新しい仕事
午前06:00。成瀬はドクターに処置されたばかりの左肩の鈍痛と、昨夜の疲れがわずかに残る頭を抱えてラウンジに現れた。
ラウンジの長机には、すでにいくつかの装備一式が並べられていた。
ロコはすでに戦闘服に着替え、鏡の前でタクティカルベストの調整をしている。
昨夜の「スケベな案内人」の面影はなく、その瞳は獲物を狙う爬虫類のように冷めている。
「よぉ、お目覚めか。腰、抜かしてねえだろうな?」
ロコがニヤリと笑い、一丁のハンドガンを成瀬の方へ放り投げた。
成瀬はそれを右手でキャッチし、スライドを引いて薬室を確認する。
「……新品じゃないな」
「当たり前だ。ヴィクターのケチは筋金入りだ。それは以前、このチームにいた前任者のお下がりだ。可愛がってやれよ」
「全員揃ったな。……成瀬、座れ。仕事だ」
奥のドアから、スペンサーが現れた。
「今回の任務は、隣国の反政府勢力に拘束されているジャーナリストの回収だ。……ヴィクターがどこからか『高く売れる』ネタを掴んできたらしい」
モニターには、ジャングルに隠された古い軍事施設の航空写真が映し出される。
「そして成瀬、お前のポジションはAICだ。ターゲットの身柄を確保した瞬間から、お前が『盾』になれ。俺たちがどれだけ撃ち合おうが、お前の仕事はターゲットを無傷でヘリまで運ぶことだ。……いいな?」
スペンサーの視線が成瀬を射抜く。それは昨夜、工場で成瀬をハメた時と同じ、冷徹な「教育者」の目だった。
「……了解だ」
成瀬は短く応え、支給されたホルスターを腰に固定した。
「……成瀬、言い忘れていたが、昨夜の代金は、経費では落ちん。お前の借金に加算しておいたぞ」




