145話 逃れられぬ運命
とにかく、話し合いは続けるとして、一旦防衛計画を実施に移す。
世界樹さんとメイベルが入って来られる範囲にある建物に移動して、俺の石壁で周囲をドーム状に囲む。超大型ストーンシェルだ。
ヒース君パパだけは外で神殿騎士団の指揮をとる。通常は警戒待機。こちらからの介入要請を受けたら突入する手筈だ。
建物内では偽物作戦を実施。すでに本物のメダルがどれかは誰にも判らない。だいたいどのあたりにあるのかならアタリはつくけど。
なお、この建物の中に、スイッチで転移できる目印が無いことはユウタ君に確認済みである。
そしてその夜、タケル君とユウタ君は姿を消した。
「どういうことでしょう?」
ヒース君はお怒りモード。
「とにかく、書き置きの手紙を確認しましょうよ」
それを抑えてくれているのがアイリス。
仲良さそうだな、この二人。
書き置きはタケル君の書いたもの。
紙とペンは、打出の小槌かな。なんかボールペンで書いたっぽいし。
『おっさんたち、すまねえ。ユウタが言うには、他の連中は人質になってるらしい。メダルを持っていかないと一人ずつ殺されることになってる。悪いけど、ここからは俺達だけで何とかする。今までの事は感謝してる』
ふむ、ユウタ君は正気に戻った上で、脅迫されていたって感じか。
で、タケル君とだけ話し合って、行動に移しちゃった、と。
「予測はできませんでしたの?」
「いや、俺にそこまで期待するなよ。タケル君達が何考えてるかとか、正直解んないところあるし」
おじさんに、若者を理解しろと言われてもさ、限界があるよね。
ジェネレーションギャップってやつ。
「とにかく、メダルが無事かどうか確認をするべきかと」
うーん、疑うなら、ここでメダルを特定した時を狙って襲ってくるとかありがちな気がするんだけど、しないわけにもいかないか。
「解った。一度偽物のメダルを消すから、警戒していてくれ」
偽物メダルの部屋は最下階にある石畳の部屋なので、そのまま収納が使える。
全てを収納し、きれいに片付いて行く室内。
収納が終わった後、そこに残ったものは……何も無かった。
「全部偽物……?」
マジか!?
偽物と本物を見分ける方法なんて向こうには……。
「……打出の小槌、か……」
何でも欲しいものを取り出せる打出の小槌。
欲しいものを何でも作り出せる、というよりは近くから取り寄せる機能と思われる。
教皇のメダルを打出の小槌で取り出せば、それは本物になるってことか。
大黒様、ずるいっ。
「メダルを手に入れた後のアオイが取る行動は……」
「まあ、神兵の復活以外にはないだろうね」
だよね。
「とにかく、移動する。間に合うか判らないけど、時間との勝負だろ、これ」
ジェル島の中心部だったか?
ファティマ教国の山とストンフォレストの西端との間くらいだな。
そして、そこはハンドレット王国、サウザンド王国、ラフウッド帝国、ファティマ教国の国境が集まる場所でもある。
「今度はあたしも行くからね」
「当然ね」
「私たちも引き続きご一緒しますよ」
「そうでござるな」
「どうせ、ヨシツグの飛行機で行くんでしょ。わたくしが必要ですわね」
はいはい、五人娘全員一致ですね。
「ボクも行きますよ。ヨシツグさん、何か勘違いしてると思いますけど、ボクも戦えますから。癒しの力もあります」
え? そうなんだ。見た目で判断してたなぁ。
癒し担当で戦うのか。それも日曜朝っぽいな。
最近は男でも良いみたいだし。
ま、何はともあれ。
「四十秒で支度しな」
一度は言ってみたいよね、この台詞。




