第14話
何時間もの馬車の旅を経て、ようやく学園にたどり着いた。
ゲーム画面で何度も見かけた門、校舎、寮。
間違いなくここは《エルンテ・オープスト学園》だ。
「サラ様」
寮の外観を眺める私をアルバが呼ぶ。
私はその声で、アルバに続いて寮の中へ足を踏み入れた。
昼前のアルバに問いかけた質問。それに対するアルバの態度。
あれ以上深く聞く事はできず、今に至っている。
私はアルバを攻略した事は無いため、彼の事情とかは深く知らない。
ただ少なくとも、主であるフレドや、兄弟であるノッテと一緒に居る彼は、とても楽しそうだった気がする。
とはいえ、ゲーム本編と違う事が沢山起きている世界線なので、もしかしたら何かあったのかもしれない。
「サラ様の部屋はここの様ですね」
そう案内されたのは、屋根裏だった。
埃とかはなく、とても綺麗に整えられており、住む分には全然問題ないだろう。
そして、屋根裏である事に対しては、もはや『知 っ て い た』と言いたい気持ちなので、驚いたりとかは得にしない。
何故、知っていたのか?
答えは単純明快だ。
乙女ゲーム《魔法使いへ祝福を》のヒロインである《ミア・エルドラード》が、寮の部屋が足りないからと、ここを自室に割り当てられていたからだ。
まぁ、貴族のお嬢様達に屋根裏は使わせられないもんね。そりゃ、庶民が割り当てられるのが自然である。
「……他のお嬢様方は、相部屋なのに対して、ここは1人部屋になります。また、あそこの窓からは街を見下ろせるので、とてもオススメですよ」
アルバはホテルマンかな?と思うレベルで、色々と説明をしてくれる。
今日一緒にここに来たアルバが、この部屋に詳しい理由は、恐らく学生時代に何度も来たからだろうと予想ができる。
しかし、それは一人で?それとも、フレドの付き添いで?
好奇心から気になったが、昼前のアルバを思うと、聞くのは止めた方が良いだろう。
そう思い、説明を素直に聞くだけに留めた。
ーーー
アルバは一通り説明した後、満足そうな顔で帰っていった。
そういえば、なんとも思わずここまで一緒に来たが、アルバはフレドの元に帰るため、一緒の馬車に乗っただけだったと思い出す。
5年前、突如フレドが訪れたのち「護衛」として、派遣されたのがアルバだった。
本当は双子の兄であるノッテと交代だったらしいが、私の教育係になってからは、アルバが専属で護衛する事となったのだ。
そして、5年がたち私が学園に入学するタイミングで、その護衛も終了となった。
終了となった理由としては、母であるソフィが元々「護衛は不要」と言っていたのに対して、フレドが「せめて、サラが大きくなるまでは……」と言っていたからなのだが……。
まぁ、護衛の間は王都に帰る事もほぼなく、フレドや双子の兄であるノッテと離れ離れだったのだから、アルバとしてはやっと長期の仕事が終わった気分だろう。お疲れ様です。
私はグーッと背伸びをする。
長時間の移動で体がバキバキだ。
今日は、早く寝てしまおう。
そう思い、綺麗に整えられたベットに飛び込む。
入学式は明後日からだから、明日は荷物の整理整頓をしないといけない。
とはいえ、トランク1つに収まる荷物の量だから、たかが知れているが。
あ、あと、お母さんに手紙も書いて出さなきゃ。
いつもなら、そんな考え事をしていると寝れないのに、ふっかふかの布団はとても気持ちがよく、すぐに睡魔が私を襲った。




