0023.欲しいものはなんですか #01
知り合いの女の子の 誕生日プレゼントを買いに行くのだが
どんなものがいいのか 決められずに困っていると きみは言う
まず聞きたいのはなぜそれを わたしに相談するの
しかもこれまで女の子に 贈り物なんてしてことがないなんて
奥手なのか何なのかそういうことに 縁がない残念な人生だったのね
でもそれはそれでなんだかちょっと 不思議と安心してしまう気もするけれど
だけど初めてのプレゼントが わたし宛てじゃないのはどういうことなの
わたしって結構いろいろきみに お世話してきたと思うんだけど
日頃の感謝のしるしとか あってもいいんじゃないのかな
吹き抜ける風はすっかり暖かくなり 萌える草木と花の香りがまとわりつく感じ
凍てついた季節が終わって 新しいなにかが始まるようなこの感覚が
わたしはとても好きなのだけど
それが今日はきみのせいで すっかり萎えた気分
なんてモヤモヤする気持ちもあるけれど きみが真剣に恋路に挑むというのなら
それを応援してあげるのも 幼なじみの務めかしら
大きな公園を横切る通学路 最寄り駅の近くまで 石畳の遊歩道が続いている
家が近所なきみとはいつも この道で一緒になる
木々の緑と大空の青と 差し込む日の光がわたしたちを包んで
歩くたびに眩しく揺れる
人の好みなんてそれぞれだから 知らない人への贈り物なんて
月並みの提案しかできないよ
そういうわたしに きみはちょっと言葉を濁す
いやきっととっても参考になるはずだから 率直に欲しいものを言ってくれたら
なんてきみは言うけれど わたしが欲しいものを言ってどうするのよ
きみの誰かへのプレゼントなのに
それでその子はきみの何なのよ なんて聞いてみたはいいけれど
きみは締まりのない緩んだ顔で しどろもどろにごまかしている
なんだかよくわからないけれど きみはその子が好きなんだね
それならそれで別にいいけれど やっぱりちょっと落ち着かない気分にもなる
早咲きの桜がもうすでに 濃いピンク色の花びらを広げている
きみと一緒にこれを見て歩くのは 今年で何度目になるんだろう
なんてことを きみも意識しているのだろうか
どこの子なのか知らないけれど
その子の好みとか趣味とかを きみは嬉しそうに話すけど
まず聞きたいのはその前に わたしの好みとか趣味とかを どうして聞かないの
でもその子のそれってどういうわけか なぜかわたしと近いのは ただの偶然なのかしら
それにわたしの誕生日も来月なんだけど きみはどうせ忘れてる




