プロローグ「思い出した理由は匂いでした。思ってたのと違います」
新シリーズ、「くらしのための錬金術」気になってくださり、ありがとうございます!
楽しんでいただければ幸いです!
「おかあさま!おかあさまああ!!」
「フレージアお嬢様!走ってはいけません!」
春ののどかな昼下がり、領主一族が暮らす豪華な屋敷に少女の叫び声が響き渡った。フレージアと呼ばれた少女が小さな体で重い扉を開けると、そこには天蓋付きの大きなベッドで横になる金髪の女性がいた。窓は分厚いカーテンで覆われており、机の薬と部屋に漂う独特な雰囲気が、女性が病人であることを示している。
部屋に入ってきたフレージアは一瞬で女性の枕元へ飛んでいき、女性に縋り付く。病気で少々やつれてはいたが、女性は絶世の美女といえるほど美しかった。
「おかあさま、どこにもいかないでくださいませ!うえええん」
「こらフレージア、母上が疲れてしまうだろう。落ち着くんだ」
「あら、大丈夫よアスター。今日はなんだか調子がいいの」
そばにいた少年がたしなめるもフレージアは母のそばを離れようとはしなかった。むしろ、いやいやと明るいブラウンの髪を振る。
「おかあさまになにかありましたら、わたくし、わたくし……」
あふれてきた涙をぬぐうようにベッドに顔をこすりつける。そのとき、
「くっさあああああ!!!」
少女の叫び声が、再び屋敷に響いた。
ご覧いただきありがとうございます。
今回は最初の最初。本格的な物語は次のエピソードからになります!




