転生者サイボーグ化計画
ふと気付くと真っ白な空間に立っていた。
見る所全てが白!白!白!あたり一面銀世界とか可愛いものではなく、この空間がホワイトカラーなのだ。
正直長居すると発狂しそうだ。
主人公、立花 駆(たちばな かける 22歳)はこの狂った場所から避難しようと歩きだす。
これは手の込んだドッキリか何かだろう、自分は天才でもなく、大金持ちの御曹司でもない。誘拐のメリットがない。
それに歩いているとそのうち壁に当たる。そこでドア、もしくは窓で外を確認出来るだろう。たとえ巨大建造物でも限りはある今は何も考えず進めばいい人間だもの。 かける
どこかで聞いたことがある言葉を思い歩き出す。
しかしいくら歩いても壁という名のゴール地点にたどり着かない。
かれこれ3時間くらいひたすら歩いている。
不思議と疲れが出ずにぶっとうしで歩いているのにも関わらずにだ。
脳内にはRO○KYのテーマが流れている。
おかしい、いったいここはどこだろうか・・・。
「いくら歩いてもこの空間から出れませんよ?」
後ろから不意にかけられた声に驚き振り返るとこれまた白いスーツをきた男がいた。
身長は170くらいだろうか、髪も瞳も黒色で、肌の色は少し色白でアジア系の顔立ちをしてるイケメンだ。
だが何故かチョンマゲだ。しっかりと前髪を剃り込み、歴史の教科書で見かけるヘアースタイルをイケメンがしている。22年間生きた中で一番の残念ぷっりだ。
「驚かしてすいません。私はこういう者です」
「あ、ご丁寧にどうも」
胸ポケットから名刺を出され、受け取って目を通す。
[大宇宙株式会社 地球支部 日本]
「は?」
思わず声が出てしまったが仕方ないことだ。色々ツッコミを入れたいがきっと入れたら負けなんだろうな。
少し固まっていると
「いやはや、突然この空間に放り出されて混乱していますでしょう。ささっ、こちらに来て落ち着いてはどうですか?お茶もだしますよ」
いつの間にか現れたソファーに腰かけイケメンスマイルを炸裂させているチョンマゲイケメンに声をかけられる。銀座のホストNO.1も簡単に取れそうな笑顔だが髪型のせいでイケメン力をごっそり持っていかれている、勿体ない。
「 さて、立花様をお呼びしたのは理由があります」
なんで、俺の名前を知っている、まだ名前は言ってないはずだが!?
「名前の件もそうですが、まずは私のことをお教えしなければなりません」
「あなたのことですか?」
「ええ、まず私は人間ではありません」
「いきなり何を?」
「いきなり信じてもらえないのはわかりきっていることですが聞いてください。私は所謂精霊ってやつです。あ、炎の精霊とかではなくさっきお渡しした名刺に書いている通り日本の精霊です」
証拠を見せましょう、というと何もない空間から日本刀が現れる。
「これはほんの力の一部です。この他にも日本の文化に関件あるものなら実現できますよ?ほら」
指を差した方向には日本の誇る有名ロボットガン○ム(初代)が立っていた。
流石に信じるしかない。
「信じてもらえて何よりです」
ニコッと笑い、ビジネススーツを着たアジアンビューティーの女性に持って来てもらったお茶を飲む。
ちなみにその女性は自分の身長を余裕で超す髪を引きずりながら歩いていった。
なぜ頭は昔のままなんだ。
相変わらずの時代の反比例にため息をつくと
「私は日本の精霊いわば、日本の分身なのですよ。ですから、日本のことは全て把握せております。さて」
コトッと湯呑を置き笑顔でこう告げた
「あなたは異世界に召喚されます」
「異世界・・・ですか・・・」
「おや?簡単に信じるのですね?」
「そりゃあ、あんな物見せられたら信じるしかないでしょう」
あんな物=連邦の白い悪魔
「賢明な判断です。本来ならここには訪れることなく異世界【フリュード】に行ってましたが少々問題がありまして」
「問題とは?」
「はい、正式な召喚ではないんです」
その後、日本は色々難しいことを言っていたが要約すると、本来召喚は召喚師と召喚者の双方が合意して行われており、召喚時に相応の力を与えられ世界に馴染んでいくというもの。
過去に勇者となり世界も救った者や、魔王となり世界を破滅させたのもあったる為、召喚者は強大な力を秘めているという言い伝えがある為、今回は召喚者に隷属の魔法を魔法陣に組み込み人間兵器を作ろうと考え、実行した為に急遽呼び寄せたということになった。
「今回は異例ということで力が渡されないのです」
「なら、すぐに向こうで・・・」
「殺されるでしょうね、確実に、しかし提案があります」
「提案?」
「はい、魔力や特別な力が渡されないので、こちらで用意します」
「そんなことができるんですか!?」
「えぇ勿論、しかし成功率は50%、失敗すれば死ぬでしょう。覚悟ができたのならこちらにサインをして下さい。私は準備がありますので席を外します」
差し出された紙には死んでも恨みませんと書いてあった。
どの道生き残るにはこれしかないからな、と思いサインを書き終わる。
「書き終わりましたか」
見計らったように出てきた日本に少し驚いたものの、はいっと答える
「そうですか、そうですか・・・では」
パチンと指を鳴らすとソファーから拘束器具がでできて手足を拘束、そのまま変形し、仰向けに寝かせられる
「な、何を?」
「今から力を与えるんですよ。改造という名のね」
そこには、イケメンスマイルを振りまく優男ではなく狂気に狂う男の笑顔があった
「言って置きますがこれは契約に従いあなたが承諾したので不当ではありません」
ほらっ、と差し出された契約書には紙の右下、虫眼鏡で見ないとわからないような大きさで〈なお、外見が多少変わりますので注意を〉と書いてあった。
「いやー一回でいいから改造人間作ってみたかったですよねー。あ、心配しないでください今回初回サービスで結構詰め込んであげますから不自由はしませんよ?」
ニヤリと笑う笑顔に不安しか生まれない。
「では、今からオペを開始します」
その瞬間、身長60センチほどの小人がわらわらと出で来る。
「この子たちは県の精霊ですよ」
「トウキョーですー」「フクオカですー」「センダイですー」
「自己紹介は後程してくださいね」
「「「はーい」」」
「それでは麻酔をお願いします」
「頑張るですー」
屈託のない笑顔に似合わない大きなハンマーを担いで現れる小人。
これから起こる惨劇が容易に創造できてしまう。
「薬では何かと不便なので、麻酔(物理)のほうが効率が言いのですよ」
「なにかいいのこすことはないですー?」
「し、死にたく・・・ない」
「開始」
「おんどりゃあああああ」
野太い声をあげながら頭にハンマーを叩きつけたところで意識を失う。