0025.一人で悩んでモヤモヤする秋雨の日
組んだ両手を机の上に載せたまま きみは黙ってどこかを見つめている
離れた席からわたしはそれを 気づかれないように気にしていた
なんでわたしの方を見ないよ 本当はいるのに気づいているくせに
なんて矛盾したことも 考えたりするけれど
見られたら見られたで ちょっと戸惑うシチュエーション
慌ただしい毎日の時間の隙間に 気持ちが少し曇ってしまう瞬間がある
それが何なのか 気づいてはいるけれど
窓の外は灰色の秋の雨 色づいた木々の葉もくすんで見える
静かな広い講義室の中は 澱んだ空気が満ちていて 雫が落ちる音だけが響いている
空模様までこんな感じだから わたしの気分もますます曇ってしまいそう
なにを見ているのかわからない きみの視線がもどかしい
きみはいつもとても優しくてでも その目の先の向こうには
違う誰かを見ていることに わたしでも気がついていた
その笑顔も温かい手のひらも わたしのものではないことにも
きみが誰を想い 誰のために悩み傷つくのかは わたしが知ることはないのだけれど
それを思うと胸が苦しくて この気持ちが不幸なことに感じてしまう
それでもきみの存在が してくれたことが わたしにとっては大きくて
叶わない恋もきっと無駄じゃなくて
わたしはそれを 強さに変えていけると思いたい
なんてことを 一人で考えているわたしは
健気なのかそれとも 自己陶酔のイタいやつなのか
傍目には 鼻で笑われてしまう状況かもしれない
わたし的には 結構深刻な問題なんだけど
それでももっと 違う出会い方をしていれば
こんなにもどかしく思うことも なかったのかもしれない
いまのわたしはきみにそれを うまく伝えることができないでいる
とか言って もしきみにそんな話をしたら きみはどんな反応をするのだろう
戸惑わさせるか唖然とさせてしまう未来が見えて さらに気分が曇っていく
窓の外は灰色の秋の雨 何もかもがくすんで見える
オチのない妄想に悩む心に 雫が落ちる音が冷たく沁みる
今日はもう 早く帰って早く寝よう
それでなにかが 解決するわけでもないけれど
雨の日はこんなもの 心の中まで濡れていく




