屋敷の外から
俺達は使者に母であるクレア、そして姉であるモニカを立ててアダムと時間稼ぎの為の交渉をすることにした。もちろんアダムに飲んでもらうのが目的ではなく、あくまでもメイルが兵を引き連れてこちらに到着するまでの時間稼ぎだが、まずはアダムと交渉にどう持ち込むかが肝要だな。
「しかし、もうアダム様は兵をここまで近づけています、既に兵士も戦闘態勢ですし、どのようにして交渉に持ち込むんですか?」
「それなら考えがあるわ、まずは私が屋敷の外で立っているから、屋敷の兵士なら私の顔も知っているし、そこで呼びかけてみるわ」
「クレア様がですか?いや、いくら使者を買って出てくださるとはいえ、それはあまりに危険です」
「いや、戦闘が始まれば交渉に引き込むのは難しいし、それを母上にしてもらおう、もちろん、被害を抑えるために民は今の間に屋敷に避難させて、不測の事態に備えて兵は近くで待機してもらうけどな」
俺とて母上や姉上を危険にさらすのは本意ではない、だけどこのまま戦ってもジリ貧だろうし、アダムにはいざとなったら屋敷を燃やすという手段もある。ならば時間を稼いでメイル達の到着を待つのがいいだろう。
「分かりました、ジュン様がそうおっしゃるならば急いで民の屋敷への避難を急がせます」
「頼むぞ。母上、民の避難が完了次第、屋敷の外で立っていただきますのでお待ちください」
「ええ、ゴリオン様がいつ命を落とすかもしれないし、モニカまでアダムに渡すわけにはいかないから、私も全力で使者としてアダムに訴えるわ」
「お母様、お母様まで危険な事に巻き込み申し訳ありません、だけどこれ以上お兄様の思うようにはさせませんから」
母も姉もアダムとの交渉にすべてを賭けるつもりだ。だけど上手くいく保証はないからな、俺達がなんとしても2人は守り抜かなくてはいけない。
「ジュン様、民の避難が完了しました、敵はすでに管理範囲まで迫っています」
「来たか、それじゃあ母上、お願いします」
「ええ、任せて」
こうして母は屋敷の外に出て、アダムの軍を待つ事にするのであった。
「よし、それじゃあ不測の事態に備えて母上の近くに兵を潜ませておいてくれ!」
「はっ!」
とはいえ、様子は気になるし俺も母上の様子を見るために俺も近くに潜むことにした。そんな時、アダムの兵が近づいてきた。
「あ、あなた様は⁉」
「気づいたようね、ラオール家当主ゴリオンの妻、そしてあなた達の主であるアダムの母でもあるクレア・ラオールよ!アダムと話をさせてほしいと我が娘モニカが懇願しているわ」
さあ、ここからが勝負だな。




