最終話:有給休暇を取って、現実世界へ
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ついに最終話! 無事に魔王軍を「解体」した修平たちを待ち受ける結末とは……?
35歳社畜サラリーマンの異世界出張記、ここに完結です!
魔王が倒れたことで、魔王城の地下に設置されていた巨大な召喚魔法陣が逆回転を始めた。
眩い光の粒子が部屋を満たし、捕らわれていた失踪者たちが一人、また一人と光の中に消えていく。元の世界へ帰還するポータルが開いたのだ。
「やった……! 本当に帰れるんだ……!」
「ありがとう、西岡さん! あなたのおかげだ!」
涙を流して感謝を伝える人々を、修平は温かい笑顔で見送った。
「皆さん、日本へ帰ったらまずはゆっくり休んでください。そして……ブラックな職場からは速やかに転職することをお勧めします」
一人、また一人と帰還していく仲間たち。
「西岡さん、ボク、帰ったら受験勉強がんばります! チームビルディングの大切さ、勉強になりました!」
レンが笑顔で光の中に消える。
「へいへい、俺も下町の現場に戻って、若手に無理させないホワイトな棟梁を目指すよ。ありがとな、現場監督!」
源さんも豪快に笑って手を振り、姿を消した。
「西岡さん……私、病院に戻ったらもっと患者さんや同僚の心に寄り添うナースになります。またいつか、どこかで!」
葵も感謝の涙を拭いながら光の中へ。
最後に残ったのは、自衛官の瑞穂だった。
「西岡殿……君という最高の『指揮官』と共に戦えたことを誇りに思う。元の世界でも、君の健闘を祈っているぞ」
「こちらこそ、最高のセキュリティ担当でした。瑞穂さん、お元気で」
しっかりとした握手を交わし、瑞穂も光の中へと消えていった。
ついに一人残された修平は、スーツのネクタイをゆっくりと結び直した。
足元に転がっていたビジネスバッグを拾い上げ、手作りのメモ帳を大切にポケットへ仕舞う。
「……さて。私も『定時退社』と行きますか」
修平が光の柱の中へと足を踏み入れた瞬間、視界が真っ白に染まった。
「……ん……あ……」
ハッと目を開けると、そこは会社の雑居ビルの非常階段だった。
手に持ったスマホの画面を見ると、日付は自分が消えた『あの日』の翌朝。時間は出社三十分前。
まるで長い夢でも見ていたかのような静けさ。
だが、ポケットの中にはエルフとドワーフが作った手作りの名刺と、しっかりと使い込まれたメモ帳が残っていた。
「……夢じゃなかった、か」
修平はフッと口元を緩めると、階段をゆっくりと下り、自分のオフィスのドアを開けた。
室内では、相変わらず不機嫌そうな顔をした上司が、パソコンに向かってキーボードを叩きつけていた。修平の姿を見るやいなや、怒鳴り声を上げる。
「おい西岡! どこ行ってたんだ! 昨日の案件の進捗はどうなってる! 今日も残業して終わらせろよ!」
以前の修平なら、胃を痛めながら「申し訳ありません」と頭を下げていただろう。
だが、今の修平は違う。
異世界の劣悪な環境を改善し、ブラック魔王軍すらも解体してきた「最強のプロジェクトマネージャー」なのだ。
修平は胸を張り、完璧なビジネススマイルを浮かべると、ポケットから一枚の紙を提出した。
「部長。申し訳ありませんが、本日より三日間の『有給休暇』をいただきます」
「はぁ!? 有休だと!? この忙しい時にふざけるな!」
「ふざけていません。労働基準法第39条に基づいた正当な権利の行使です。なお、私の担当タスクはすべてマニュアル化し、引き継ぎ資料としてデスクに置いてあります。進行管理に支障はありません」
「うっ……ぐぬぬ……!」
理路整然とした反論と隙のない引き継ぎに、上司はぐうの音も出ず立ち尽くすしかなかった。
修平は鞄を肩にかけ、爽やかにオフィスを後にした。
ビルの外へ出ると、澄み渡る青空が広がっている。
「まずは……美味しいものでも食べて、泥のように眠るとしよう」
35歳社畜サラリーマンの異世界出張は、これにて無事にミッションコンプリート。
彼は晴れやかな笑顔で、最高の「有給休暇」へと歩き出したのだった。
『社畜サラリーマンの異世界出張記』、これにて無事に完結となります!
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チート能力も魔法もない主人公が、現代の社畜スキルとマネジメントで異世界を駆け抜ける物語、楽しんでいただけましたでしょうか?
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