132話 天敵かも
さて、今いるのは地下にある石造りの部屋。
つまり天井がある。
ブラックボルダーは使えない。
ピーンチ、俺。
仕方がないので、殴り盾を取り出して構える。
相手は、枢機卿さんは出ては来ないんだろうけど、タケル君の友達四人。
傷付ける訳にもいかないよな、これ。
こちらの主戦力はタケル君だけど、同様にあの超破壊ハンマーで友達を攻撃するわけにもいかないだろう。
アイリスとカエデにはヒース君を守ってもらわないといけないだろうな。
ヒース君はお姫様役だよね、顔から言って。
まあ、一番守らないといけないのが秘宝とやらか。
ん?
内向型少年が手に持っているメダルのようなものは……。
「はははははっ。初代の秘宝はすでにこちらの手にあるのだよ」
棺を見下ろすオブジェに、さっきまであったはずの飾りが一部無くなっている。
いつの間に? いや、普通に無理だろ。
まさか、なにか神通力なのか?
「これさえあれば、教皇の座は私のものだ」
いや、黒幕語りはもうお腹一杯ですよ、ええ。
そして、その言葉を遮るように響く警笛の音。
「愚かなことを。秘宝が盗まれれば警報が鳴るようになっています。すでに逃げ場はありませんよ」
と、ヒース君が宣言する、が。
「ならば、あなた方が犯人ということになって貰いましょう。行けっ、異世界人どもっ」
枢機卿の指示を受けて四人が前に出てくる。
「秘宝の力を見せてやろう。冥土の土産にな」
メイドさんのお土産はクッキーとかでお願いしたい。
と、そんなささやかな願いが聞き入れられるはずもなく、異変が起きたのはメダルを持っていた内向型少年。
「うぐっぐぐぐぐぁぁ」
少年の制服が弾け飛ぶ。その体は一回り大きくなり、筋肉が膨れ上がっている。
脳の未使用箇所を使ったら筋肉が成長するやつだろうか? なぜかは知らんけど。
ズボンが無事で良かった。太ももまでは裂けてるが、セーフだ。
まあ、なにはともあれ。
「アースホール。アースバインド」
でもってアースクリエイトで地面を固めて捕縛。山賊生け捕りコンボ。
「ふん、こんなものっ。打ち消せっ」
枢機卿のおっさんの指示で捕縛状態が解除される。
……これも神通力なの? 聞いてないよー。
あ、俺役立たずかも。
捕縛状態から抜け出すと同時に飛び出して来たのは、内向型改め筋肉少年。
半分開いたままの口からよだれを垂らしたまま、枢機卿の指示に従い、力任せに両腕を振り回す。
それをハンマーで受けるタケル君。
「くっ、ちくしょう、パワーがやべえ」
守るばかりではやはり不利は否めない。
「うあぁぁぁぁ。助けぇてぇぇ。嫌だぁぁぁぁぁ」
筋肉少年の口からはそんな叫び声が漏れる。
「ユウタ、お前正気に戻ったのか?」
タケル君はそう問いかけるが、筋肉少年の攻撃は止まらない。
「こんなぁぁぁのはぁぁ、嫌だぁぁ。戻ぉぉしてよぉ。治してぇぇぇ」
よだれだけでなく、涙まで垂れ流して襲いかかってくる。
その攻撃をハンマーで受け流し続けるタケル君。
しかし、ハンマーなんて武器は受け流すのには向いていない。明らかに手数で負けている。
「ええいっ、なら、これでも喰らいやがれぇっ」
そう叫んでタケル君が筋肉少年へと何かを投げつける。
それを受けた筋肉少年は、一瞬の硬直状態になり、ゆっくりと踞ってその動きを止める。
「を、なんだよ、効果あんじゃねえか」
タケル君が何かやったらしいな。奥の手を隠していたか。
何だろ? 大黒様というと。うーん、大黒様?




