真意を知りたくて
兄アダムもさすがに父ゴリオンに強く注意されて姉モニカの負担を軽減するよう新たな政務官を登用してくれたようだ。まあ未だに自分の力を誇示するための出撃は多く、とにかく兵を駆り出しているのも改善していければと思っている中、メイルからその登用した政務官が問題だと言ったのだ。
「その政務官というのはあのパリア殿の子息であるチャー殿と息女であるサラ殿なんです」
「待ってくれ、パリアは兄の補佐官だし、一族で兄に仕えるというのはそこまでおかしい話ではないと思うけどな」
「我らもそう思いました、しかしパリア殿のココ家はそれまで大した力を持ってなかったのですが、次期後継者のアダム様の威を借りその権勢をふるい始めたのです」
「何だって⁉」
ちょっと待ってくれ、いきなり話が大きくなりすぎて話が見えてこなくなったぞ、俺が戸惑っている中、少しづつメイルがいろいろ話してくれた。
「ゴリオン様は最近領内の視察に側近の方々もお連れする事が多くなり、留守を預かるアダム様やパリア殿がゴリオン様の手の回らない部分の政務に携わっているそうなのです」
「だが、アダム様は事実上魔物退治しかしていません、いろいろココ家が牛耳りそうでゴリオン様の側近の方々とも対立しているようですね、表立ってはいませんが」
表立っていないがそこは深刻そうだな。アダムは次期当主なのになんだって臣下同士の争いをするような奴を放置しているんだ気付いてないのか?それに父上、父上は今何をしているんだ?
「父上は知っておいでなのか?この事を」
「一度問い詰めたそうですが、手の回らない部分をどうにかしているに過ぎないと言われて、ゴリオン様も側近を少しは残して手を打っているようですが」
「そうか……しかしそうなると父上と兄上の仲違いがおきないか心配だな……」
「ジュン様、アダム様がいろいろ問題を抱えていらっしゃるのは事実でしょうが、次代でラオール家を任せられる器量をお持ちなのがアダム様なのもまた事実ですからね」
そう、魔力のない俺には当主の資格はないんだ。これはラオール家の習わしだし、アダムの事はどうすればいいんだ。俺が悩んでいるとその表情を見てメイルがダンテに声をかける。
「ダンテ、やっぱりジュン様にはまだお話するべきではなかったんじゃあ」
「そうっすね、いくら聞きたがっていたからって」
「いや、ありがとう、兄の事は気になるがとりあえずメイル兄上の指揮下に入る人員を選出しないとな、兄上に近づければ少しは何か分かるかも」
こうなったら俺も出撃メンバーに入って、兄の真意を確かめないとな。




