その子はシラクちゃんと言うのかい?
【閲読注意】人によっては性的表現と受け止める情景がありますので、各自で、適宜、遮蔽物、霧、吹き出しなどを想定していただきますよう、よろしくお願いいたします。
なお、登場人物の現在の容姿は、次のようになっています。したがって児童ポルノに該当し得る情景にはなっておりません。
オビト :12歳→20歳程度
アスカ :12歳→30歳程度
ヒロミ :12歳→30歳程度
ナーニャ: 3歳→20歳程度
ヒストリア邸で密室に閉じ込められたところで蚊人の吸精攻撃を受けたオビト、アスカ、ヒロミ、ナーニャの4人。すでに大人の姿にさせられている。
ナーニャが何かの霊に導かれるように外から鍵がかけられたドアの外に出ようとするので、アスカがその守護霊、紅蓮の戦士『不動の解脱者』の正拳突きでドアを破壊する。
4人がここから外に出ると、蚊人は追いかけてこないようだった。守護霊は、その術者から離れては行動できないのだ。
ナーニャは、ヒストリア邸の奥へ向かって、廊下を歩きだす。
アスカ
「どこに行こうとしているのかしら」
ナーニャは、身体こそ妖精守護霊、蚊人の吸霊攻撃を受けて15歳ぐらいの姿まで成長をさせられたが、心は3歳のままである。どこに行くのか聞いても「ママ、ママ」と言うのみで、ハッキリと答えない。
オビト
「霊体を追いかけて歩いているのは間違いないようだ。 僕の陰陽劍が、その先の霊気に反応している」
ヒロミ
「オビトは、十分に気を付けて。 蚊人の気配がしたら、すぐに教えてね」
オビト
「分かってる。 あの蚊人は、あの部屋を出てまでして僕たちを追いかけることはできないようだったけど、術者が移動すれば、また攻撃してくると思う」
ヒロミ
「そうよ。 そして術者は、私たちがこうして逃げ出したことに、もう気付いている筈だから、警戒を怠らないでね」
ときどき、ヒストリア邸の家人に見つかる。その都度、アスカが『不動の解脱者』で瞬時に撃退。
そしてナーニャが、あるドアの前で立ち止まった。
赤ん坊の泣き声が、かすかにする。
アスカが、そおっとドアを開ける。
4人は今、ハダカなのだ。廊下で立ちん坊をしていたら目立ちすぎる。
部屋に入って、静かにドアを閉めた。
その中には、ゆりかごに寝かされる赤ん坊と、ベッドの上で眠る婦人の姿があった。
ナーニャが赤ん坊に近づき、オビトと目を合わす。
ナーニャ
「シラク」
彼女は、赤ん坊のことを「シラク」と呼んだ。
首もすわっていない、見るからに生まれたばかりの赤ん坊だ。
オビト
「その子は、シラクちゃんと言うのかい?」
ナーニャ
「シラク」
オビト
「男の子かな? 女の子かな?」
ナーニャ
「オトート」
アスカ
「この子って、ひょっとして――」
ヒロミ
「私たちが会いに来たシキ皇子の赤ちゃんのようね」
そしてアスカが、ベッドに眠る婦人の異変に気付いた。
アスカ
「この人、息をしてないわ!」
ヒロミ
「まさか? こんなに血色が良いのに」
ヒロミが婦人の肌に触れる。
冷たい。
脈もない。
ヒロミ
「死んでる! この人、シラク王子のお母さん、トチ=ヒストリアさんじゃないかしら?」
オビト
「え? トチ姫様が? 死んでいるのかい?」
そこへ、再び蚊人が現れた。
蚊人
「見タナァ! 見タナァ! 見タナァ! 姫ノ秘密ヲ見テシマッタナァ! コウナレバ、オ前タチハ、絶対ニ、絶対ニ、絶対ニィィィ、ココデ死ンデモラウシカナイ。 俺様ノ能力デェェェ、オ前タチノ精気ヲ吸イツクシィィィ、ソノ精気デ姫ヲ復活サセルノダァァァ!」