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閑話 競わせる意図

 ラオール家当主ゴリオンは嫡男であるアダムの問題のある行動とジュンの思わぬ力を考慮してアダムのみを後継者として考えるのは時期尚早であったと考え、新たに内政力の高さからモニカも後継者として考えるようになる。


「確かにモニカは素晴らしい内政力を有しているようですが、我がラオール家は武門の家、部に優れた者が継ぐのが習わしでは」

「モニカも十分な魔力はある、武門の家の後継者としても問題はあるまい。むしろお前やジュンの武力を活かすならばモニカが当主の座に就いたほうが良いかもしれんぞ」

「は?それはどういった意味でしょうか?」

「モニカからは私が思いもしなかった事が提案されてそれが結果として民の為にもなっておる。モニカは領内を豊かにできるかもしれんとな」


 モニカはその優れた内政力で結果的に民の生活を潤わせ領内を豊かにできるのではとゴリオンは思い、それをアダムに告げた。


「それにアダムよ、勘違いをしているようだが私はお前を後継者候補から外したわけではない」

「……」

「これまでの行動に問題はあり、ジュンはもちろん臣下であるメイルの不信も生んでしまったが、これはお前が本当に当主としてふさわしいかを試すと同時に挽回の機会を与えた事を肝に銘じよ」

「挽回の機会ですか……」


 アダムの問題は多くあるが、ゴリオンも優れた資質はある事は理解しており、後継者候補と外すことはしない事を告げるとともに挽回の機会を与える事としたと言い放ったのだ。


「アダム、お前が自らを律して当主としてふさわしいと考えれば我らラオール家は武門に恥じぬと思っている。それを内政でモニカが支え、武をジュンが補えば盤石であろう」

「そうですか……」

「モニカが当主でも領内は豊かになり、お前やジュンは武を活かしやすくもなる。どちらの未来も明るそうだが、それはお前達の切磋琢磨がどのように活きるかにかかっておる」


 アダムやモニカ、どちらの当主も良い点があり、ラオール家はますます盤石になるのではと強く告げると、ゴリオンは最後にアダムに言葉を投げかける。


「では失礼する、モニカに負けぬよう、武を鍛えるだけでなく、当主とはかくあるべきかをしっかり考えよアダム」


 そう言ってゴリオンはアダムの部屋を退出し、しばらくするとアダムは膝が崩れ、静かに呟く。


「俺とモニカ……2人で当主を競わせるだと……冗談ではない……これまでの事を無駄にしてたまるか……」


 モニカと競わされる事になったアダム、彼の後継者の座は盤石なものではなくなり、焦りと不安が彼をある行動に駆り立てる事をまだ誰も知らないのであった。

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