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名門貴族の変嬢  作者: 双葉小鳥
【true end】のその先
78/104

【true end】~~~

 ゼシオがリビングの明かりをつけ、傍に戻ってきてくれました。

 そして。

 戻って来たゼシオの表情は――無。

 …………あぁ。

 どうしましょう。

 皆、怪我していないと良いのだけれど……。


「心配だわ……」


 思わずつぶやいた一言。

 それにゼシオはこちらを向いて、またすぐに扉に目を向けた。

 その際。

 無言で彼が言ったのは、『心配し過ぎ』。


 …………あのね、ゼシオ。


 体の自由を奪われ、両目を抉られて、爪を一枚一枚剥し。

 そして指を一本一本落とされて。

 耳に美引くのは楽しげな笑い声。

 おまけに『痛い? ふふ。痛いよねぇ』って。

 いくら『やめて』と『たすけて』と叫んでも、言葉にならない言葉が響くだけなのよ……?


 『心配するな』っていう方が無理だわ。


 ……ねぇ。

 ゼシオ。

 私。

 【私】ね。こんなことをされて、殺されたのよ……?

 しかも。

 首を飛ばされない限り、どこを切られても死なない。

 死ねないのよ……?

 狂ってしまいそうなほどの痛みと、恐怖。


 …………でも。


 狂う前に正常に戻される……。


 死しか、【私】に希望を与えてくれなかった――いいえ、それは違うわね。

 

 狂えない【私】は、死を選ぶことすら恐ろしくて……絶望しか、感じなかった…………。


 非力な【私】はただただ絶望し、襲い来るであろう痛みに怯えるしか、できなかったのだから……………。


 …………とにかく。

 あの男にあの術を使われてしまったら……いくら料理長たちであっても、無事なはずは無いわ……。


 いや。

 いやよ……!

 皆が怪我をするなんて、絶対イヤっ……!

 

「っ……ぅっ…………」


 悔しい……。

 悔しいわ。

 あの槍が無ければ何もできない、自分自身が………。

 守られてばかりで、自分の力だけでは何もできない。

 そんな自分が嫌……。


 ――――ガチャ……。


 ドアノブが回る音が、静かなリビングに響いた。

 私はそれに弾かれるように顔を上げ、扉を見つめ。

 そこに料理長と、テノール、ゼシオ、マリアたちの無事な姿を見て。

 心の底からホッとするのと同時に、ぼやけていた皆の姿がさらにぼやけた。

 


「みん、な……。けが、ない…………?」

「?! ひ、姫さん?! な、なんで泣いて……?」

 

 料理長が激しく動揺を示しています。

 でも、それどころではありません。


「ぶ、じ……? 怪我、していない?」

「「「「姫さん……」」」」

「「「「お嬢様……」」」」

「「「姫様……」」」


 問うと。

 歪んで見えにくい視界の向こうで、皆様々な反応を示し、すぐに笑ってくれました。

 だから私は皆に――――

 

『こんな夜中に騒いでしまってごめんなさい。ゆっくり休んでちょうだい。無理はしないで……』

 

 と伝え。

 テノールと料理長、ルシオ、ゼシオを残し。

 他の皆はリビングをあとにしました。

 もちろん。

 当然なのか、私もリビングに居ります。


 …………部屋に帰ろうとしたら料理長に呼び止められたのです……。


『話があるんだ』


 と……。 

 何のことか分からなかったのですが、料理長の真剣でいて、どこか強張った表情と声音に素直に頷き。

 私は腰を浮かせていたソファに再び腰かけました。



 ………………。



 …………………………。



 …………………………………。




 長い沈黙。

 誰一人として言葉を発することなく、十分ほど経過しました……。

 そして、ゼシオ以外。

 困惑気で、『何を話せは良いのか分からない』と言った様子です。


 …………みんな、どうしてしまったの……?

若干リスティナが変わってしまって居るように感じますが、ストーリーとリアルの時間の経過と思ってくださると嬉しいです……。


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