表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名門貴族の変嬢  作者: 双葉小鳥
第一章 名門貴族の変嬢
13/104

第十三話 素足

 なんて考えをしていましたが考えるだけで恐ろしいので、お風呂に入り。

 今はネグリジェの上にブランケットを羽織って、肌寒いけれど、ベランダから夜空を見上げています。

 数多くの【私】はこの屋敷で殺されました。

 死因も様々です。

 一~四度目は処刑。

 それからはずっと、見ず知らずの人に首を切られたり、胴体を切られたり、毒を盛られたりと……様々。

 なかでも酷かったのは、拷問狂な暗殺者ですね……。

 目をつぶされ、手を落とされ――……嗚呼、やめましょう。

 思い出したくありません…………。

 ……一度目から四度目までの【私】は、嫌いです。

 殺されて当然ですわ!

 あんなに可愛く優しくて、ちょっとおバカなところがたまに傷ですけど、ミリーを。

 私の侍女であり、姉妹のように育ち……私の『友』。

 その彼女を虐げていたのです。

 あの場に私が居たとしたら、私は自分で手を下していたことでしょう。

 ………………あの子が一度目~四度目までの【私】にされていた仕打ちは、過激なことを考えたくなるほどの仕打ちでしたもの…………。

 

 …………不思議ね。

 【私】は過去の私なのに、それに腹を立てるなんて。

 そう考え、ついつい自嘲してしまいました。

「はぁ……」

 ついつい出たため息。

 それと同時に、いつの間にか手すりに置いた手を見つめていたことに気づいた。

 私は空しいというか、悲しいというか。

 良くわからないような感情をなんとかしたくて、月を見上げました。

 月は丸く。

 いつもより少し、青く見え。

 綺麗だった。


 ――ぺた、ぺた、ぺた


 なにやら不気味な音が、ただのゲートに成り果てたこの部屋の入口の方から聞こえ。

 私はそちらに目を向けた。

 聞こえてくる音はまるで、素足で冷たい廊下を歩くような音。

 …………聞き覚えがあるのだけれど……?

 ていうか。

 昔、よぉ~っく!

 聞いた音なのだけれど……。


 ………………ま、まぁ……違うわよね…………?


 私はそれでは無いことを祈って、近づいて来ている音をたてているものが来るのを待った。

 しばらくして。



「んぅ……りーすぅ……?」

 

 と、まぁ。

 枕を抱えた手で眠そうに目をこすりながら、ミリーが顔を覗かせました。

 …………あぁ。

 やっぱり……。

 ミリー、あなただったのね……。

 また素足で廊下を歩いて。

 冷たかったでしょうに……。

 私はベランダから室内に入って、クローゼットからスリッパを取り出し、ミリーの足元に置いた。

「ほら、ミリー。スリッパ」

「ふぁ……わすれてた…………」

 小さく欠伸をしながら言って、ぼんやりとそれを履くミリー。

 

 ちなみに彼女。

 侍女姿ではなく、ネグリジェ姿です。

 右手に抱えているのは枕。

 左手には毛布の端を掴んでいて、引きずっていますの……。

 

 ミリー。

 あなた、私と寝る気満々なのね……。

 まぁ、良いわ。

 さっさと寝かせましょう。

 そろそろテノールたちも手が空くころでしょうし。

 これからの事について話あわないといけませんものね……。

 

日曜日は確実に投稿します。

時間は21時過ぎだと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