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名門貴族の変嬢  作者: 双葉小鳥
ギルド長の閑話 
94/104

第十一話 破壊

「……で。この惨事の原因はどこだ……?」

「ん~? さぁな。 どっかに居んじゃ――――」



 ――――ゴォォォオオ……ピシシッ…………



 西の方角から、重苦しい魔力の波動。

 続く、なにやら不穏な低音。

 頭上では何かにひびが入るような、小さな高音。



「あ……。俺知らねぇ…………」



 上を見上げ言うゼグロ。

 奴の言葉にまさかと思いつつ、上を見上げた。



 ――――パキッ……パキパキ……パリィィン!


 

 私が見たモノは、音を立てて砕け散る、先ほど作ったばかりの。

 五十もの陣を重ねた結界だ……。



「……………………」

「え、えっと……。ラン? げ、元気出せって!」

「………………………………」

「ま、また作りゃいいだけじゃねぇか! なっ! そうだろ?!」



 慌てたように言い。

 手を使い、オーバーリアクションで言い募るゼグロ。


「…………………………………………」

「っ……俺も作るの手伝うからっ! なっ! だからそんなキレんなって!!」



 怯えたような顔で、半泣きなゼグロ。

 奴は何を恐れているのだろうな……。

 私は……いつも通りだというのに。



「…………くっ……くはっ。はっははっは……」

「えーっと、ラン……?」

「ふっ、ふふふ…………。良かろう……私直々に、引導を渡してやろう…………」



 音と波動を感じた西の、魔力を探る。

 山奥だ。

 淀んだ邪悪な呪術の力……。

 これは、人を作る娘だな……。  

 そして。

 その娘の居場所よりずっと先に光のような魔力と、重苦しい魔力。


 前者は隣国のファラン王国第二王子。

 エヴィロバン・アルフレッド・ファラン。


 後者は我が国、イルディオ王国。

 我がギルド員。

 セイニィ・ルフィス。

 またの名を――――セフィニエラ・サティ・ローダン

 王家の血を引く、黒髪の化け物。


  

「あぁ。そこか……」

「っ……?! 待てっ、ランっ!!」




 私はゼグロの存在を無視し、化け物どものもとへと飛んだ。



 * * *



 ランが不穏な雰囲気と共に姿を消した。

 森中をすべて氷に変えて。

 おかげで森が、木の形した緑の氷じゃねぇかよ……。



「……勘弁してくれよ…………」



 ……誰がコレ直すと思ってんだよ。

 たく。

 あの化け物たちと、本気でやりあったらしばらく不能になるくせに…………。



「あ~あ。明日、ミフィとデートだったのになぁ……」



 はぁ……。

 今まで、『『仕事』『仕事』って私はどうでも良いんでしょ?!』って。

 何人に振られたことか……。

 まぁ。

 ミフィならわかってくれっけどさ。

 ランの魔力、回復が遅ぇんだよな……。

 常人の倍以上かかるもんなぁ。

 …………てことは、だ。

 一か月近く、ランのお守りかよ……。

 やだなぁ……。

 アイツ魔力ギリギリのくせに休もうとしねぇもん。

 しかも。

 魔力無いに等しいってのに、無理しやがるから体壊してぶっ倒れっし。

 そのたびに俺が治療するってパターンだしな……。


 まぁ。

 強制終了して、今回みたく一月寝込まれてもかなわねぇけどさ……。 

 でもさ。

 久しぶりに―― 


「ミフィに会いてぇなぁ…………」



 きっと、笑顔で迎えてくれるだろう。

 そして労わってくれる。

 嗚呼。

 ホント、癒しがたりねぇ……。 

 ……にしても。

 ランの目。

 ヤベェくれぇ本気だったんだが……。 


 …………問題、おこさねぇと良いなぁ……。



 * * * 

明日で終わります。

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