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ネトゲ女  作者: kaji
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第三話彼女が仕組んだ罠

彼女のターンが始まります。

 俺はこのファンタジークエストで自分のチームをもっていた。「ブルーウィング」という中堅のギルドだ。マスターは「ケミカルパンク」副マスターは「惨劇のクマさん」週一、二回チーム戦をするくらいのゆるゆるなチームだ。ちなみに「ねこねここねこ」こと前田里美も「ブルーウィング」に席を置いている。


 俺は最近レベルあげにも飽きてきてチャット中心に活動をしている。特別上を目指しているわけではないのでまったりプレイをしている。今日はいつものパートナーの「惨劇のクマさん」とチャットしていた。そこで妙なことを聞いた。



惨劇のクマさん様から  ねんねここねこさん「ファンタジー倶楽部」のマスターと最近よく一緒に狩りしてるみたいだよ

惨劇のクマさん様へ   それがどうした!! 狩りくらいするだろ

惨劇のクマさん様から  いあ。狩り自体は別に問題ないんだけど……。あの子が他の人と一緒に狩りするのって珍しいなと思ってね

惨劇のクマさん様へ   ああー。そー。言えばそうかも知れんな。あいつ基本一人で行動するし、俺らが誘っても付いて来ないからな

惨劇のクマさん様から  そうでしょ。ドロップは一人占めしたいからとかいってさ

惨劇のクマさん様へ   まあでもやっとペアの方がいいってことに気が付いたんじゃねえの。どうせいいの落ちたらちょうだーいとか言ってそうだしよ

惨劇のクマさん様から   (笑)確かに言ってそうだね。それにしても最近しょっちゅう一緒にいるとこみるからさ。

惨劇のクマさん様へ   そんなにしょっちゅう一緒に狩ってるのか?

惨劇のクマさん様から   ほぼ毎日かもしれないね。毎日チェックしてる訳じゃないからわからないけど

惨劇のクマさん様へ   ほー。まあ気にすんな。あいつのこと気にしたら負けだぞ。どうせ元々訳わからんやつだし

惨劇のクマさん様へ   それよりも次に巫女が実装されるって本当なのか?



 そのときの俺は彼女のいつもの変った行動には別に気にしていなかった。基本的に俺は彼女には干渉しなかった。とりあえず週一回のチーム戦に出てくれればそれでよかったので彼女が何をしてようと俺には関係なかった。彼女を見るといつものように俺のデスクトップで同じゲームをしていた。お茶のペットボトルを左に置いて、お菓子を右に置いて万全体勢でゲームを満喫していた。最近はお茶がお気に入りらしかった。なんだかお茶の成分だかなんだかが殺菌してくれるので風邪をひきにくくなるとか言っていた。お前殆ど家から出ないんだからウィルスが入り込む隙ないじゃねえかよ。と思ったがそこは突っまなかった。そこは前回の件があるから少し自重したほうがいいかなと思ったからだ。こちらからは画面が見えないので彼女が何をしているのかわからなかった。なんだか微笑んでる?ちょっと気持ちわるいぞ。


 学校では概ね何もなく普段通りだった。彼女はいつものように授業中には寝ていたし、俺は彼女にノートを持っていった。少しいつもと違うことと言ったら俺が教室から出ようとしたら彼女が勢いよく教室に入ってきたので俺はふっ飛ばされたことくらいだった。俺は大げさに転げまわり教室の端まで転がった。彼女を見ると大会社の社長が高層ビルの最上階の窓から下々の者を見下ろすような視線をしていた。


「ふっ」


などとほくそ笑んで、自分の席に戻っていった。ふってなんだ。ふって。俺はそのとき格差社会がなぜなくならないのか判ったような気がした。


 俺は帰りに内藤君と久しぶりにエアホッケーをした。完封負けしてしまった。内藤君はなぜだか強くなっていた。まさか自主練?エアホッケーの自主練って可能なのか?様々な謎は残ったが俺は内藤君に良く頑張ったなとエールを送った。


 週末、チーム戦を組んでいたのでそれに出た。結果は負けた。ねんねここねこは珍しくチーム戦に来なかった。なんだか用事があるからと言って俺のアパートにもこなかった。あと何人か主力のメンバーが来なかった。


