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一族の力

訓練所の床を破壊した事で1週間騎士団の入団が先送りになった俺は、自室に戻ると姉のモニカとモニカの侍女であるマリーが待っていた為、早速2人より勉学を習う事になった。


 この頃は初陣とかでゆっくり本を読む暇もなかったし、久しぶりの勉学だな。まだ姉は俺にも少し領内の政務に携わって欲しいと考えているんだな。


 一応騎士団長としての道が開かれているとはいえ、ラオール家に生まれた以上、最低限領内の政務はこなさないといけないからな。


 継承順位の高いものが当主であり領主ではあるけど、それを兄弟姉妹で支える事は我が家の伝統ではある。ところがこの伝統のちょっとした負の面を姉が吐露した。


「最近またお兄様が政務を私に投げて魔物討伐にいそしんでいるのよ、『領主の役目は民を守る事』って息巻いてね」

「そ、そうなんですね、でも兄上は次期当主としての役目を自分なりに果たそうとしているだけでは?」

「お父様も領内視察後はしっかりと政務に取り組んでいらっしゃるし、魔物を倒すことにだけしか力をいれていないお兄様が役目を果たそうとしてるか怪しいわ」


 兄アダムは長男であることはもちろん、剣技、そしてずば抜けた魔力によってラオール家の継承権第1位だ。アダムは当主としてふさわしいと思われていたが、魔物討伐や罪人の取り締まりに大きく力を入れており、そのほかの政務はモニカに投げているのだ。


 俺の下にも弟と妹がいるがまだ幼い為、現在のラオール家の成人は俺を含めた3人だ。父が健在でまだ現役の領主とはいえなかなか厳しいな。


 それに……。


「お父様のご兄弟、つまり私達のおじさま達もみな若くして戦死や病死をされているから、ラオール家は一族の力がかつてより弱まっているのよね」

「姉上、俺達の従妹は?彼らはどうしているんですか?」

「王国の騎士として出仕した者や、王国内の他の貴族の養子や嫁いだものがいるから、幼い子を数人育てているくらいね」


 俺の下の兄弟が仲良くしている子供達は彼らの友達じゃなくてそもそも従妹だったのか。


「今後の事次第でお父様は彼らを養子として迎え入れるかどうか悩んでいらっしゃるけど、彼らが一人前になるのもまだ時間がかかりそうね」

「そうですね、ラオール家の一族ですし、しっかりと育てたいですね」

「はい、おしゃべりはおしまい!そろそろ勉学に取り組まないと」

「あ、はい分かりました」

「そうね、まずは……」


 久しぶりに勉学に取り組む俺だったが、まだ俺はこの兄と姉の小さなすれ違いが大きくなる事になるなんて知る由もなかった。

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