第10話「植物園の聖女」
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俺の名前は田口拓実、しがない大学生だ。
大学生活2年目の4月は遊園地の変態と、筋肉馬鹿の霊を相手取り見事勝利した男だ。
神龍寺経由で除霊バイト代が出るので少し懐は温かくなったが、まだまだ心もたない。そんな俺だが実は除霊バイト以外にもバイトしていた。これはかけもちというやつなのだろうか。
5月といえばGW。俺はもう一つのバイト先から誘いを受けていた——聖女から。
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GWの1日目。俺は予定通り植物園のバイトに来ていた。
ここはガラス張りの温室で、室内環境で全ての植物が見えるシャレオツな環境だ。
そしてなによりここの園長はどえらい美人さんなのだ。
バイトのエプロンを着用し、控室で時間になるまで待っていると。
「拓実君、おはよう」
控室に聖女が舞い降りた。一色翠さん。
ロングの薄い茶髪に、毛先がカールしていて美しい。
少したれ目のおっとりとした美人さん。そしてなにより少し細身に関わらずでかい胸!そしてそしてプルプルとした太もも!
まさに俺の、いや男の理想形態がそこにいた。
「おはようございます。翠さん」
声が引きつっていたかもしれない。この人相手では未だに緊張してしまう。
「今日は来てくれてありがとう。人手が丁度足りない時期なの、ほら5月だしGWでしょ?」
「そういえばそうですね。忘れてました」
「ふふっ。でもよかった、拓実くんは優しいから、もしかしてGWの予定無理に空けたりしてないかなってちょっと心配だったの」
当然無理してでも空けてきます。貴女に会えるのなら。
「翠さんおはようございます!」「翠さんおはよう~」「美しい…」「ブヒィ」
他のスタッフさんも集合してきたようだ。
「おはよう、連休なのに来てくれて本当にありがとう。時給もサービスするから期待しててね♪」
「そして、社員の方には振休を少し多めにさせていただきます!」
嗚呼、何て神対応。園長なのに腰が低く、待遇も良い。そして翠さんに会える!就職先は決まったな。
「じゃあ朝の手入れから皆さんお願いします」
よし!行くか!翠さんの植物を手入れしに!
「拓実くんは私と一緒でいいかな?」
「喜んで」
ヨシ!行くか!翠さんと植物を手入れしに!
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翠さんと移動した先には、見たことのない花畑があった。
あれ、前にここは土だけしかなかったハズだが。短期間でこんなに花が育つものなのか。
「新しい花を植えたんですね」
「うん、そうなの。私の好きなエルダーの花を植えてみたんだ。どうかな?」
「可愛いです」
翠さんの少し子供っぽい表情、可愛すぎる。
「だよね!拓実くんならわかってくれると思った」
カワユス…結婚希望
「とりあえずたくさん咲いたからきれいに整えようと思って、だからね…」
「翠さん!」
「どうしたの?立花君」
急に話しかけてきたなコイツ、確か某エリート大学の奴だったか。俺と同じスタッフ枠の。
「僕もここの花が気になっていたんですよ、手入れのお手伝いをしてもよろしいでしょうか」
「うーんでもスペース的には2人で大丈夫かな。あとでスタッフの皆が見れるように時間作るね」
「いえ、その自分が是非手入れをしたくて、僕にもお手伝いさせていただけませんか?」
こいつグイグイくるな、なんか俺睨まれてるし。
翠さんとの共同作業をしたいが、あまり独占をしすぎても災いの種か…
「じゃあ俺、変わりますね(怒)」
「え…、拓実くん?」
「すまないね、じゃあ僕の担当はハーブ園の方だったからよろしく」
こいつ実は霊とかじゃねぇかなぁ。この愛刀・霊剣ケルベロスファングでやっちまうのに…
『くだらない事に私を使うな』
くだらない?翠さんとの共同作業が!?
「・・・」
翠さんは特に何も言わず目を閉じた。はぁキスしてぇ…。
渋々この立花と入れ替わるように歩くと、急に強い風が吹いた。
「うわ!あっ!」
風の影響か立花の進行方向にあった、立てかけてあるブラシが倒れ、驚いた拍子に後ろへ尻もちをついた。
舗装されているところだし痛いぞあれは…
「立花くん大丈夫!?」
翠さんが慌てて立花に駆け寄る。他にも近くにいたスタッフが数人様子見に来ていた。
「いたた…」
「おい、大丈夫か?大きなケガはなさそうだが、一応控室の方に行くぞ。翠さん私が連れていきますね」
「ええ、お願い。状態がわかったら私に連絡をお願いね」
「はい。おい行くぞ、全く気をつけないとな」
男性の社員さんが立花を連れていった。不運なやつ。日頃の行いもとい今日の行いが悪いからだろうな。
「ブラシを立てかけていると危ないわね、みんなに言っておかなくちゃ」
即みんなの安全を考えて、改善を考える翠さん。やはり就職先は決まったな、翠さんに。
「じゃあここのお手入れをした後に、立花くんが担当していた場所も一緒にやっちゃおうか?」
「はい喜んで!」
立花お前実はいいヤツだったのか、今日は翠さんとずっと一緒だ!
そういえば室内なのに何であんなに強い風が吹いたんだろう。まあいいか。




