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第1話 倒れる魔王



(そんな顔を、するな。私は平気だ)


術式が飛び交う部屋の中で、泣きそうな表情の結衣が見える。

体はもう1ミリも動かすことが出来ずに、ただ全ての魔力を奪い尽くすように広がる光になす術はなかった。


(お前の泣き顔は、見たくない)


世界の全てを包み込むような眩しい光が、視界を白く染め上げた。





……ま!……様!


遠くで、誰かが呼んでいる。

体は全てが岩で出来ているかのように重く、指先すら動かせない。


「…魔王様‼︎」


霞の向こうから聞こえる。魔王に就任してからずっと右腕として仕事を支えてきた部下の声。

けれど、口から出た名前は、全く別の名前だった。


「…か?」


いや、言葉にすらならなかった声を、部下は必死に聞こうと耳を近づける。


「ゆ、いは…無事、か?」

「ゆい、ですか?」


息をするのも苦しい。これほどまでに身体中の魔力がゴッソリとなくなったことは今までに一度もない。


「ゆ、いを…さが、せ。人間の…」

「人間の、ユイという者ですね⁉︎」


その者は一体…困惑する部下に、ありったけの力を振り絞って口を開く。


「ゆい、は…わ、たしの…」

「魔王様の?」


「…こ」



そこまで言って、ついにノクスの意識は深く沈んでいくのを感じた。

ノクスが育て上げた優秀な部下だ。目を覚ます頃には、何かしらの報告が上がるだろう。


それまでに、結衣が無事でいてくれれば——

意識が、途切れた



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― 新着の感想 ―
ストーリーが突然ですが、魔王と結衣の関係がとても親密な感じはします。 これから色々わかってくるんでしょうね! どうなっていくのか、期待してしまいます!
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