11月10日:狂像炎讐④
「イイよなァこレ!ヴェールはこンな視点だッたンだなァ!」
目を……別の人から移し入れる……?
「……気持ち悪い」
「ア?」
「なんで……なんでそんなこと出来るのよ!」
クルスは感情を込めて叫ぶ
……だが、返ってきたのは意外な返答だった
「別にオレがスすんでヤッたわケじャねェぜ?」
「は?」
「研究所のヤつラがヨォ、ヴェールが瀕死で帰ッて来たかラッてオレに目をつけカエやがッてよォ」
……何を……言っているの?
「なあヴェール……おレの兄貴……ぜッたイにナオさせルからよォ……見てテくレよォ!オれをオォ!アエヌ・フレクシヲよォ!」
……ダメだ、話が何も分からない
狂ってる……!
「……逃げなきゃ」
恐怖で痛みを忘れたのか、火傷の残る左手を付きながら立ち上がる
「ァアン!?逃がすわケねェダろ!!!」
「雷離!!!」
反射でクルスの体から雷魔法が出力される
先程の集雷に比べて出力が弱い、大したダメージにはならないが仰け反らすことは出来た
「イッ……テェなァ!まだ反抗すンノかよォ!」
「そりゃあそうでしょう……ただで捕まるわけ……ないじゃない!」
こちらの痺れはあらかた無くなった、後はここから離れて……
「ア゛ア゛ッ!こノ前とイい金髪のガキは面倒ナのが多イなァ!」
金……髪……の?
逃げるために動かした足が止まる
(里ォ……?ァア、あの山ンなカのかなァ……)
「……」
「オ?なんだァ考エ変えタかァ?」
話が通じるわけがない、でも里を襲ったのはほぼコイツ
私の里で金髪だったのはディクロア家だけ
……何かが、私の中で切れた気がする
「ア?なンだコッチむ……」
「絶海」
クルスの体から、身長すら超えた2mの波が溢れる
「アァ!?銅壁!」
フードの男……アエヌは銅の壁を出す
……普通の水魔法なら、止まっていただろう
べコン!
「はァ!?」
銅の壁が凹んでゆく
それだけでは無い、
気のせいかもしれないが……
「横の家が動イテやがル……!?」
波に押されて、家がズレていく
クルスに最も近かった家は少し崩れ始めている
「マズィ……銅壁・圧!」
追加で銅壁をつくる
波の影響を止める事に成功し安堵するアエヌ
……が、少し行動を間違えた
「骸雷」
「……なアッ!?」
水を通し……銅も通して……銅壁と目の間で稲光る
「ガァァァァァァァァ!!!!!!」
雷に当たった体が焼けていく、アエヌは死ぬと確信を……
「ぁ……」
嗚咽のような声を最後に、クルスは気絶した
前から倒れ、大通りでうつ伏せになる
……大規模な魔法は使えば体力の消耗は避けられない
それも、身体を超えるほどの異次元の規模の魔法だ
クルスが気絶したことで、魔法も止まる
アエヌは体の右半分には大きな痕が残った……が、意識を保っていた
「……コンのクソガキィ……!」
怒りが積もる、ただ痛みが頭を少しマトモに戻したのか攻撃はしない
「ヴェールが待ってんだよ……とっととテメェを土産にィ……!」
またも痺れが残る体でクルスへ近づく
……クルスの抵抗と暴走は時間稼ぎには十分すぎた
「鉄銃!」




