第12話
悪役令嬢の母親が、乙女ゲームの主人公と親友だった件について。
思わず、そんな掲示板を建てたくなってしまう。
しかし、こちらの事情について何一つ知らない母親は話し続ける。
目の前の情報が整理できていない状態で、話を続けられても、まともに話は入ってこないだろう。そう思い、静止させようとするが、母の口から言葉が出る方が早かった。
「サラさんはね、ミアさんが連れてきたの」
「えっ」
話が入ってくるとかそんな次元ではなく、次なる爆弾が放り込まれた。
ミア・エルドラードが私を連れてきたの……!?
もう、頭の中は大爆発だ。
「その時に、聖魔法を使ってはいけないって、強く言われたのよ」
「……」
なんと返せば良いのやら。
まってまって、再度情報を整理させて欲しい。
・聖魔法は、この国では尊く素晴らしい魔法だといわれている
・しかし、他国からすると、実際にはそう思われていない模様
・何なら、聖魔法が使える主人公ミアも使用しては駄目だという
ど、どういう事……?
「ひとついいですか?」
その声で、背後にアルバが居る事に気が付いた。
母はずっと気が付いていたのか、驚く様子もなく「どうぞ」と返す。
「見た感じ、サラ様には《聖魔法》による《加護》がかかっていますね」
「かご……?」
やめてください、情報過多です。そう叫びたい気持ちでいっぱいである。
しかし、アルバはそんな私に気が付いているのか、ニコリと微笑み続けた。
「昔、文献で読んだ事があります。《聖魔法》を打ち消すのは《聖魔法》だけだと」
「あぁ、なるほど……」
アルバの言葉に、母は納得をしているが、私はさっぱりだ。
えーんえーん、中身が女子高生だとしても、今は10歳の少女なのだから、解りやすく話してくれよ〜。
「ひとまず、とても嚙み砕いて話すと、サラ様が《聖魔法》を使えば、サラ様自身にかかっている《聖魔法》による《加護》が解除されるわけです」
「な、るほど……?」
原理はさっぱりだが、そういう事らしい。
これは私が勉強していけばわかるようになるのだろうか。
「だからこそ、ミア様は《聖魔法》を使うな、と言ったのでは無いでしょうか?」
アルバの出した結論に、私たちは納得をする。
しかし、頭の隅で何かが引っかかる気がする。気のせいだろうか?
ふわりと頭を撫でられる。
私の頭を撫でた主は、目の前の母親だった。
「ごめんなさい。母親面して育てていたけど、本当のお母さんじゃないの」
そう言って、優しく抱きしめられた。
私は母の背中に両手をまわして、抱きしめ返す。
「いいよ。お母さんはお母さんだし」
そういえば、抱きしめる力が強くなる。
けれど、苦しい事は無くて、むしろ安心感さえ覚える。
ーーー
ひとまず、親子喧嘩はこうして幕を閉じた。
私の教育についてだが、このまま母に任せるわけにもいかず、けど教育はすべきだと、悩んでいた所、アルバさんが立候補をしたため、アルバさんに教育をしていただく事となった。
「そういえば、なんで突然勉強をさせようと思ったんだろう?」
ふと授業中にそう零せば、アルバさんは知らないんですか?とでも言うように答えてくれた。
「サラ様は魔法が使えるので、将来的に《エルンテ・オープスト学園》から入学案内が届くはずですよ」
エルンテ・オープスト学園
それは《魔法使いへ祝福を》の舞台となった、学園の名前だった。




