プロローグ
故郷のお母さん、お姉ちゃんへ
お元気ですか? 私は元気です。
お父さんが亡くなって、今年で十年が経ちましたね。私もとうとう十七歳となりました。あと少しで立派な成人です。成人式には、そちらへ戻る予定でいますが私の部屋は残っているでしょうか? なんとなくですが、私の部屋は物置になっているのではないかと思っています。当たっていますか? 二人とも昔から片付けが苦手なタイプだったので、もしかしたら私の部屋にいろんなものを詰め込んでいるのではないかと危惧しています。成人式で帰省した際は、私の部屋に物を詰め込んでいたら徹底的に掃除をさせていただきますので、覚えておいてください。
十二歳の時に無理言ってこの学校に入学させてもらってから、もう五年が経ちました。あっという間の五年間だったような気がします。この学校は五年制です。そうです。卒業が目前にまで近づいてきました。
あの時は、本当にありがとうございました。お金がないのをわかっていながらも、この学校に入学したいと言った私のわがままを聞いてくれて、とても感謝しています。その感謝を、一日たりとも忘れたことはありません。
この学校の授業料の金額に、二人が言葉を失っていたのを昨日のことのように思い出します。それでも、私が望むなら、と頑張って働いで入学金が授業料を払ってくれたので、なんとか最終学年にまで進学することができました。私はこの学校をしっかりと卒業し、その恩を返すためにこの学校で一生懸命がんばりました。それはもう、寝る間も惜しんで頑張りましたよ。
そして、最終学年の私たちは、進学組と就職組に分かれ、ほとんどが自分の進路を決めています。進学組はこれから大学の試験があるため、少しぴりぴりとした雰囲気で勉強しています。逆に、すでに内定をもらっている就職組の空気はのんびりとしていて、その姿が進学組の神経を逆撫でしています。
私は迷わずに就職を選びました。もともと、この学校に入学した目的は、いい学校を出ていい企業に就職することです。これ以上、二人に負担をかけることはできません。先生からはもったいないと進学を勧められているのですが、とてもじゃないけど大学の授業料や入学金までは準備できないと伝えています。それなら奨学金もあると言われたのですが、この国の奨学金は貸与型なので将来完済できるかどうかわからない借金を作るのは避けたいと考えています。もしも私が返せなかったら、しわ寄せが二人にいくので余計に借りるわけにはいきません。
なので、私は就職を希望しています。
現在、クラスメイトやほかのクラスの就職組のほとんどが内定をもらっている状態です。
私はこの五年のすべてを就職のために捧げました。学業もがんばりましたし、素行も問題ありません。絵に描いたような優等生です。先生からの信頼も厚いです。
それなのに————




