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それゆけ、孫堅クン! 改 ~ちょい悪オヤジの三国志改変譚~  作者: 青雲あゆむ
第4章 呉王朝創設編

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幕間: 曹操クンは悔い改める

 俺の名は曹操 孟徳。

 大宦官 曹騰の孫だ。


 元々は夏侯一族の出なんだが、親父が爺さまの養子になった。

 爺さまは宦官だが、それは立派なお方だ。

 俺は小さい頃から、可愛がってもらったものよ。


 任官してからは、騎都尉として黄巾賊を討伐したり、相として政治に関わったこともある。

 その陰には、爺さまや親父の威光があったかもしれないな。

 もっとも、ちょっと職務に熱心になり過ぎて、恨みを買ったので、しばし隠遁していた。


 すると董卓などという田舎者が朝廷を牛耳ったので、袁紹たちと共に反旗を翻した。

 一時期は董卓を包囲し、大いに意気を上げたものの、それを横から邪魔する無粋者が現れる。

 長沙太守 孫堅だ。


 こいつは無類の戦好きで、瞬く間に荊州を支配下に置いたという。

 それどころか、堂々と董卓に助力すると宣言し、我らに襲い掛かってきたのだ。

 これで豫州方面を突き崩された我らは、河内郡、陳留郡で董卓の反撃を食らい、反董卓連合は瓦解してしまう。


 ヤツとは黄巾討伐で肩を並べたこともあったが、これほど影響力を持つようになるとは、思いもしなかった。

 その後、我らは橋瑁に罪をかぶせ、表向きは故郷で謹慎する形を取った。

 しかしその陰では、いずれ実権を取り戻さんと、牙を研いでいたのだ。


 やがて時は満ち、董卓の暗殺が実行される。

 あいにくと命までは取れなかったが董卓は失脚し、中原のほとんどを我ら関東士人が取り返したのだ。

 ところが董卓の残党は、頑強に抵抗してきた。


 その中核となったのが、またもや孫堅だという。

 おのれ、孫堅。

 どこまでも目障りな奴よ。


 我らは総力を挙げ、彼奴らの掃討に取り掛かった。

 20万人以上の兵力をつぎ込むだけでなく、謀略をもって皇甫嵩の軍を打ち破った。

 これで勝負あったかと思ったのだが、敵はなおもくじけない。


 我らは不思議なほどに先手を取られ続け、滎陽けいようから先に進めずにいた。

 そうこうするうちに敵が戦力を回復し、反撃に出る始末だ。

 その勢いは凄まじく、我らは次々に城を奪われる。


 そこで酸棗さんそうに集結して、決戦を挑んだのだが……


「呂布が討ち取られただと?!」

「はっ、敵は呂将軍の首を掲げ、攻勢を強めております」

「くっ、このままではたん。城へ後退しよう」

「うむ、そのうえで、冀州に援軍を求めればよい」

「よし、後退だ!」


 なんと、我が軍の切り札であった呂布が、孫堅に討ち取られてしまったのだ。

 おかげで味方の士気が低下して、籠城せざるを得なかった。

 しかし我らには後方の支援がある。

 冀州から援軍が来ればまた……


 しかしそんな希望も、無惨に打ち砕かれた。


――ズガーン、ドゴッ、バキバキバキッ!!


「ひい~っ、鬼神の怒りだ~っ!」

「お、恐ろしい。なんという事をするんじゃぁっ!」

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


 なんと孫堅は人の大きさほどの岩を、城に飛ばしてきたのだ。

 人力では絶対に不可能なその攻撃は、少しずつ城壁を壊していく。

 それだけでなく、城内の櫓や屋根を叩き壊し、人々を恐慌に陥れた。


 こんな、こんな事が人間に可能なのか?

 あいつは一体、何者なのだ?


 そんな問いを重ねているうちに、城壁は破壊され、敵兵が侵入してきた。

 それを迎え撃とうにも、すでに兵の心が折れていて、組織的な抵抗もままならない。

 やがて俺たちは追い詰められ、降伏を余儀なくされた。


 牢に入れられてしばらくすると、孫堅が会いに来た。


「……久しぶりだな、孫堅」

「ああ、まともに話すのは、黄巾討伐以来か」

「そうだな。あの時、俺は騎都尉だった。しかし今では、無様な敗軍の将だ」

「フッ、懐かしいな。あの時の俺はただの佐軍司馬で、ちっぽけな存在だった」


 あの時は明確に俺が上位だったのに、今は逆どころか罪人扱いだ。

 俺はここでくじけてはならじと、反乱の正当性を説いた。

 しかしそんな理屈が通じるはずもなく――


「お前だって分かってんだろうが? 今の反乱軍は、董卓のような非主流派による政治に、ただ反発してるだけだって。そうして兵まで挙げて、さらなる利権と権力を握ろうとしてるんだ。まさに寄生虫だな」

「なんだとっ! 我らを愚弄ぐろうするかっ!」

「愚弄じゃねえ。事実を言ってるだけだ。お前らは正真正銘、クズでゴミで、害悪だ!」

「おのれっ! この縄をほどいて、俺と勝負しろっ! 孫堅っ!」


 俺はあらん限りの力を振り絞り、孫堅の喉元に食いついてやろうと思った。

 しかしあっさりと押さえつけられ、無力感を味わっただけだ。

 するとヤツは俺を慰めつつ、自分が何をするべきだったかを、考えろと言う。


 フ、何を今さら。

 俺に恥じるべきことなど、ひとつもないと思っていた。

 しかしその後も孫堅はたまに訪れ、俺たちがいかに間違っていたかを説いていく。


 最初は聞き流していたが、そのうちヤツの言うことにも一理あると思い始めた。

 そしてある日、とうとう決断を迫られる。


「ようやく反乱軍の主要人物どもを、捕らえることに成功したよ。3年前の反乱にも加担していた奴は、全て死刑と決まった。ま、当然だな」

「そうか。なら俺も――」

「いや、お前だけは反省の色があると言って、保留にしてある。もしお前が国のために働くと言うなら、名誉挽回の機会を与えるぞ」


 そう言われて、かなり迷った。

 別に死など怖くないが、このまま逆賊として果てるのは耐え難い。

 しかしそんな美味い話があるだろうか。


「なぜ俺だけに温情を掛けるんだ?」

「昔、肩を並べて戦った仲、と言いたいところだが、お前の能力を惜しんだだけだ。今のこの国はガタガタだからな。有能な奴をみすみす死なせたくないんだ」


 孫堅は面白くもなさそうに、淡々とそう言った。

 それだけにその話は真実味があり、何よりも俺を評価してくれることが嬉しかった。


「分かった。この生命、国のために捧げよう」

「それは良かった。おそらく北辺の守りに回すから、覚悟しとけよ」

「望むところだ」


 俺の返事を聞いてニヤリとすると、孫堅は去っていった。

 やれやれ、今後は北辺で異民族とやり合うのか。

 しかし逆賊として死ぬよりは、いくらかマシだろう。

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前作の”それゆけ、孫策クン! 改”はこちらから。

それゆけ、孫策クン! 改

孫策が暗殺を回避して、新たな歴史を作ります。

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逆行の劉備 ~徐州からやりなおす季漢帝国~

白帝城で果てた劉備が蘇り、新たな歴史を作るお話です。

― 新着の感想 ―
実際、この世界の歴史でも 曹操は改心して 平和のために尽くしました となるように史書編集させるだろう これぐらいは孫堅君ならやるでしょからね 反逆者として汚名残すよりかは 100倍マシやろ
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