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名門貴族の変嬢  作者: 双葉小鳥
第三章 伯爵家末娘となった変嬢
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最終話 不在

 こうして。

 私が目覚めてすぐに思ったことは『体の節々が痛い』だったわ……。

 当たり前よね。

 三日も寝ていたんだもの。

 ……まぁ。

 目が覚めてすぐに……。

 そうね。

 ……色々あったのよ…………。



 今からさかのぼる事、八時間前。

 私は起床しました。

 いつも通りに体を起こそうとすると、体中に痛みが走ったわ。

 『変ね。おかしいわ』と首をかしげたところ――――


「ひ、め、さ……っ、姫さん! 良かった目が、目が覚めてっ……!!」


 明るかった視界が真っ暗になりました。 

 何やら息が苦しいの。

 原因は分かっているわ。

 だって体がみしみし言っているもの……。

 まぁ。

 ギリギリと締め上げられたら、当たり前ね。

 ……って。

 冷静に観察しているうちに、息が…………。

 呼吸が、上手く出来ません……。

 あぁ。

 私、このまま死んじゃうのかしら…………?

 まぁ。

 そうね。

 お姉様のなにがしかに圧迫死させられるより……マシかしら?

 

「……お嬢様から離れろ」


 なんて、低音が霞み行く意識の中で聞こえました。

 …………その低音は、確認するまでもなくテノール……。

 すごく怒ってるみたいな気配を感じたわ。

 

 ――それから一時間後。

 私は再び目覚めた時。

 無表情の双子が居ました。

 変ね。

 私、料理長とテノールにあったはず…………。

 夢だったのかしら?

 嫌に現実的だったのだけれど……まぁ良いわ。

 忘れましょう。

 今は無表情でこちらを向いている双子です。

 こちらに集中しましょう。

「おはよう。ルシオ、ゼシオ。今日も良い天気ね」

「……………………」

「……………」

「…………」

「……………」

「…………」

   ↑

 ルシオ・訳)『ついに死んだかと思ったらこれか』  

 ゼシオ・訳)『コレに常識を求めるな』

 訳)『そうだった』

 訳)『心配して損したな』

 訳)『まったくだ』


「え……? 貴方たちが、心配してくれていたの……?」


 嘘でしょう?

 何かの冗談よね?

 だってこの双子。

 まったくそんな顔してないわよ……?

 え?

 これが普通なの?

 私、いつも通りに見えるのだけど。

 と言うか。

 良くわかりません……。

 彼らが心配していた事なんてあかったかしら?

 …………あぁ。

 あったわね。

 私が過去を見た時に、目の下を真っ黒にしていたわ。

 

「………………」

「…………」

  ↑ 

 訳)『本当に失礼な奴だよな』

 訳)『諦めろ。元からだ』


 ……『失礼なのはどっちよ』って感じね。

 嗚呼。

 いつもの事だったわね……。

 この失礼な双子達は……。


 ――――――


 ――――


 まぁ。

 そんな感じで今に戻ります。

 私は今日もリビングのソファーに座ってお姉様と変態の訪れを待っています。

 もうお昼を過ぎました。

 なんでも、お姉様と変態は私が眠っている間も来ていないそうです。

 後、ミリーも……。

 私が見送ったあの夜から来ていないのですって。

 『明日はとっても早いから』

 そう言って名残惜しげに帰っていったあの子。

 ……何も、無ければ良いのだけれど…………。

 ですが。

 きっと今日は来るのではないのかしら?

 さすがに三日続けて寝ないなど、ありえないわ。



 ……その日。

 ミリーは夜になっても来ませんでした。




 ――――翌日。

 『お姉様が隣国にさらわれた』という話を、青ざめたミフィから聞き。

 私は慌てて、料理長(おまけにテノールと双子)を連れ。

 この国・イルディオ王国の王城を訪れるのでした……。

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