
「うむ。……だが、せっかくだ。お主も参加せよ、ヨシツグよ」
……おい、なに言ってる、ヒグマ、じゃなかったミスパピ。
「俺が戦う意味が、何一つこれっぽっちもありませんので、お断りします」
ただただ正論を述べた。のに、ブシドーさんが絡んでくる。
「意味は有るであろう。我がむ……いや、我が国の姫を預かるのであれば力くらいは示して貰わねばな」
「帝国まで、娘を嫁に与えようと言うのですか?」
「だ、誰がそんな事を言ったかっ」
「まだ、そんなことを言ってるのか、お主はっ。あり得んと言ったであろうがっ」
前にも似たようなこと言ってたな、アイリスパパ。おっさん会議の時に。
で、ブシドーさんとワイルドさんが怒髪天。
「そ、そうでござるよ。拙者、ヨシツグ殿とは何も。ちょっと押し倒されたことがあるくらいで……」
おおい、何を言ってるんだ、カエデ?
「ああん?」
あ、第六天魔王が降臨した。
いや、誤解というか、そんな事実は……ああ、教国の地下霊廟で戦ったときに、カエデとぶつかって転がったりはしたけど……いや、断じて違う。
「ぶつかって転んだだけ、転んだだけだからっ」
「……どうやら、最初に戦うべき相手がいるようだなぁ」
聞けよ、こら。
「そうだのう。だいたい、自分のところの闘技大会に出場せんというのも気に入らなかったのだぞ」
牙をむくな。怖いから。
あそこは俺の街じゃないし。ドラスレ君の街だし。
「うむ。我としても相違ない。いもう、もとい、王女殿下の言葉が真実か、試させてもらおう」
おい、何言ったんだよ、アイリス。
しかし、こいつら実は仲良しか? 息ぴったりなんじゃないか。
と、その息の良さを見せつけるように、でかい二人と重そうな鎧は無言で下がる。
解ってくれた……訳ではないな。
石舞台の上に残されたのは、第六天魔王と俺の二人だけ。
なぜ俺は舞台にあがっている? まあ、作った本人だからだが。
「ヨシツグ殿、やっちゃって良いでござるよ。良い薬になるでござる」
「ほう、むす、いや、姫を誑かすか、貴様っ」
応援されて、ここまで迷惑だと思ったことは無いな。




