娯楽はいいぞ〜
今日は三森視点
「…………はい?」
緊急事態と言うから、今日の仕事を切り上げて駆け付けたのに、その理由が娯楽!?
「聞き間違いだよね? なんかいま、娯楽なんて言葉が聴こえた気がするんだけど。それに、いくら異世界と言っても文明レベルは前の世界に劣る世界なんだよ!?」
魔力が無いとは言え、収集されたこの世界の科学力はそんなに高く無かったはずだし、核兵器なんて物もあるけど、あの程度なら私達の脅威にはならない。
「三森の言うことは最もだが、やはり世界が違うと同じような技術であっても別のことに使用するみたいだ。向こうの世界の娯楽といえば簡単なボートゲームに仮想訓練この世界で言えばVRでの戦闘訓練ぐらいしか無かったが、この世界では紙媒体の娯楽に映像系の娯楽さらに、創作物やゲームと呼ばれるデータの塊で様々な役職や様々な体験ができる娯楽まで多種多様に作られていみたいだ」
「いや、マスター。そうだとしても、十月や九雷が仕事を放り出すほど熱中するなんてあり得るの?」
かたやルールの鬼、かたや機械マニア。娯楽より仕事のほうが優先なあの二人がそんなまさか
「まぁ、直接見てみればわかるだろ。行くぞ」
未だ半信半疑の三森はおいておき、シンはゆっくりと新居へつながる扉を開く。
扉を開くとまず飛び込んで来たのはまるで、映像の映る薄いテレビを食い入る様に見ている九雷や六花の姿。
その隣では堆く積まれた本に囲まれ熱心に読書へと励む十月と七海。
更にすみを見ると、一つの小さな機械を囲み、それぞれの手の小さな機械をカチャカチャと操作しながら盛り上がる二葉と四季と五和と八音。
八人とも入ってきたシン達に気づかないほど夢中になりながら現在の娯楽を続ける。
「………まさか、これ程とは」
いや、そもそもこんなもの買うお金は一体どこから?
「こっちの世界の事を知るため調査費の名目で皆に小遣いを渡したのが間違いだったか」
あ……確かにもらった記憶がある。
なんてことをしていると、テレビを見終わったのか、九雷がはじめにこちらに気づいた。
そして、慌てて時計を確認し目を見開き驚愕する。
「あーもぉー! 四季と五和強すぎだよ、何で一緒に始めたのにここまで差が開くのー」
「笑止二葉、キャラの特性と技の速さ、更にそれぞれのキャラの間合いを見極めればこの位朝飯前」
「右に同じ、空後や空Nから始動するコンボの確認や超必の範囲、掴み対策に各々のフレームを見ればこの位出来る。現に八音も数時間でかなり強くなった」
「ちょ!? そこで私に振るの!」
「ぐぬぬぬ、剣士の小ジャン空Nや空前空後いくら何でも強すぎるでしょ」
「それを言うなら切り札のガンやブレイブの下Bなんて強い通り越して理不尽」
「特に切り札なんて仮面出せば動ける亀やゴリラだからもっと酷い」
「あと、乱闘中に撃って来る女神の横Bも大概ひどい」
「いや、それなら空Nが」
なんだか、向こうは議論を展開し始めたけど、そろそろ仕事に戻って欲しい。
てか、数時間も遊んでたなら今日の分仕事終わってないのでは?
ほら、隣で一乃が怖い顔してるよ?
って、読書組は読み疲れて寝てるし!?
パンパン!
マスターが手を鳴らすと、それまでの騒音が嘘のように静まり返る。
「流石にそこまでだ、確かに調査費は好きに使えと入ったが職務が停滞するならば話が変わるぞ?」
「違うぜマスター。これは遊びなんかじゃ無い」
お? 機械以外で珍しく九雷がマスターに意見した。
手に持ちかざすのは先程見ていたアニメ? とやらの設定資料集かな?
「九雷……これが遊びじゃないなら何だ?」
「強化資料」
…………えっと、九雷が見ていたものは……っと、なになに、機動○士ガン○ム。
ロボット物の娯楽って、いかにも九雷が好きそうね。
わっ、他にも同じような物が沢山ある。
こっちはユニ○ーンで、こっちはX、これはダブ○オー、って、どんだけ買い込んでるのさ!?
「これは凄いなんてレベルじゃねぇ、是非『魔動機神』にも、この機能を導入すべきだ、絶対役に立つ」
「……落ち着け九雷、あくまでそれは創作内の話であって──」
「俺達には魔力がある、これを使えば──」
ありゃりゃ、これは暫く続くかな。
一乃は四季と達にお説教してるし、暇つぶしに私も少しこれ見てみるかな。
その後、一乃も含めナンバーズ全員がロボット物のアニメにドハマリしました。
作者はガンダムシリーズの機体ではDXが好きです。ツインサテキャはロマン




