155話 後を引く後始末
さて、アオイの行った日本人の召喚にまつわる騒動が、これで落着……でもない。
残る問題は、ジェル島中心の地で睨みあう各国の軍隊。
神兵に対しては協力してたっぽいのに、なんでそうなるんだか。
「それで、皆さんに一度来て欲しいそうでしゅ」
メイベルからそんな連絡を受けた。教皇様から世界樹様へと連絡が来た様子。
現状は、神兵平野を囲んで、南東にハンドレッド王国、南西にラフウッド帝国の砦があり、それぞれの北にストンフォレストとファティマ教国の山裾が広がっている。
その北東にはサウザンドの砦。そしてほぼ北側に獣人が集まっている。
ファティマ教国とエルフ族が仲裁に動いているが、芳しくないとのこと。
「結局、何が原因なんだろうな?」
もともと燻っていた火種が、燃え上がったって感じなのか?
「それについては、すまぬでござるよ。うちの親父殿が原因でござろう」
「まあ、一概にそうとも言えないさ。バカ親父はうちも一緒だからねぇ」
「そうね、うちもだわ。なんであんなのが国のトップやってるのかしら」
「私のところは、お父様は頑固でしかたない感じ。二人目の兄様がバカですね」
「そこに混ざらない分にはエルフはまだマシかしらね。まあ、バカですけれど」
……娘の親に対する態度って怖い、というか悲しい。
こんなだから、男の娘の方が可愛いって言われちゃうんだよな。ねえ、ヒース君。
「うちの父様は立派だと思いますけど……」
ほらね。
「で、カエデが思う原因って何なわけだ?」
とにかく、原因になるものを取り除かないと、話もできないだろう。
「親父殿は……仲間はずれにされるのが、大嫌いなのでござる」
……え?
「シンディ達がパーティを組んで面白そうなことをやっている、と噂が届き、拙者をヨシツグ殿の所に送り込んできたくらいでござるよ」
あ、そうなんだ。
「今回の北への探索にも、声をかけてもらえなかった事を気にしているのだと思うでござる」
子供かっ。
カエデパパって、あれだよな。神兵と戦ったときに騎馬で先頭走ってた人。
見た目は第六天魔王の人っぽかったのに、なんて残念な……。
とにかく、現地に行かないとしょうがなさそうだな。
俺が何かする筋合いではないと思うけど、こいつら連れていけば、それぞれの父親を説得してくれるんじゃないだろうか。なんなら、親子喧嘩でなし崩しにしてくれ。
そんなわけで、再びやって来た神兵平野。
その中央で睨みあう、四人の男達。
知った顔である。いや、正確には顔は知らないな。
バードマウントの収穫祭で行われた闘技大会決勝トーナメントに出場していた選手のうちの四人。
覆面で顔を隠したその姿は、……忘れようにもそんなキャラをしていないぜ。また、会いたくなかったぜ。
ミスターパピィ、ワイルドライオン、マックス・ザ・ブシドー、ジャスティスガードがそこに集まっていた。
「おう、ミスパピの。お主とは決着をつけねばならぬとは思っておったぞ」
「ふん。貴様のブシドーとやらは前回に潰したつもりであったのだがなぁ」
マックス・ザ・ブシドーとミスターパピィが顔を近付けるだけ近付けて睨みあっている。
背中をちょっと押したら、キスでもすることになるんじゃなかろうか。見たくない。
「では、まずは私の相手はそちらのケダモノ殿かな」
「はんっ。一回戦負けがなぜ俺らと並べると思ってやがる。身の程知らずめがっ」
はい、すでにバチバチしてます。
近くのテーブルでは、ヒース君パパとアイリスパパにエルフの長さんがお茶を飲んでいる。仲裁はどうしたのかな?
「さて、待っていた相手が着いたようです。まずは話し合いを」
「だから、最初からそれぞれ代表者を出して戦うと言っているであろう?」
「それでも、ルールは必要ですよ。立会人も必要です。そもそも、勝った時の要求も決まって無いでしょうに」
こいつら、単に暴れたいだけなんじゃね?
ストンフォレストでも登れよ。




