↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くっ殺から始まるデュラハン生活  作者: クファンジャル_CF
第八話 故郷にて
78/213

三人目

「つまり、三人目《・・・》か」

「はい。一人は件の時間、水神の神殿の寝室《・・》から起き出し、世話役の侍者《アコライト》と談笑しているところを複数の神官が確認しています。そもそも原本《・・》を持っているのですから、盗む必要はないかと。もう一人は問題の曲者を追撃し、刃を交えているのを多数の者が目撃しました。容疑者から外してよいでしょう」

そこは星神の神殿の一角。緊急に屏風で区切られたそこでは、集った港町の要人たちが敷物へ座り、会議を持っていた。

通常、重要な案件は各評議員が持ち回りで議場を提供する。されど今回は現場《・・》ということでここが議場となったのである。

議題は、盗み出された品物。そして下手人たる首なし騎士(デュラハン)についてであった。

「問題の魔導書は、19年前に押収された鋼の戦神(マシンヘッド)関連のものばかりなのですね?」

「厳密にはそれだけではなく、大賢者が記した高位の魔法に関するものも含まれている。だが、あそこを故意に狙った以上は鋼の戦神(マシンヘッド)が狙いなのはほぼ間違いあるまい」

「原本《・・》はどうか?」

「水神の神殿で管理人ともども保護しています。今のところは大丈夫でしょう」

「しかし厄介ですな。あの量の書を根こそぎ運べたとなると、強力な魔法使いが背後にいるのは間違いありません」

「なんということだ。また神獣騒ぎのような大事になるのはごめんですぞ。衛士による追撃は?」

「撒かれました。かなり巧みな操船です。もっとも、神獣騒ぎの例を挙げるまでもなく、ただの人間では首なし騎士(デュラハン)に勝てません」

「つまり、我々は持ちうる最強の討手を差し向けねばならぬ、と……?」

「でしょうな。今のところは敵が大河を南下したのは分かっています。人海戦術で目撃例を探しましょう。奪還は彼女ら(・・・)に任せるのです」

「やむを得ぬ、か」

こうして、決が下った。


  ◇


追手を振り切ったことを確認し終えると、曲者―――第三の首なし騎士(デュラハン)である女戦士はため息(・・・)をついた。

忌々しい。人質《・・》さえなければ誰がこのような穢れ仕事など。

首なし騎士(デュラハン)の素材は、首の切断が死因となった強靭にして高潔な武人(・・・・・)である。彼女らは生前の自我を保ち、自発的《・・・》に活動していた。強烈な自我こそが彼女らの強大な力の根源である。そんな彼女らを従わせるには、納得させるか、魔法で別途その魂魄を縛るか、あるいは脅迫《・・》するか。

彼女《・・》を縛るのは第三の方法だった。

それにしても。と彼女は思う。

あの追手。まさか街中で同族(・・)に追われるとは。

羨ましかった。このような体に成り果ててもまだ、光の道を歩めるあの同族が。

彼女は船頭にひと声(・・・)かけると、体を休めることとした。まだ夜だが、陸に上がれば次はいつ休めるか分からない。着衣を脱ぎ捨て、流麗だが首の欠けた肢体が露わとなる。

体を縄で船体につなぐと、彼女は水の中へ飛び込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。