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戦隊の仕事(戦隊Side)

「納得いかない!!」


 勢いよく立ち上がった牙炎は、ダンッ! と、激しく机を叩く。


「黙れ牙炎、飯が不味くなる」


 そんな大声を上げた牙炎に対し、同じ机でご飯を食べていた青が、不機嫌に睨みつけ、その眼光に思わず牙炎は怯む。


「ちょっと、大きい音立てないで、眠れないじゃない」


 すると今度は部屋に設置されているソファーを横になって独り占めし、アイマスクをして眠っていた美波も、不機嫌そうに起き上がるとアイマスクを外し、牙炎を「私、いま、不機嫌です」と、語っている鋭い目でジロリと睨みつける。


「まぁまぁ、みんなそんなピリピリするなって、そんな事より、新作のゲームでも一緒にやらないか?」


 そして、そんな三人の間を取り持とうと場を和ませにかかる翡翠は、持ってきた新作のゲームを掲げ、いつもと変わらぬ笑顔で、若干キレかけている美波をなだめる。


「ふふっ、皆様楽しそうですね」


 そんな嫌悪な場の空気を物ともせず、いつもと変わらぬ笑みを浮かべお茶を飲む。


 そして、誰も喋らない無言の時間が訪れる。


「ご馳走様でした。……で? 一応聞くが、お前は何が納得行かないんだ」


 食器を片付け、食後のお茶を飲み、青は話を聞く体制をとる。


「そうだった! 青、俺は、今の現状に納得いかないんだっ!!」


 また、大声を出すと美波に怒られるので、静かに叫ぶという高等技術で、牙炎は現状に不満を漏らす。


「まぁ、取り敢えずお茶でも飲んで落ち着け」


「あ、ありがとう」


 そんな牙炎を落ち着かせるべく、青は牙炎へと、急須のお茶を湯呑に入れ牙炎へと差し出す。


〜ちょっと休憩〜


「今までは、各々(おのおの)が自由に過ごしながら招集が掛かれば集まって話し合い。VRを利用した戦闘訓練、そして、『クフェル』が現れれば現地に行って戦闘……そりゃ、超エネルギーの研究なんかにも力を貸していたけど、ここ一週間俺達がやったことといえば、体力作りに武術の訓練、書類仕事に研究の手伝い、それも雷華さんの仕事の……本当にこれでいいのか! VRは雷華さんの許可無く使用できないし、これで本当に強くなれるのか?」


 不満を漏らす、牙炎を見据えて、青は静かに話を聞く。


 確かに、牙炎の言いたいことも分かる。つい数ヶ月前まで喧嘩すらろくにした事が無い一般人が戦いに見を投じているんだ。


 しかも、擬似空間とはいえ戦闘を体験し、身を慣らす事ができるVRを禁じられたんだ、いくら変身すれば獣の如く動けるとはいえ、不安になるのはわかるが、


「俺はこのままでいいと思うが?」


 青のその発言に、牙炎は納得せずブスッーとあからさまな不満を醸しだし始める。


 基本的に猪突猛進の牙炎では有るが、牙炎には牙炎の信条があるらしく、その信条を裏切る行為は絶対にしない。


 そんな信頼があるからこそ、青は牙炎を無条件で信じているし、どれだけ迷惑を掛けられようとも牙炎に対して青は牙炎の考えを一方的に拒否はしない。


 どれだけ無茶な事でも、青は牙炎と共にどうすればいいのか考える。


 そんな青だからこそ、牙炎は滅多にはかない弱音や本音をこぼすし、誰よりも青を信頼している。


「たしかに、疑似戦闘訓練を封じられたのは痛いが、それでも、『クフェル』との戦闘に必須な体力や技術はきちんと教えてもらっている。それに、書類仕事や研究の手伝いだって長い目で見れば『クフェル』との戦いが終わった後の俺達の人生を考えれば決して無駄なわけじゃないだろ」


 諭すように話す青に対して、未だ牙炎は納得しない。


「はぁ……」


 どうしたものかと悩む青は、自分達の中で唯一雷華へ異議申し立てが出来そうな桃香へと視線を向ける。


 が、視線を向けられた桃香だが、青の望み通り動くことは無く、笑みを浮かべながらお茶を飲み続ける。


(……桃香の奴、何を考えている)


 この中で、雷華について一番知っている筈であろう桃香が沈黙を続ける。そんな現状に、青は疑問に思う。


 桃香は、雷華がどんな人物でどんな性格なのか、そして、何をして何を考えているのか、それすらも青達に教えることはなく、ここ一週間沈黙を続けてきた。


 せめて、そろそろ爆発しそうな牙炎と美波の為、そして、少しでも雷華について知るため、今ここで問いただすべく、青は桃香へと口を開く。


 その時だった。


ビー!! ビー!! ビー!! ビー!!


「「「「「っ!?」」」」」


 けたたましく鳴るサイレン音。そして、緊急を示す赤いランプが回転する。


 そして、それが鳴るということは、つまり、『クフェル』が出現したと言う事だ。


「いきなりですまないねぇ」


「うぉっ!?」


 すると、先程まで翡翠がゲームしていたTVのモニターに、可憐と雷華の姿が映る。


「いい、よく聞いて、ここから二十キロの地点に『クフェル』の反応を確認したわ、みんな、すぐに出撃の用意をお願い」


 モニターに地図が映し出され、『クフェル』の反応がある地点に紅点が点滅している。


「まさか!?」


 その、紅点が示す場所、その場所をみて誰もが息を呑む。なにより、その場所はこの近所で、いや、この付近で人が最も集まる場所。


「みんな! 急いで向かわないと!」


 だって、その場所は


「場所は超大型ショッピング・モール『めぶきモール』」


 この国最大のショッピング・モールなんだから。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「酷い……」


 何時もは人で賑わい、誰もが楽しそうに過ごしていた場所は、無残にも破壊されており、人の気配はない。


 牙炎達が駆けつけた時には、モール内は所々破壊されており、嵐が過ぎ去ったあとのような状況になっていた。


「雷華さん、到着しました! 『クフェル』の現在地を教えて下さい」


 幸い、ショッピング・モール内には既に人はおらず、客や従業員はこぞって避難することに成功したらしい。


 牙炎達は、広いショッピング・モール内にいる筈の『クフェル』の現在地を知るため、本部へと通信を繋げる。


「『クフェル』は、さっきまでモール内を縦横無尽に暴れていたけど、今はあんた等がいる場所からそう遠くない場所で止まっているねぇ、反応は近くにあるからすぐそこにいるはずだよ」


 そう言われ、牙炎達はモール内を進み、吹き抜けの広い空間へと出る。


 すると、ちょうど広場の真ん中で一人佇たたずんでいる一つの人影を見つけた。


「逃げ遅れた人? 大丈夫ですか!!」


 慌てて声をかけ、駆け足でその人影へと近づく。


 が、その姿がハッキリなるに連れ、牙炎達は、その人物から一定の距離で足を止めた。


 何故なら、その人物の足元には、『クフェル』と思われる異型の化け物が力なく倒れ伏していたからだ。


「そんな!」


 そした、牙炎達に気が付いたのか、その人物がゆっくりと振り返る。


「っ!?」


 その顔を見て、牙炎達の顔に同様が走る。


 だって、その人物はつい一週間前に出会った。


「へぇ、随分遅い到着だったな」


 あの青年だったのだから

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