 試合後、みんなで試合後の感想を話していたらこんなことを言われた。



気になる木     ケミカルさん頑張れよ。

俺専用魔法使い   ケミカルさん俺応援してるからな。

アポイントゲッター ケミカルさん隠してたってわかるんだからな。とにかく頑張れよ。



最初なんの話だか最初はわからなかった。「頑張れよ」「応援してるからな」「隠してたってわかるんだからな」だって何のことだ。ちょっと考えてみたら思いついた。そうかみんなには隠してたけど、俺のこのゲームの狩りブログ「俺的狩り生活」の話か。そういえば最近100ヒットしたんだったな。やっぱり新コーナー今日のクマさんがよかったのかもしれないな。意外にみんなチェックしてるもんなんだな。これからはクマさんにメーター回してもらわなくてもいいかもしれないな。


 そんなことを考えていたらみんなが花火をあげてくれた。花火の間中ケミカルコールが起こった。ちょっと大げさじゃないかと思ったが悪い気はしなかった。みんな俺、更新頑張るから毎日チェックしてくれよな。その時、俺は知らなかったのだ俺が40代の中間管理職で近々リストラされてゲームどころでなくなり引退するという噂が立っていたことを。


 次の朝起きてPCを起動させてゲームをすることにした。この時間帯、彼女は自分の家にいるので俺が唯一、一人でゲームを満喫できる時間だ。俺はいつものようにチームのみんなのレベルチェックをすることにした。節目のレベルの人にはアイテムをあげたり、ねぎらいの言葉をあげたりする。これが意外と重要だったりする。チーム離れを防ぐためにマスターは色々とやらなければならないのだ。


「お。クマさんまたあがってるなあいつはやりすぎだろ。今度俺の手伝いさせよっと。他のやつはー。ん?」


何だか違和感がした。いつもより人数が少ないような気がするけど気のせいかな。スクロールしてメンバー表の下まで見ていった。やっぱり少ない気がした。というか上位30人くらいいないんじゃねえか。


「なんだこれ!? どどどどうなってる」


俺は思わずその時飲んでいた飲むキャラメルを零してしまった。愛知のスター君や今日はあれな日さんや最凶伝説がいないじゃないか。俺は今誰かインしてないか慌てて探した。惨劇のクマさんがいた。朝から熱心なやつだ。



惨劇のクマ様へ  おい!おい!おい! な。クマさん!

惨劇のクマ様から おはよー(笑顔)今日狩りでさあ。巫女衣装拾っちゃったよ。これってまだ実装されてないんでしょ。なんで拾えるんだろ。

惨劇のクマ様へ  そんなことはどうでもいい!! それよりメンバー表を見てみろ!

惨劇のクマ様から なんだよ一体。巫女好きなケミカルさんならきっと乗ってくれると思ったのに。メンバー表だったかな。ちょっと待ってね。

惨劇のクマ様へ  早く見ろ。おかしいから

惨劇のクマ様から ん。あれ? 人減ってない?

惨劇のクマ様へ  だろ? これってバグか? それにしては減り具合がすごいな

惨劇のクマ様から 連絡とか来てないの? 抜けるとかいう

惨劇のクマ様へ  俺には何も来てない。そういうのは全部ねこねこに任せてたから俺最近あんまりインしてなかったから。

惨劇のクマ様から そういえばねこねこさんもいないね

惨劇のクマ様へ  お!! ほんとだ今まで気付かなかった。あいつ何やってんだ。昨日も来なかったしよ。

ねこねここねこ様から ブルーウィングの主力は私がもらった。返して欲しかったら私のギルドレッドウィングと対戦しなさい。ではノシー。



ねこねここねこさんはお消えになられました。



惨劇のクマ様へ  ……。

惨劇のクマ様へ  ちょー!! 逃げやがったな。あのやろうふざけやがって。

惨劇のクマ様から ん? 何のこと?



俺はクマさんの問いかけを無視してログアウトした。あの女ふざけやがって上等じゃねえか。俺の恐ろしさ見せてやるよ。俺は飲むキャラメルを拭きながら打倒ねこねここねこを誓った。


次話「彼女が出した条件」3月1日更新予定。「イリュージョン〜ver詩織〜」を連載開始しました。内藤君も友情出演してます。合わせて読んでいただけるとうれしいです。

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