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10話 最後の戦い 1


「さぁ、いよいよ最終決戦だよ!」

 キンと寒さが身に染みる大晦日の夜十一時。亀岡文殊に向かう途中、その寒さを少しでも和らげようと缶コーヒーを買うために立ち寄った泉岡のコンビニで、千代ちんが差し出したのは、いくらこの後にお年玉が控えているからといっても買うのをためらうような高額の栄養ドリンクだった。

「ちょ、こんな高いのもらえないよ」

「いーのいーの、ガツンといっとかないと! 今日は長丁場よぉ、気合入れていかないと」

 そういうと千代ちんはドリンク剤のキャップをねじ開け、無理矢理わたしの手に握らせる。

「輝かしい未来と勝利を祈願して、かんぱ~い!」

「…か、乾杯……」

 いつにもましてハイテンションの千代ちんにつられてわたしもドリンクをあおる。シロップの甘さに包まれた辛味と薬くささが口の中に広がる。

「か~っ、よ~し、充電完了!」

 オヤジくさいセリフを発しながら千代ちんはガコンとビンをゴミ箱に放り込み、ぐるぐると肩を回しながら、

「最終決戦、最終決戦……」

 と、つぶやいていた。

「ちょっと今日の千代ちんなんだか怖いよ。それに最終決戦だなんて、まだ相手の出方もわからないのに……」

「なぁに言ってんのよ、この手の日朝系の美少女戦士モノはね、一月に入ったらシリーズのまとめに入って二月には新番組に変わるって相場が決まってるのよ」

「そんなアニメと現実ごっちゃにして……」

「とはいえあっちにしても佳境でしょ、手持ちの文珠は少ないのにラクシュ・赤木連合軍が結成されて、でも今晩はシンハが受験生相手にしなきゃいけないから事を起こすとしたら今日ってか明日しかないわけじゃない」

「確かにそういうふうに分析はしたけど……」

「なぁに、いまさら怖気づいたって言うの?」

「そんなわけじゃ」

「そうよ、愛しい赤木君との幸せは戦って勝ち取るしかないのよ」

「ちょ、そんな、そんなんじゃないってば、彼は大事なお友達だって……」

「あ、あたし男と女の友情って信じてないから」

「ちょ、千代ちーん」

「あはは、信号変わったよ、さぁいざ行かん決戦の地へ!」

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