11月9日:調査結果・承
「……そうかい、今回の件にお前の仇が」
「ああ……クルスには悪いが、出来れば明日にでもケリをつけたい」
ダンテは尋問を終え次第基地に戻り
トークルと日課になりつつある情報交換をしていた
まず先の尋問の話を一通り報告する
「実際明日か明後日にはケリつけなきゃならんのはそうだな、俺を襲った……カドゥか、がいうには奴らの調達……誘拐を打ち切るって言われたそうだしな」
「ああ、だが……敵の実態が分からなかったのは痛いな」
そうなのだ、敵の名前、その所属名、その目的はわかった
だが依然としてその理由が分からない
「……とりあえず、出来ることからだな。子供たちを集めてる場所はどこだ?」
「ここだな、図書館から……20m程離れた所にある一軒家だ」
「……ちょっと待ってろ、情報課から資料借りられるか聞いてくる。流石にそんだけ子供が来てんなら情報は集まってるだろ」
「ありがとう、こっちは昨日の続きをしとくよ」
「頼む」
トークルが部屋から出た後、改めて報告書に目を通す
……アイツが言ってた通りか、確かに子供のいる家庭が多い
子供のいない火災現場の殆どはせいぜい1部屋焼けた程度……
デコイか?
「んー……んー……?」
……何か違和感を覚える
なんだ、何か……
カドゥの言葉の方か?
(火事を起こしたのは私じゃない)
……なんでだ?
よくよく考えるとおかしい、隻眼な上炎魔法への適性が高いやつが火災を起こす側ではなく回収する側?
「……」
(片方が緑の炎の異能を持っている。もう片方は魔法を1度も使わなかった)
魔法の適性・異能は遺伝することも多い、片割れの火火魔法が適正が高くて異能が発現するほどのものなら……
「火事を起こしたのは異能のない方のフレクシ兄弟か……?」
いや、まだ協力者がいる可能性は否定できんな……
やっぱり情報が足らなすぎる
俺たちの捜査が始まってすぐに撤退の準備まで……
あまりにも早すぎる……この早さだと内通者すら疑えるぞ
「いやダメだそこまで考えるな、ある情報で考えろ。不可能になるまでは諦めるな」
そんなことを考えていると扉が開く、戻ってきたようだ
「戻ったぞ、ここ数日の周辺の記録借りるついでに例の場所の偵察も頼んできた」
「助かる。とりあえずカドゥの尋問はそこそこ正確そうだ、火事の被害者に子供のいる家庭が多かった」
「へぇ……ならその子たちは今から助けられるかもな」
「正直、ほんとにこの2つが同じ事件なのか半々だったからな。本当に実入りが良かった」
「そうだな……」
そう話しながら椅子に座って資料を開こうとするトークル
ふと思いついて、その手が止まる
「……なぁ、一つ浮かんだんだが」
「どうした?」
「お前の家の件だ」
「……何かあったのか?」
「いや何かあった訳じゃない、ただお前がカドゥに聞いた通りだと犯人の片方がそうなんだよな?」
「緑の炎の異能と聞いたからな、同じ異能が見つかることさえ稀なのにしかも放火犯の1人と考えると同じ以外考えられない」
「そうか……なら……」
トークルは少しの躊躇いの後続ける
「……スマンが必要だから聞く、お前の件で被害にあったのは何人だ?」
「……3人だ」
「内訳は?」
「親父と母さん、そしてミリア……俺の幼なじみだ」
ならばという顔をして、トークルは問う
「その幼なじみの年齢は?」
「え?たしか1……5……」
先程の尋問、その時にヤツはなんと言った?
(ただ、年齢に指定が会った)
(幾つだ?)
(少年少女、大体7〜15だ)
「あ」
ミリアは……生きている……?
頭が真っ白になる
「カドゥの尋問通りなら、その子も連れ去られた可能性が出てくる。」
トークルは淡々と続ける
「ああ、シリロンでも児童の行方不明の報告が上がってやがったな……あまり考えたくねぇがこれもそうなら……流石に俺らの手に余るな……」
トークルが話を続けているが、何も頭に入ってこない
心臓の拍動が大きくなる感覚だけがある
「……水球」
トークルが突然顔に水をぶち当ててくる
「ガボッ!?……ハァッ……ハァッ……」
目や口に入ってきた水が、真っ白になっていた頭を急激に現実に引き戻す
「……すまん、気が動転してた」
「ダンテ。今、頭に何も入んねぇことはわかる。だからこれだけは頭に入れろ」
トークルは何か、目に涙すら浮かびそうな程の感情を込めて口にする
「お前の幼なじみはまだ助けられるかもしれねぇ」




