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第3話 美都里の日本茶講座

光輝と美都里が職員室に呼ばれた。


2人は何事だろうと行ってみると、


「今度いくつかのクラブに、生徒を集めて


講習会的なことをしてもらおうと思っているんだ。


君達は日本茶に詳しいのだろう?


どうだろう、やってはくれまいか?」


と先生から言われた。


どうも文化部を中心に頼んでいるとのこと。


文芸部・軽音部・放送部・写真部・吹奏楽部


自転車部に地図研に演劇研


これらのクラブに声をかけていた。


そしてこの学校には茶道部がないことから喫茶研に


頼んできたみたいだ。


光輝は美都里を見ると、講義をしたいけど


大勢の前だと恥ずかしいと言ってきた。


すると家庭科部の先生が来て、


「美都里さん。あなたは日本茶を広めたくはないのですか?」


それを言われて美都里は


「広めたいです。わかりました。やらせていただきます」


こうして美都里による日本茶講座が決まったのである。


そして平日の放課後に空き教室で開催することになった。


部室に戻る時


「光輝君。なんか緊張してきちゃった。


日本茶はみんなに知ってもらいたいんだけど」


「大丈夫。美都里ならできるよ。僕もサポートするから」


部室に戻り、風華と友美に話をして、2人の協力も得られたのである。



講習会当日、満席とまではいかないけれど、結構人が集まっていた。


教師として家庭科部の先生も来ている。


美都里は時間になると教壇に立ち講義を始めようとした。


「かわいい」


「ちっちゃくて女の子って感じだね」


集まった生徒からヒソヒソ話が聞こえてきた。


美都里は自分の事を言われて恥ずかしくなってきた。


しかし教室の後ろにいる光輝を見ると


がんばれって言ってくれてるのがわかった。


美都里は気合を入れて講義を始めた。


「初めまして。今回日本茶の講義をする美都里と申します。


限られた時間ではありますが、日本茶の奥深さを知ってもらえれば」


そう言い終えると、プロジェクターのスイッチを入れ


講義を始めた。


「日本茶の歴史は奈良時代又は平安時代初期に遡ります。


唐(中国)から渡来しました。


当時の茶は現在のものと形式がちがい、団茶と呼ばれる、


茶葉を蒸してすりつぶし固形状にして乾燥させたもので、


飲むときは火であぶってから粉にして湯の中に入れて煮るものでした。


当時は茶は貴重で上流階級しか飲めませんでした。


遣唐使が廃止になって茶は(すた)れてしまうのですが、


鎌倉時代に茶の種を持ち帰り、栽培しました。


当時のお茶は抹茶のようなものです。


江戸時代に煎茶が誕生し高級品としてですが


庶民にも飲まれるようになりました。


一般家庭に普及したのは大正以降となります。


今みなさんが飲まれてるのは比較的近現代に広まったのです」


ここまで言うと美都里は一息ついた。


「次にお茶の話を。チャノキって知ってますか?


緑茶やほうじ茶とかの他に紅茶やウーロン茶も


チャノキから作られてるんです。


茶と言ってもチャノキじゃない、麦茶とかハーブティーは


茶外茶と呼ばれています。」


それからお茶の種類や製法などを説明していった。


最初はなんとなく聞いてた生徒達も、メモをとるものや


質問する人もあらわれて真剣に聞いているのがわかる。


プロジェクターだけでなく、実物の急須や茶匙(ちゃさじ)


湯冷まし、茶筒などを実際に見せ、使い方などを解説していく。


しかし美都里の様子が突然おかしくなった。


美都里の講義が止まったのである。


光輝がすかさず美都里に駆け寄る。


「実物のチャノキとお茶の葉を持ってきたと思ったのに


ここにないの」


「すぐ持ってくる!」


光輝がすかさず、教室を出て部室に向かった。


美都里は光輝を信じ、お茶の蘊蓄(うんちく)などで時間を潰す。


すると光輝がチャノキとお茶の葉を持って来た。


汗をかきながら、肩で息をしている。


美都里は一言「ありがとう」と言って講義を再開。


最後は紙コップではあるが、風華と友美と光輝も手伝って、


みんなにお茶を提供。


「美味しい」


「日本茶の事を知ってから飲めるなんて」


「お茶ってこんなに美味しかったんだ」


みんなから驚きの声があがる。


こうして美都里の日本茶講座は終了したのだ。


家庭科部の先生からも


「よく勉強されてるし、わかりやすく素晴らしかったです」


と褒めてもらえた。


それから片付けをして部室へ。


「美都里お疲れ」と友美


「私も紅茶講座したい」と風華


そして「光輝君さっきはありがとう。私(あせ)っちゃって」


「どうってことないよ。美都里の講義とても良かった」


美都里は誰にも聞こえない小さな声で「私のヒーロー」


と言って笑顔になったのである。

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